高さが優位性を生むネットスポーツのバレーボールにおいて、跳躍力は武器となる。ここに、人間の限界を軽々しく突破するように跳び上がり、強烈なスパイクを打ち込む人種がいる。中南米に浮かぶ、美しき島国キューバ。そこで生まれた選手たちは“鳥人”と称されてきた。

その1人が今季、大阪ブルテオンに加わった。身長は190㎝と決して高いわけではないが最高到達点は350㎝を超え、そのスペックに甘んじることなく、アウトサイドヒッターとしての役割であるレシーブも含め、攻守のバランスに秀でる。

キューバ代表ではキャプテンを務め、2022年のチャレンジャーカップではMVPに輝く活躍で優勝を果たすと、翌年のネーションズリーグへの昇格に導いた。かつては2010年の世界選手権で準優勝に輝き“鳥人軍団”と呼ばれたキューバ代表も主要国際大会でのメダルが遠のいて久しく、ロペスは母国の未来と希望を一身に背負っている。

また、クラブでのキャリアも申し分なく、ブラジル・スーパーリーガの強豪クルゼイロに所属した2021年には、世界クラブ選手権で優勝。この時もMVPに選ばれた。日本のリーグとしても、久々のキューバ籍選手の来日。驚異的な身体能力と圧倒的なパフォーマンスに、心奪われよ。

TEXT：坂口功将