コースの特徴
3年連続、パリ到着の前夜に、個人タイムトライアルが組み込まれた。2年前はマイヨ・ジョーヌ大逆転劇が見られた。昨大会は上位勢に一切の変動はなかった。果たして2022年最後の独走は、どんな「最後の審判」を下すのか。
ツール初登場の2都市を結ぶ40.7km。これは2014年大会最終TT以来の長距さであり、3週間に渡って全力のバトルを繰り広げてきた選手たちにとって、決して単純な距離ではない。長さに比例し、中間計測地点も、3ヶ所(10.6km、22.1km、32.6km)登場する。
また全体を通して道はなだらかで、一見いわゆる「TTスペシャリスト向き」。ただし最終盤に待ち受ける2つの短い上り坂は、かなりの曲者だ。残り5.4km地点からマジェス坂(全長1.6km、平均勾配4.7%)をこなし、さらに残り1.8kmでオスピタレ坂へ。中世そのままの姿を残す要塞都市ロカマドゥールを眺めながら、細い崖道や岩のトンネルを抜けつつ、全長1.5km・勾配7.8%の急坂を上る!
開催委員会の計算によれば、約49分の全力疾走。前日の総合最下位選手からスタートし、マイヨ・ジョーヌが全出走選手の最後にフィニッシュした瞬間、2022年ツールの総合争いは決する。
Fumyのステージチェック
長いですね……。これだけ長い個人タイムトライアルは、ツールでは久しぶりなんじゃないですか。ただタイム計測が3回あるので、比較的ペース配分はしやすい。その辺がちゃんと配慮されてるという印象です。
もちろんチームでも独自にタイムは計測してるんですよ。でも、もしも公式の計測地点が1回だったりすると、最初から頑張りすぎて、途中で失速……という選手もいるかもしれない。ただ3回あるおかげで、他の選手のタイムと比較しながら「大体このペース配分で行けばこのタイムでフィニッシュできる」って計算できるんですよ。距離は長いけれど、つまりは飛ばし過ぎず、リスクを冒さず、最後まで落ち着いて走ることができますね。
タイムトライアルという種目は、個人の能力の差や、その時の調子がそのまま反映されてしまいます。40kmという長さになると、マシン性能の差もはっきり出てしまいますよ。そういう意味で注目したいのは、イネオス・グレナディアーズのピナレロとUAEチームエミレーツのコルナゴです。特にコルナゴは、今年タイムトライアルバイクを完全に新調してます。しかもカンパニョーロもTTに特化したマテリアルを入れてきた。すごいマシンです。もしかしたら、このステージを睨んで組んできたのかもしれないです。
コースは比較的平坦が続くので、スピードが出せる選手が有利。終盤に2つ小さな上りがありますが、そこまで大きな衝撃は生み出さないんじゃないかな。1つ目の上りは5%程度の大した坂ではないですし、2つ目はたしかにちょっと上ってますけど、そこまでに稼いだアドバンテージをどうコントロールしていくかだけじゃないでしょうか。
ただ、平坦TTが速い選手が、今回のツールでどこまで脚を残せているか……。グランツールの最終TTというのは、すでに3週間戦ってきて、決して身体がフレッシュな状態ではない。そこがワンデーや1週間ステージレースのTTとは違う。だから世界チャンピオンのフィリッポ・ガンナが、必ずしも有利というわけではないです。むしろ総合系の選手の、脚の細い選手たちが、ステージ上位を独占しちゃうと思います。
解説:別府史之 / 文:宮本あさか
距離 | ポイント | 現地時間 | 日本時間 | ||
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第1走者 | 最終走者 | 第1走者 | 最終走者 | ||
0km地点 | スタート地点 | 13:05 | 17:00 | 20:05 | 0:00 |
10.6km地点 | 中間タイム計測地点 | 13:18 | 17:13 | 20:18 | 0:13 |
22.1km地点 | 中間タイム計測地点 | 13:31 | 17:26 | 20:31 | 0:26 |
32.6km地点 | 中間タイム計測地点 | 13:44 | 17:39 | 20:44 | 0:39 |
40.7km地点 | ゴール地点 | 14:04 | 17:49 | 21:04 | 0:49 |