コースの特徴
北緯55.68度。パリ・シャンゼリゼからの直線距離1030km。1903年に創設されたツール・ド・フランス史上、最も北で、最も遠い都市から、2022年大会のプロトンは走り出す。またツールがフランス以外で開幕「グランデパール」を祝うのは、デンマークで晴れて10カ国目!
例年よりも1日早く、金曜日の午後に、13.2kmの個人タイムトライアルで戦いは幕を開ける。市民憩いの場エルステッド公園からスタートを切ると、かつては海水の通り道だった「湖」を横切り、2021年サッカー欧州選手権の舞台となったパーケン競技場脇を通過。ちなみにコロナ禍でこのユーロが1年延期となり、押し出される形でツールのデンマーク開幕も1年延びた。
ちょうど真ん中の6.6km地点で中間計測を終えたら、コース後半は「北欧のパリ」の観光地をいくつも眺める。星型のカステレット要塞をぐるりと巡りながら、ランゲルニエ埠頭に佇む人魚姫の像にも出会う。ゲフィオンの泉に、アマリエンボー宮殿とその衛兵さんたち、海と運河と無数の小さな橋。そして最後はメルヘンチックなチボリ公園の脇を駆け抜けて、コペンハーゲン市庁舎の前でフィニッシュだ。
参加176選手は1分間隔でスタートを切り、開催委員会の計算によれば約15分の全力疾走。全体を通してほぼ平坦ながら、市街地コース特有の難しいカーブが25ヶ所以上も点在する。また宮殿前には石畳も。そして通算350kmの自転車通行レーンを誇り、「世界一自転車に優しい都市」と呼ばれるコペンハーゲンを征服した者が、記念すべき初日のマイヨ・ジョーヌを身にまとう。
Fumyのステージチェック
デンマークには3度走りに行ったことがあります。2011年世界選手権、2012年ジロ・デ・イタリア、それからレースではないのですが2009年の東京五輪招致イベント。これはコペンハーゲンの街中を自転車で走ったんですよ。この初日タイムトライアルでも前を通るリトルマーメイドの像にも、自転車で会いに行きました!
それにしても、当時、コペンハーゲンはすでに自転車利用の先進都市で、びっくりしましたね。自転車専用レーンが充実していてすごく走りやすかった記憶があります。まあ、でも、ツールの選手たちは自転車専用レーンを走るわけではありませんけど……。
ど平坦。だけどコーナーが多くてテクニカル。ショートタイムトライアルなので、多くの選手に区間勝利の可能性がありますし、なにより「マイヨ・ジョーヌを着てみたい」という欲求に突き動かされて、みんなかなりの全力を出してくると思います。でも、やっぱり、ここはもうTTスペシャリストのフィリッポ・ガンナかシュテファン・キュングが優勢でしょう。あとシュテファン・ビッセガーも、このプロファイルは得意なんじゃないかな。
機材は3スポークの前輪が転がり抵抗的にはいいのですが、ここまでコーナーが多いと、ディープリムのホイールを使う選手も多くなってくるでしょう。あと、今回のツール・ド・スイスでイネオスが初めて導入したピナレロのTTバイクが、結構速いんじゃないかな。スイスではゲラント・トーマスが逆転総合優勝を果たして、ダニエル・マルティネスも好走してましたが、イタリアチャンピオンになったガンナがあの自転車に乗ったら……もはや向かうところ敵なしかもしれません。
解説:別府史之 / 文:宮本あさか
距離 | ポイント | 現地時間 | 日本時間 | ||
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第1走者 | 最終走者 | 第1走者 | 最終走者 | ||
0km地点 | スタート地点 | 16:00 | 18:55 | 23:00 | 1:55 |
6.6km地点 | 中間タイム計測地点 | 16:07 | 19:02 | 23:07 | 2:02 |
13.2km地点 | ゴール地点 | 16:15 | 19:10 | 23:15 | 2:10 |