レース中の緊迫を楽しむ

FCY実施によるメリットとは?

2020年よりSUPER GTでも、フルコースイエロー(FCY)が実施されることとなった。F1やWECなど国際レースではバーチャルセーフティカーとも呼ばれ、簡単に言うと赤旗やセーフティカーを出すまでではない、小規模なアクシデント、デブリの改修などに対する安全確保の手段だ。FCY実施中は80km/h以下での走行が義務づけられる。
FCY宣言は、レースコントロール無線、計時モニター、車両のディスプレイ表示によって伝えられる。この手順が2023年から変更され、従来は宣言が伝えられるとカウントダウン開始となっていたが、今後は宣言後すみやかに黄旗が全ポストで振られ、この時点で追い越しは禁止。ドライバーは前後の安全を確保し、宣言から10秒後に全ポストでFCYボードが提示された時には80km/hまで落としていなくてはならない。
セーフティーカーラン(SCラン)との最大の違いは、安全上の問題がクリアされれば、トップの位置にかかわらずFCY宣言は解除されること。解除はレースコントロール無線などで宣言時同様伝えられ、緑旗の振動表示から追い越しと加速が可能になる。逆に短い時間でクリアできない場合は、SCランに切り替えられて、その際にはFCYボードからSCボードに変えて提示され、速度規制は解除される。
FCYのメリットは短時間での競技再開が可能なこと、そして前後の車両との間隔を宣言前と一緒にできること。またセーフティカーとトップ車両の位置関係で周回遅れになることがないので、レース展開にも影響を及ぼしにくいことが挙げられる。もし、FCYで解決されない場合は、セーフティカーに切り替えられる。もちろん、FCY宣言中のピットインは禁止されているが、宣言されそうだと、ピットロードに差しかかっていれば、ペナルティの対象にはならない。
なお、ひとりのドライバーが総計で当初のレース距離(時間)の2/3を超えて運転することはできないが、FCYの導入により交代できなかった場合は、規定が免除されるが、FCYが解除された周に速やかに交代しなくてはならない。これはSC導入時にも共通する。

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