コースの特徴
大会2週目に突入し、いよいよアルプス3連戦の幕が開ける。ただし今ステージは、むしろ休息日で途切れたリズムを大急ぎで立て直す日。翌日からの本格マイヨ・ジョーヌ争いに備えて、開催委員会は、あえて緩めのコースを設定したとさえ公言する。
「太陽の扉」スキーエリアのモルズィーヌからの下りで、1日はスタートする。その後も地形自体はそれほど複雑ではない。平均勾配が2.9〜3.9%の小さな山岳が3つ散らばるだけ。
残り51kmで4級峠を越えたら、そこから約25kmはアルヴ谷の平地を走る。この平地の終わりには、中間ポイントが設置されているから、「上れる」スプリンターたちにとっては「逃げてポイント収集」の絶好のチャンスとなるのかもしれない。
緑ジャージ争いの2km先で、最終登坂が始まる。極めてアルプスらしい上りだ。勾配は平均4.1%と比較的緩やかで、一方で登坂距離は19.2kmとひたすら長い。また山頂=山岳ポイント収集アーチから、さらに2.2km上って、アルティポール(=山岳飛行場)に引かれたフィニッシュラインとたどり着く。つまりは計21.4kmの上りで、しかも約600mの滑走路がこの日1番の難勾配(7.1%)なのだ。
ムジェーヴの町自体は2016年ツールで訪れたが、山岳飛行場へと向かう山道は初登場。ただし上り後半は2020年ドーフィネにて2日連続で使用済みで、第4ステージはケムナの大逃げ勝利、第5ステージはクスの独走勝利を演出している。さらにはログリッチ総合首位のまま途中棄権、マルティネスの逆転総合優勝、ピノ逆転負け、そしてポガチャルがアタック……というたくさんのドラマを思い出させるこの場所は、多くの選手やチームにとって決して未知の山ではない。
Fumyのステージチェック
上りが長い!いかにもアルプスの山って感じ。でもベビージロ(ジロU23版)とかアオスタ(ジロ・デッラ・ヴァレ・ダオスタ)とか、僕の時代のアマチュアレースだと、平気で40kmくらい上りっぱなしだったりしましたけどね……。あの頃はふざけんな!って思ってましたけど、プロになってからは逆にそこまで長い上りってないんです。
代わりにこのステージは、勾配はそこまで厳しくない。むしろ比較的走りやすいコースと言えます。個人で走るよりも、集団でかたまって走ったほうが楽ですし、チーム力がある方が有利。アシストたちが山道で上手くコントロールしてくれると、総合系リーダーは大いに助かるはずです。
どんな展開になるのか、正直ちょっと分かりません(笑)。どう転がるかは未知数というか。逃げ切りもありえると思います。「山頂フィニッシュで勝ちたい!」って総合系の選手が強く願わない限り、それほど無理には追わないかもしれません。距離が長いだけで、総合をかけて争うような山でもないですから。うん、逃げに行かせちゃうかもしれないです。
セップ・クスがドーフィネで勝ったステージ、憶えてます。滑走路フィニッシュって、個人的には見てて面白かったですね。でもあの日は勾配と言うよりも、暑さで脱落して行った選手が多かった印象です。
休息日の翌日だからというより、山の中のステージだからこそ、体調管理には気をつける必要があります。山は天候が変わりやすい。暑いときは暑いですし、すごく暑かったのに、急に雨が降りだして気温が一気に下がることもあります。そこで体調を崩してしまったら元も子もないですから。
解説:別府史之 / 文:宮本あさか
距離 | ポイント | 現地時間 | 日本時間 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
45KM/H | 43KM/H | 41KM/H | 45KM/H | 43KM/H | 41KM/H | ||
0km地点 | スタート地点 | 13:40 | 13:40 | 13:40 | 20:40 | 20:40 | 20:40 |
24.1km地点 | 4級山岳 | 14:12 | 14:14 | 14:15 | 21:12 | 21:14 | 21:15 |
69.2km地点 | 3級山岳 | 15:12 | 15:17 | 15:21 | 22:12 | 22:17 | 22:21 |
97.3km地点 | 4級山岳 | 15:50 | 15:56 | 16:02 | 22:50 | 22:56 | 23:02 |
123.8km地点 | 中間スプリント | 16:25 | 16:33 | 16:41 | 23:25 | 23:33 | 23:41 |
145.9km地点 | 2級山岳 | 16:55 | 17:04 | 17:13 | 23:55 | 0:04 | 0:13 |
148.1km地点 | ゴール地点 | 16:57 | 17:07 | 17:17 | 23:57 | 0:07 | 0:17 |