ペニー監督が復帰。新戦力も加わり狙うはトップ4

2010年度にトップリーグに昇格し、徐々に力をつけてきたNTTコミュニケーションズシャイニングアークス。今季、リーグワンで戦うにあたり、練習場の「アークス浦安パーク」があり、ラグビー活動に対する「相互連携協定書」を締結した浦安市をホストタウンに、また浦安と隣接する東京都の湾岸に面する区をホストエリアとし、チーム名を「NTTコミュニケーションズシャイニングアークス東京ベイ浦安」とし、ホストスタジアムを東京都江東区にある夢の島競技場とした。

また、セカンダリーホストエリアをラグビーファンのさらなる拡大に向けて、毎年、試合を行ってきた仙台を中心とした東北エリア（主に宮城県仙台市）を設定した。シャイニングアークス東京ベイ浦安と言えば、2014年からニュージーランド出身の名将ロブ・ペニーが指揮を執り、ボールを大きく動かす攻撃的なラグビーで、2016-17シーズンと2018-19シーズンはチーム最高の5位に入った。

一昨季からはBK（バックス）コーチを務めていた南アフリカ出身のヒュー・リース エドワードがHC（ヘッドコーチ）に昇格した。だが、トップリーグのラストシーズンだった昨季はレッドカンファレンス4位に終わり、プレーオフトーナメントでも初戦となる2回戦でキヤノンイーグルスに13-43と敗れてシーズンを終えた。

今季、再び上昇気流に乗るため、そして史上最高成績のベスト4を狙うためにも、過去、チームを最高成績の5位に導いたペニー監督を再び招聘した。選手の8割もかつてペニー監督の指導を受けたことがあることも再登板した理由となったようだ。

北半球、そして南半球でも指揮を執ってきたペニー監督は「史上最高のチームになること、史上最高位を目指すことが目標です。過去最高が5位なのでプレーオフ以上を狙って、優勝も考えています。選手たちがやっていて楽しい、ファンの人々も見ていて楽しい、勝てるラグビーをしたい」と語気を強めた。

今季のスローガンは「ShiningArcs」（シャイニングアークス）の「ARCS」に「INSPIRE」（刺激を与える）をかけ合わせた造語「ARCSPIRE」（アークスパイア）となった。

キャプテンには7月に日本代表キャップを獲得したCTB（センター）シェーン・ゲイツが指名され、昨年までスキッパーとしてチームを引っ張っていたFL（フランカー）金正奎がクラブキャプテンに就いた。

他にも昨季は共同主将だったLO（ロック）中島進護、元オーストラリア代表でジャッカルの名手FLリアム・ギル、元スコットランド代表キャプテンSH（スクラムハーフ）グレイグ・レイドロー、スピードが武器で昨季チームトップの9トライを挙げたWTB（ウィング）石井魁の4人がリーダーグループとして2人を支える。

FW（フォワード）では、2人の大型選手が加入した。まず4度ワールドカップに出場した元日本代表のベテランLOトンプソン ルーク（元近鉄）が現役復帰し、チームに加入。さらに宗像サニックスから日本代表LOジェームス・ムーアも加わり、2019年ワールドカップで日本代表を支えたLOの2人はラインアウトでは大きな戦力となることは間違いない。

また、HO（フッカー）藤村琉士（日本大学出身）、FL松本健留（帝京大学出身）と、大学でキャプテン経験のあるルーキーが入り、チームに新たな活力を与えている。

BK（バックス）では今季もスコットランド代表76キャップを誇るSHレイドローがゲームメイク、プレースキックで存在感を示すことになろう。さらに、新戦力としてオーストラリア代表73キャップのFB（フルバック）／WTB／CTBイズラエル・フォラウが加わった。身長が194cmあり、ハイボールキャッチは大きな武器になりそうだ。

また司令塔SO（スタンドオフ）のポジションにはマオリオールブラックス経験があるオテレ・ブラックが加わり、春には日本代表候補に名を連ねた前田土芽、松尾将太郎とともにゲームをコントロールしそうだ。

またバックスリーには石井以外にも、元日本代表のスピードスター山田章仁、韓国代表として東京五輪に出場したWTB張容興、東京五輪日本代表の羽野一志、ヘンリー ブラッキン、秋の7人制代表に選ばれた2年目の石田大河、南アフリカのシルヴィアン・マフーザと選手が揃い、競争が激しい。

ムーア、トンプソン、フォラウといったビッグネームが加入、さらにペニー監督が復帰した新生シャイニングアークス。ボールを大きく動かす攻撃的ラグビーにラインアウトという武器が加わり、チーム初のベスト4以上へと躍進することができるか。

TEXT:斉藤健仁