ジョシュ・ファンデルフリアー

ダブリンの南の港湾都市ウィックローで生まれる。5歳で地元のウィックローRFCに入団し、初心者であったにもかかわらず、父親と一緒にU8の練習に参加した。

最初はSH（スクラムハーフ）としてプレーしていたが、身体が大きくなったこともあり、ウェズレー・カレッジに通っていた16歳の時に、バックローへと転向した。レンスターのアカデミーに在籍中の2014年、イタリアのゼブレ戦でシニアデビューを果たすと、翌2015年にトップチームとの契約を結んだ。

2015-16シーズンにレンスターで12試合に出場してブレイクすると、2016年に初めてアイルランド代表に招集され、『シックス・ネーションズ』のイングランド代表戦で初キャップを得た。2017年に日本代表とのテストマッチで代表初トライを挙げて、2019年『ワールドカップ』のメンバーにも選出され、日本代表戦を含む3試合に7番をつけて出場した。

2020年にコロナ禍でレンスターのトレーニング施設が閉鎖されると、チームメイトとバックヤードにジムを作って練習し、その年の『Pro14』の決勝でPOM（プレイヤー・オブ・ザ・マッチ）に輝いた。

2021-22シーズンの『ヨーロピアンラグビーチャンピオンズカップ』は決勝でラ・ロシェルに敗れたものの、欧州最優秀選手を受賞。2022年はアイルランド代表として11試合に出場し、4トライを挙げて、さらにニュージーランドでオールブラックスを破り、アイルランドの世界ランキング1位上昇に貢献すると、自身もワールドラグビーの年間最優秀選手とベスト15に選出された。

2023年、アイルランド代表で『シックス・ネーションズ』のグランドスラム制覇に大きく貢献し、さらにその翌年も優勝。2023年は2度目の『ワールドカップ』にも出場し、2024年秋はテストマッチ全てに先発出場し、オールブラックス、フィジー、オーストラリア戦でトライを決め、シリーズ最優秀選手に選出された。

2025年の『シックス・ネーションズ』でも全試合に先発出場し、今回、初の『ブリティッシュ＆アイリッシュ・ライオンズ』のツアーに参加する。

◆オランダ系で、1950年代に祖父母がラジエーター工場を開くためにアイルランドに移り住んだ。赤いヘッドキャップは高校のジャージーにあわせて選んだものだったが、のちに自分のトレードマークとして被り続けることになった。ラグビーの傍ら学業も続けて、2020年にダブリン大学で経営学修士号を修めた。「The Dutch Disciple」（オランダの使徒）の異名を持つ。

TEXT by 斉藤健仁