ブエルタ・ア・エスパーニャ2022

3回目の休息日も明け、いよいよ2022年グランツール最後の1週間がやって来た。ただ幸いにも、総合エースたちには、体調を整えるためもう1日猶予が与えられる。つまり、いわゆる「移動ステージ」で、マドリードへ向けての本格的な北上が始まる。

椰子の木が立ち並ぶ大西洋岸のビーチから、平坦なステージへと走り出す。広い道路は舗装状態もよく、行く手に等級のつく山岳は1つも存在しない。代わりに……ほぼ全般に渡って、コース周辺には、何も遮ることのない荒野が広がる。

当然のように、道中では風力発電ファームにもいくつか出会う。長い直線と進路変更が繰り返される今ステージで、荒野に危険な風が吹き荒れぬことだけを、多くの選手たちは願っているに違いない。

スプリンターチームには完璧なコントロールが求められる。フィニッシュ手前10km前後には、アタックを警戒すべき、ほんの小さな上りが突き出す。なによりアンダルシア州都セビリアの郊外トマレスへ向けて、最終5kmから、ロータリー10ヶ所＋3度のカーブが待ち受ける。しかも残り4.5kmは全体的に上り基調で、残り3kmのアーチを越えた直後には、ほんの数百メートルながら10％超もあり！

最終1kmにも3つのロータリーが立て続けに襲う。残り300mでようやく最後のロータリーを抜け出したら、ひどく短く、微妙に上り基調の最終ストレートで、爆発的なダッシュを見せねばならない。

文：宮本あさか