コースの特徴
東京五輪から1年。パリ五輪まで2年。黄色いジャージを争うプロトンが、オリンピックの本拠地ローザンヌで勝負を争う。金メダル級の勝利を手にするためには、またしてもずば抜けたパンチ力が求められる。
新型コロナウイルスに対する研究でも知られる「パスツール研究所」の、創始者ルイ・パスツールの生誕200周年を祝って、出身地ドールがこの日のスタート地に選ばれた。そこからプロトンは南東へと突き進む。目指すはジュラ山脈だ。
山脈越えと言うよりは、むしろ国境越えのほうが正確かもしれない。ステージ中盤に組み込まれた3つの山岳自体は、いずれも小さく、それほど難しくはない。2つ目のルス峠を上り終えると、デンマーク、ベルギーと勢力的に外国を巡ってきた2022年ツールは、3カ国目のスイスへと入国を果たす。そして3つ目の峠を終えると、早々と山脈越えも終わり。あとはレマン湖のほとりまで、延々と下り基調が続く。
しかし残り約7.5kmで、IOC国際オリンピック委員会の本拠地前を駆け抜ける頃には、プロトン内には凄まじい緊迫感が充満しているはずだ。なにしろラスト4.8kmは、オリンピックスタジアムへと向かう上り坂!
平均勾配は4.6%。ただし坂道は市街地特有の直線道路と直角カーブが組み合わされ、勾配も小刻みに変わる。上り始めの1kmは6.8%で、続く1kmは4.8%。その後ゆるい下り基調の道が挟み込まれ、残り2km地点でいきなり勾配9.5%(最大12%)に跳ね上がる。ラスト1kmは3.4%。果たしてどの時点で、誰が、アタックを打つだろうか?
Fumyのステージチェック
この最終盤の道、知ってるような気がします。湖のほとりにオリンピック委員会の建物があって、上り切った左側にスタジアムがあって……。ああ、そうだ、ツール・ド・ロマンディのタイムトライアルで走ったことがあります。選手って一度走ったコースは、結構、記憶してるものですね。
ここは湖畔を抜けるといきなり急勾配になる。だから脚質的には第6ステージのロンウィと同じような選手、つまりパンチャー系の選手が活躍します。集団コントロールは比較的しやすいと思いますよ。第3カテゴリーの山があるけど、その後は高台の平坦が続きますし、最後の4級山頂からフィニッシュまで距離もある。スイスは道が綺麗ですから、この下りで何かが起こるってことも、限りなく少ないかなぁ。
だからこそ最後がデンジャラスな感じかもしれないです。ロンウィは最終盤に山が2つあるおかげで集団が小さくなるけど、今回はイージーなステージだからこそ、ある程度大きな集団のままラスト5kmからの上りに突っ込んでしまう。しかもローザンヌの街に入ると、ロータリーが点在して、曲がり角も多い。トンネルもあるし……。密集度が高いだけに、落車には要注意です。
それにしても、今ツールの第1週目には、ピュアスプリンター向けのステージがほとんどないんですね。かろうじて第3ステージがピュア向けで、第2ステージでさえ難しい。どのステージもテクニカルで、クラシックの要素が多いので、そういうコースを走れる選手じゃないとマイヨ・ヴェール用のポイントは取れないでしょう。だからワウト・ファンアールトには向いているんですが、マチュー・ファンデルプールだって、「緑ジャージを狙わない」とは言ってますけど、こういうステージで日々勝利を狙っていったら勝手にポイントが加算されていって最終的にもしかして狙える位置にいる……なんてこともありそうです。
解説:別府史之 / 文:宮本あさか
距離 | ポイント | 現地時間 | 日本時間 | ||||
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45KM/H | 43KM/H | 41KM/H | 45KM/H | 43KM/H | 41KM/H | ||
0km地点 | スタート地点 | 13:20 | 13:20 | 13:20 | 20:20 | 20:20 | 20:20 |
46.9km地点 | 中間スプリント | 14:23 | 14:25 | 14:29 | 21:23 | 21:25 | 21:29 |
75.6km地点 | 4級山岳 | 15:01 | 15:05 | 15:11 | 22:01 | 22:05 | 22:11 |
101.3km地点 | 3級山岳 | 15:35 | 15:41 | 15:48 | 22:35 | 22:41 | 22:48 |
136.9km地点 | 4級山岳 | 16:23 | 16:31 | 16:40 | 23:23 | 23:31 | 23:40 |
186.3km地点 | 3級山岳 ゴール地点 |
17:28 | 17:40 | 17:53 | 0:28 | 0:40 | 0:53 |