レース中の緊迫を楽しむ

ドライバーを冷やせ!

SUPER GTに限らず、市販車によるレースのほとんどが窓を閉めている。開けたままであれば空気の流れが乱れてしまい、あれこれ工夫してエアロダイナミクスを研ぎ澄ませた意味がなくなってしまうからだ。しかし、大量の熱源であるエンジンをフロントに、GT500クラスは全車、GT300クラスでも大半が積んでいるので、コクピット内はすごく暑い! 車両によって違いはあるにせよ、数十度というレベルにも達するのだ。
当然、そんな環境に長時間いれば、ドライバーもたまったものではないので、導風用のダクトが窓以外のところから引かれるが、それでも十分ではないため、現在はエアコンの装着が推奨され、装着されない場合はクールスーツの装着が義務づけられている。
エアコンといっても、コクピット全体を冷やすのではなく、シートやヘルメットに冷たい空気を送り込むもので、軽量かつコンパクトで、パワーロスも最小限で済む。クールスーツとは、クーラーボックスの中に氷を入れて、モーターで冷水を循環させる装置で、アンダーシャツのまわりにパイプを張り巡らせて、ドライバーを直に冷やすというもの。エアコンよりもシンプルで、パワーロスも一切ない一方で、トラブルが生じると熱水が巡って地獄を見る、という弱点もあるのだが……。
いずれにせよ、真夏のレースで熱中症になってしまうというケースは極端に減っている。軽量化のため、クールケースも積まず、気合いで行けという根性論は、もう昔の話だ。

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