ティボー・ピノ

Groupama - FDJ

ティボー・ピノThibaut PINOT

PROFILE

チーム: グルパマ・エフデジ
生年月日: 1990年5月29日
身長/体重: 180cm／63kg
国籍: フランス
Strava: Thibaut Pinot
Twitter: @ThibautPinot
Instagram: thibaut.pinot
Facebook: Thibaut Pinot
Archive: 2023・2022・2021・2020・2019

【Past results】
ジロ・デ・イタリア：2017年総合4位、区間1勝
ツール・ド・フランス：2012年総合10位、2014年総合3位＆ヤングライダー賞、区間通算3勝
ブエルタ・ア・エスパーニャ：2013年総合7位、2018年総合6位、区間通算2勝
2015年：クリテリウム・アンテルナシオナル総合2位＆ヤングライダー賞、ツール・ド・ロマンディヤングライダー賞、ツール・ド・スイス区間優勝、ツール・ド・ラングドックルシヨン総合優勝＆ポイント賞、イル・ロンバルディア3位
2016年：グランプリ・ラ・マルセイエーズ2位、エトワール・ド・ベセージュ総合3位、クリテリウム・アンテルナシオナル総合優勝、ツール・ド・ロマンディ総合2位、クリテリウム・デュ・ドーフィネ区間優勝、国内選手権個人タイムトライアル優勝
2017年：ブエルタ・ア・アンダルシア区間優勝、ティレーノ～アドリアティコ総合3位、ツアー・オブ・ジ・アルプス総合2位、ツール・ド・レン総合優勝＆山岳賞
2018年：ツアー・オブ・ジ・アルプス総合優勝、ツール・ド・ポローニュ総合3位、ミラノ〜トリノ優勝、イル・ロンバルディア優勝
2019年：ツール・デュ・オー・ヴァル総合優勝＆ポイント賞、ツール・ド・レン総合優勝＆ポイント賞＆山岳賞
2020年：クリテリウム・デュ・ドーフィネ総合2位、ルート・ドクシタニー総合4位、パリ〜ニース総合5位
2021年：コッパ・ベルノッキ5位、ツール・ド・ルクセンブルク総合7位
2022年：ツアー・オブ・ジ・アルプススプリント賞、ツール・ド・スイス区間優勝、ティレーノ〜アドリアティコ総合8位
2023年：エトワール・ド・ベセージュ総合6位

今季限りで自転車選手としてのキャリアを閉じる。「ベルナール・イノー以来」のフランス人ツール総合制覇を期待されてきた日々から解き放たれ、33歳の秋、「真の人生」を歩み始める。

ついに惑星直列は起こらなかった。その人生は輝かしい希望と強烈な失意の繰り返しだった。2012年ツールで総合10位＆区間勝利を手にすると、一躍、フランス全土の注目をさらう。ところが翌年は「下りが怖くて」途中棄権。2014年は総合3位＆新人賞に飛び込み、さらに翌年はラルプ・デュエズ山頂を勝ち取り、改めて高いポテンシャルを証明する。しかし2016年は気管支炎のせいで、やはりツール半ばで帰宅を余儀なくされた。

翌2017年から2年間は「武者修行」と称して、主戦場をフランス国外に移した。おかげでプレッシャーから解き放たれ、ジロで総合4位と大健闘。が、またしても、不幸がやってきた。翌ジロでも閉幕2日前まで総合3位と絶好調だったのに……第20ステージ中に体調不良に陥り、最終日の朝に不出走に追い込まれた。幸いにも秋のブエルタで山頂フィニッシュを2つさらい取り、さらにはイル・ロンバルディアで独走勝利を決め、再びキャリアは軌道に乗る。

2019年ツール・ド・フランスは栄光も絶望も味わった。トゥルマレのてっぺんを制し、パリでのマイヨ・ジョーヌももはや夢ではなかったはずだ。ところが……膝の痛みを訴え、閉幕2日前に涙のリタイア。ドーフィネ総合2位と、絶好調で乗り込んだ2020年ツールは逆に、初日の落車で腰を痛めて何も出来なかった。

昨季末の時点でグランツール出場16回途中棄権7回。「自分にはもっと出来たはず」との意識は、いまだに拭いきれないという。一方では「自転車だけが僕の人生ではない」とも考えた。1年半近く熟慮した上に、新しい道へと歩みだすことを決意した。

それでも、何も言わずに立ち去りたくはなかった。応援してくれた人々に「さよなら」と「ありがとう」を伝えるために、あえて早めに引退宣言も出した。「これが最後」と思いながら、すべてのレースを心を込めて走るために。

すべてが予定通りに行けば、2023年10月7日のイル・ロンバルディアの夜に、自転車を降りる。ただしフランス選手権でロードチャンピオンになった場合に限って……トリコロールジャージに敬意を示すために、もしかしたら引退を6ヶ月伸ばすかもしれない。

text：宮本あさか　写真：© Equipe cycliste Groupama-FDJ