コースの特徴
前日から約550kmの大移動を経て、2022年ツールがパリへと帰還を果たす。記念すべき女子ツール・ド・フランス第1回大会が、シャンゼリゼ大通りで第1ステージを争った約1時間後。男子第109回大会の最終ステージは走り出す。
シャンゼリゼの西の延長線上にあるビジネス地区ラ・デファンスの、パリ五輪競泳&水球会場の「内側」から、喜びに満ちたパレードランのスタートだ。コロナ禍でいまだ気軽にパリ観光に訪れられない世界中の人々のために、ツールはたっぷりと美しい風景を映し出す。荘厳なるヴェルサイユ城に、絶賛修復中のノートルダム大寺院。「新橋」という名前のパリ最古の橋ポンヌフを渡り、ルーヴル美術館のガラスのピラミッド前を大胆に通過する。
もちろんフィナーレは全長6.8kmのおなじみの周回コースへ。リヴォリ通りとそのジャンヌ・ダルク像、コンコルド広場にそびえるオベリスク、シャンゼリゼの石畳に威風堂々凱旋門。すでに女子プロトンが11周回し、興奮も頂点に達したファンたちの前を、男子プロトンは8周回。
世界屈指の俊足を誇るスプリンターたちが、世界で一番美しい大通りで全力疾走すると、21日間の長い戦いは幕を閉じる。2022年マイヨ・ジョーヌが永遠に消えない栄光の瞬間を味わい、走り終えたすべての選手たちが、誇らしさを胸に夏を終える。
Fumyのステージチェック
ツールの最終日って、パレードランというイメージが強すぎるから、賛否両論あるかもしれないですね。ジロやブエルタは最終日までガチのレースをやったりしますけど、ツールは最後の周回に入ってからレーススタート……ですから。ちょっと温度差があります。
でも、やっぱりここまで3週間という長い時間戦ってきた選手たちにとっては、パリに到着して「お疲れさまでした」という気持ちなんです。片やスプリンターたちにとっては大切な勝負の舞台。ツールのシャンゼリゼで勝つことはとてつもない勲章ですから。だから夢のあるステージだと思うんですよ。
それに毎年同じところを走るおかげで、僕は初めて走ったにも関わらず、「ああ、帰ってきた!」と感慨無量でした。トンネルを抜けてジャンヌダルク像の前を通って、オベリスクが真ん中に建つコンコルド広場をすーっと駆け抜けて。フラムルージュを過ぎて、チームバスが停まっているコーナーから抜けていく。カメラアングルさえも思い出せます。ラスト100mでテレビカメラが横から先頭についていく、スピード感あふれる映像……。
本当に素晴らしい!自分にとっては忘れられないステージであるとともに、全ての選手が受け入れてもらえるような、気持ちの拠り所のようなステージです。ツールのコースは毎年変わるけど、唯一ここだけが変わらない。すごく特別感があります。
このシャンゼリゼステージこそ、ツールのレガシー。毎年同じ場所で変わらず行われているということは、やはりフランスという国が、誇りを持って、ツールを開催しているのだなと感じます。
ところでシャンゼリゼって、石畳ですし、意外と起伏があるんですよ。コースマップを見てもらうと分かるとおり、かなりぎざぎざにアップダウンしてます。凱旋門からの下りでは時速60〜70km近いスピードも出ます。石畳なんでパンクも結構あったりします。ここまで来てもしかして完走できないかも……というはらはらする事態も時々ありますから、最後まで気を抜かないように!
解説:別府史之 / 文:宮本あさか
距離 | ポイント | 現地時間 | 日本時間 | ||||
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43KM/H | 41KM/H | 39KM/H | 43KM/H | 41KM/H | 39KM/H | ||
0km地点 | スタート地点 | 16:45 | 16:45 | 16:45 | 23:45 | 23:45 | 23:45 |
43.3km地点 | 4級山岳 | 17:45 | 17:48 | 17:52 | 0:45 | 0:48 | 0:52 |
75.5km地点 | 中間スプリント | 18:30 | 18:35 | 18:41 | 1:30 | 1:35 | 1:41 |
115.6km地点 | ゴール地点 | 19:26 | 19:34 | 19:43 | 2:26 | 2:34 | 2:43 |