ブエルタ・ア・エスパーニャ2022

ステージ前半は、マドリードへの接近を兼ねたアップダウン移動コース。ステージ後半は難関山岳。残り少ないステージ勝利のチャンスを、脚自慢たちは奪い合い、総合上位選手たちは、またしても山で激闘を繰り広げる。

スタート地トルヒーリョは初出場ながら、もしかしたら見覚えのある人もいるだろうか。パレードランの最中に、ゲーム・オブ・スローンズ第7シーズンの撮影舞台のひとつである古城を通過する。序盤の約75kmは、小さな起伏を乗り越えつつ、ひたすら北上だ。

そこから東へと進路を変えると、2級山岳ラ・デセスペラから、本格的な山場が始まる。ちなみに日本語に訳せば、「絶望」という名のこの峠。登坂距離3.7km、平均勾配9.4％、しかも上り始めの1kmは約12％と、まさに絶望的なほどの激坂だ。もちろんヘアピンカーブが点在する下りで、絶望に突き落とされないよう、気を引き締めねばならない。

締めくくりには、1級山岳アルト・デル・ピオルナルの二重登坂が待っている。ただしフィニッシュ手前55kmからアタックする1度目（13.5km、5％、最大12％）は、東側からの登坂で、標高1270m地点まで上り詰めた後、南側へと下る。一方の2度目（13.4km、5.6％、11％）は西側から攻め、山頂手前、標高1166mの町でフィニッシュする。

2つの異なる山道に共通点があるとすれば、とにかく九十九折が続くこと。おかげでだらだらと一定勾配が続くから……ルーラー系クライマーたちによる、執念深い走りが見られるかもしれない。

文：宮本あさか