山本 由伸

MLBで1球も投じずに、投手としてのMLB史上最高額を更新した日本のエース。

投球の約9割を占める速球（フォーシーム、ツーシーム）、カーブ、そしてスプリットを軸に、時折カッターとスライダーを織り交ぜ、高いコマンド力で打者をねじ伏せるタイプの右腕。

オリックス・バッファローズに在籍したNPBでは、通算7シーズンで70勝29敗、防御率1.82をマーク。2021年から3年連続で沢村賞を獲得するなど、幾多のタイトルを引っ提げ、これからキャリアの全盛期を迎えようという段階に入る2024年からメジャーに挑戦。

2024年シーズンを前にしたオフシーズンは、MLBで大谷翔平に次ぐ大物フリーエージェント選手として、その行き先に大きな注目が集まるなか、ドジャースと面談した際は、契約したばかりの大谷に加え、フレディ・フリーマン、そしてムーキー・ベッツとMVPトリオが同席し、山本の説得にあたったことが話題に。

結果的に、この猛烈アピールが実を結び、ドジャースと12年総額3億2500万ドルで契約に合意。ヤンキースがゲリット・コールと契約した際の、当時投手最高額だった3億2400万ドルを上回ったことで、またも大きな話題になった。

MLBデビューイヤーの開幕を前にした山本への現地メディアの期待値は大きく、『MLB.com』はルーキー右腕を、2024年サイ・ヤング賞予想でナショナルリーグの5位に選出。

「ヤマモトがメジャーで、まだ1度も投げていないことを気にする者などいるのだろうか？ドジャースは彼にサイ・ヤング賞級の投手並みの給料を支払っているのだ」と伝えた。

そのほかにも、各球団でも最もエグい球種としてドジャースからは山本のカーブを選出し、「カーブは彼の最も美しい球種（とは言え、ここに彼のスプリットを選ぶのも容易いことだった）」としている。

そして迎えた2024年レギュラーシーズンは、途中約3ヶ月の負傷離脱を強いられる予想外の展開となり、最終的には18試合の先発で防御率3.00、7勝2敗、105奪三振と期待値を下回る数字を残すに留まった。

ただし、奪三振率、与四球率、奪三振と与四球の比率を示すK／BB、被打率、そしてWHIPといったスタッツはトップレベルの数字を残しており、耐久性を除くと問題なくメジャーに適応できたことを証明。

また、ポストシーズンでは、ディビジョンシリーズ制覇を決めたパドレスとの第5戦に先発し、5回2安打無失点（勝利）、チャンピオンシップシリーズ制覇に王手をかけた敵地メッツ戦で先発し、5回途中4安打2失点（勝敗つかず）。

そして、ワールドシリーズ第2戦にも先発。ヤンキース相手に7回途中1安打1失点と、史上最高額投手の面目躍如と言える活躍でチームの世界一に貢献した。

※データは2025年3月1日時点
※1ドル＝150円で換算