ブエルタ・ア・エスパーニャ2024
ABOUT
ブエルタ・ア・エスパーニャとは
今年最後のグランツール!ブエルタ・ア・エスパーニャとは
賞金は億超え!
2023年ブエルタ・ア・エスパーニャの賞金支払総額は116万ユーロ(約1億9000万円)で、個人総合優勝賞金は15万ユーロ(約2500万円)。マイヨ・ロホ着用やステージ優勝などにも賞金が提供されるので総合優勝者の獲得した金額は当然それ以上になる。2023年は総合優勝クス、総合2位ヴィンゲゴー、3位ログリッチと旧ユンボ・ヴィスマ勢が上位独占。さらにステージ合計5勝で、全賞金の3分の1をもっていってしまった。チームが獲得した賞金はチーム内でほぼ均等に配分するという慣習がある。
総距離は3000km以上!
スペインが舞台になる「ブエルタ・ア・エスパーニャ」。2024年の総距離は約3300km。初日に12km、最終日に24.6kmの個人タイムトライアルがあり、集団スタートの通常ステージは平均すると約172kmで、2024ツール・ド・フランスよりもわずかに短い。峠の標高は2000mに届かないが、それだけに気温が高く、開催時期も暑い季節なので競技としては相当に厳しい戦いとなる。かつては山岳の要素が少ないことからスプリンターが多く参戦し、1988年にはアイルランドのスプリンター、シーン・ケリーが総合優勝したこともあった。しかし近年はスペイン勢が得意とする上りを随所に取り込み、非常に厳しいステージが多くなった。つまり各ステージの距離が短いといっても簡単なレースではないのだ。
ブエルタのルールは?
ツール・ド・フランスと同様の各賞が用意され、ジャージのデザインのみ異なる。最も価値のあるのが個人総合時間賞。ステージごとに全選手が一斉にスタートするのが基本で、ゴールまでの所要時間を計測。個人タイムトライアルは1人ずつスタートし、その所要時間を計測。その日終わって個人総合時間が最も少ない選手が首位となり、表彰式でマイヨ・ロホを着用する。それ以外にポイント賞、山岳賞、ヤングライダー賞がある。ステージをトップフィニッシュした選手はステージ優勝。チームの総合成績で順位を決めるチーム賞もある。敢闘賞は各ステージで最も果敢に走った選手に与えられ、大会を通して最も活躍した選手に贈られる総合敢闘賞もある。
ブエルタの4賞ジャージ!
リーダージャージはツール・ド・フランスと同様に4種類。個人総合成績は赤い色のマイヨ・ロホ。過去大会では一時金色のジャージ、マイヨ・オロが採用されたこともあったが、繊維素材に金色を再現するのは難しく赤色に置き換えられた。ポイント賞(プントス)は緑色のマイヨ・ベルデ。スポンサーがツール・ド・フランスと同じシュコダなので、同じ色合いになるはずだ。ヤングライダー賞は純白のマイヨ・ブランコ。かつては新人賞ジャージがなかったが、現在は定着している。大きく異なるのは山岳賞(モンターニャ)。白地に大きめの青丸が散りばめられたもので、マイヨ・ルナレス・アスーレスと呼ばれる。
ブエルタ・ア・エスパーニャ 2024の注目ポイント!
今大会注目の出場選手
前年の覇者セップ・クスがヴィスマ・リースアバイクのエースとして登場。ツール・ド・フランスでは開幕直前にコロナ罹患して欠場。シーズン途中にリセットしてコンディションを合わせてきや。前年3位のプリモシュ・ログリッチ(レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)はツール・ド・フランスで負傷リタイア。ターゲットをこの大会にスライドさせた。地元スペイン勢はミケル・ランダ(スーダル・クイックステップ)が出場。ツール・ド・フランスでいい走りができなかったカルロス・ロドリゲス(イネオス・グレナディアーズ)も優勝を狙う。UAEチームエミレーツのタデイ・ポガチャルは世界選手権をターゲットとするので欠場し、開幕地ポルトガル出身のジョアン・アルメイダが起用された。
大会スケジュール/日程
2024年8月17日(土)~9月8日(日)
ステージ詳細/コース
個人タイムトライアルが2区間、平坦区間は第5ステージのみ、ヒリーと呼ばれる起伏があるステージは5区間、山岳はなんと13区間という内訳。それゆえスプリンターは参戦しないだろう。コースは同じイベリア半島にある隣国ポルトガルで最初の3ステージを行う。初日は首都リスボンが舞台。スペイン入りする大会4日目がいきなり山岳ステージというのは、イタリアで3日間を過ごしてからフランス入りしたツール・ド・フランスと同じパターン。第15ステージはバルグランデ=パハーレススキー場にフィニッシュし、これが最難関のクイーンステージとなる。休息日をはさんで行われる第16ステージも超級山岳のラゴス・デ・コバドンガにゴール。第19ステージも頂上ゴール。第20ステージはカテゴリー3級が2、2級が2、1級が3カ所にある勝負どころ。最終日は春に開催された女子レースと同様に、マドリードにあるスペインの通信大手テレフォニカの本社、ディストリト・テレフォニカをスタートする。
見どころまとめ!
2024年はポルトガルの首都リスボンで幕開け
暑い夏の終わりに、巻き起こる熱き戦い。情熱の赤いジャージを巡る旅。特に今年2024年はジロ・デ・イタリアとツール・ド・フランスの栄光をただ1人の男に独占されたからこそ、残り1つの、そして今シーズン最後のグランツールタイトルをかけて、強豪たちが熾烈なバトルを繰り広げる。
ポルトガルの首都リスボンから、3週間かけて、ブエルタ一行はスペインの首都マドリードまで走り抜ける。ブエルタ・ア・エスパーニャが外国から幕を開けるのは2年ぶり5回目で、1997年の史上初めての国外スタートの舞台こそが、今回と同じポルトガルのリスボンだった。ただ27年前の初日は大集団スプリントが争われたが、今回は12kmの個人タイムトライアルで、大会1人目のマイヨ・ロホを選び出す。
開幕の3日間かけてポルトガルを堪能したプロトンは、いよいよ第4ステージから本物の「スペイン一周」へ。同時に大会初の山頂フィニッシュで、本格的な総合争いへも突入だ。
【ブエルタ・ア・エスパーニャ2024 コースプレビュー】“クライマーズ・ブエルタ”健在 平坦ステージはわずか1つ、個人タイムトライアル2ステージが組み込まれ総合力が試される3週間に
「平坦」にカテゴライズされたステージは第5ステージだけ
そもそも山が大好きなブエルタは、今年も連日起伏に満ちている。……それどころか開催委員会の自己申告によれば、「平坦」にカテゴライズされたステージは、第5ステージだけ!残すは中級山岳10日(うち山頂フィニッシュ3回)の細かいアップダウンと、難関山岳8日(うち山頂フィニッシュ6回)の長い山道が、うんざりするほど詰め込まれている。幸いにも大会第1週目には、スプリンターと呼ばれる人種にも、複数の勝機が用意されている。ただ2週目以降は、「ピュア」な俊足には、もはや手も足もでなくなってしまうのだけれど。
大会1週目の後半は、スペイン南部、灼熱のアンダルシア州で過ごす。6日目と8日目には3級山頂フィニッシュが組み込まれ、特に8日目の最終坂は序盤1kmが平均勾配17.3%、最大20%という凄まじい激坂だ。また第8ステージがパンチャー向けなら、1回目の休息日前日の第9ステージは、本格派クライマー向け。コース後半には3つの1級峠がそびえ立つ。
その後、休息日を利用し、選手たちは一気に1000km近くも北上する。そこ後の2週間は、最終日を除いて、ただひたすらスペイン北部に留まることになる。
モンスター級の山頂バトル
2週目はさらに起伏の頻度が増す。なにしろ2級山岳への登坂で休息日明けステージはスタートするし、翌11日目は選手権風アップダウンコース。第12・13ステージは2日連続1級山頂勝負で、しかも13日目のフィニッシュ地プエルト・デ・アンカレスは平均勾配9.3%、ラスト1.5kmは約14%と、ひどく難解だ。なにより2週目の終わりにモンスター級の山頂バトルが待っている!わずか140km強のコースに、4つの峠がねじ込まれ、フィニッシュは超級クイトゥ・ネグル。12年ぶりにブエルタに帰ってきた全長18kmの山道の、ラスト3kmは、なんと平均13%超・最大24%にも至る。選手たちの多くを震え上がらせ、マイヨ・ロホ争いを大きく進展させるに違いない。
大会最後の土曜日には7つの山岳がのこぎりの歯のように立ち並ぶ
最終週も容赦はしない。2回目の休息日明けには、いきなり伝統のコバドンガ超級フィニッシュで、チャンピオンとしての真価を問う。第19ステージでは、1級アルト・デ・モンカヴィリョの飛びきりの急勾配が、4年ぶりに総合争いに審判を下す。さらに翌日、大会最後の土曜日には、7つの山岳がのこぎりの歯のように立ち並ぶ。ひどくクレイジーな1日は──そして2024年ブエルタの山岳争いは──、1級ピコン・ブランコの山の上で締めくくられる。
全長3265kmの戦いの終わりは、平坦な市街地での個人タイムトライアル。スプリントフィナーレが用意されなかったのは、ブエルタでは3年ぶりに過ぎないが、首都マドリードでの独走種目で大団円を迎えるのは、実に20年ぶり。赤い衣をまとった王者は、いつもとはちょっと違ったやり方で、祝福の瞬間へと突き進む。
text:宮本あさか
ブエルタ・ア・エスパーニャ歴代大会まとめ/結果
歴代優勝者
- 第1回
- 1935年 フスターフ・デロール
- 第2回
- 1936年 フスターフ・デロール
- 第3回
- 1941年 フリアン・ベレンデーロ
- 第4回
- 1942年 フリアン・ベレンデーロ
- 第5回
- 1945年 デリオ・ロドリゲス
- 第6回
- 1946年 ダルマシオ・ランガリカ
- 第7回
- 1947年 エドワード・ファン・ダイク
- 第8回
- 1948年 ベルナルド・ルイス
- 第9回
- 1950年 エミリオ・ロドリゲス
- 第10回
- 1955年 ジャン・ドット
- 第11回
- 1956年 アンジェロ・コンテルノ
- 第12回
- 1957年 ヘスス・ロローニョ
- 第13回
- 1958年 ジャン・スタブリンスキ
- 第14回
- 1959年 アントニオ・スアレス
- 第15回
- 1960年 フランス・デ・ムルダー
- 第16回
- 1961年 アンヘリノ・ソレル
- 第17回
- 1962年 ルディ・アルティヒ
- 第18回
- 1963年 ジャック・アンクティル
- 第19回
- 1964年 レイモン・プリドールr
- 第20回
- 1965年 ロルフ・ヴォルフショール
- 第21回
- 1966年 フランシスコ・ガビカ
- 第22回
- 1967年 ヤン・ヤンセン
- 第23回
- 1968年 フェリーチェ・ジモンディ
- 第24回
- 1969年 ロジェ・パンジョン
- 第25回
- 1970年 ルイス・オカーニャ
- 第26回
- 1971年 フェルディナント・ブラック
- 第27回
- 1972年 ホセ・マヌエル・フエンテ
- 第28回
- 1973年 エディ・メルクス
- 第29回
- 1974年 ホセ・マヌエル・フエンテ
- 第30回
- 1975年 アグスティン・タマメス
- 第31回
- 1976年 ホセ・ペサロドーナ
- 第32回
- 1977年 フレディ・マルテンス
- 第33回
- 1978年 ベルナール・イノー
- 第34回
- 1979年 ヨープ・ズートメルク
- 第35回
- 1980年 ファウスティーノ・ルペレス
- 第36回
- 1981年 ジョヴァンニ・バッタリン
- 第37回
- 1982年 マリーノ・レハレタ
- 第38回
- 1983年 ベルナール・イノー
- 第39回
- 1984年 エリック・カリトゥー
- 第40回
- 1985年 ペドロ・デルガド
- 第41回
- 1986年 アルバロ・ピノ
- 第42回
- 1987年 ルイス・エレラ
- 第43回
- 1988年 ショーン・ケリー
- 第44回
- 1989年 ペドロ・デルガード
- 第45回
- 1990年 マルコ・ジョヴァンネッティ
- 第46回
- 1991年 メルチョル・マウリ
- 第47回
- 1992年 トニー・ロミンゲル
- 第48回
- 1993年 トニー・ロミンゲル
- 第49回
- 1994年 トニー・ロミンゲル
- 第50回
- 1995年 ローラン・ジャラベール
- 第51回
- 1996年 アレックス・ツェーレ
- 第52回
- 1997年 アレックス・ツェーレ
- 第53回
- 1998年 アブラハム・オラーノ
- 第54回
- 1999年 ヤン・ウルリッヒ
- 第55回
- 2000年 ロベルト・エラス
- 第56回
- 2001年 アンヘル・ルイス・カセーロ
- 第57回
- 2002年 アイトール・ゴンサレス
- 第58回
- 2003年 ロベルト・エラス
- 第59回
- 2004年 ロベルト・エラス
- 第60回
- 2005年 ロベルト・エラス
- 第61回
- 2006年 アレクサンドル・ヴィノクロフ
- 第62回
- 2007年 デニス・メンショフ
- 第63回
- 2008年 アルベルト・コンタドール
- 第64回
- 2009年 アレハンドロ・バルベルデ
- 第65回
- 2010年 ヴィンチェンツォ・ニバリ
- 第66回
- 2011年 クリストファー・フルーム
- 第67回
- 2012年 アルベルト・コンタドール
- 第68回
- 2013年 クリストファー・ホーナー
- 第69回
- 2014年 アルベルト・コンタドール
- 第70回
- 2015年 ファビオ・アル
- 第71回
- 2016年 ナイロ・キンタナ
- 第72回
- 2017年 クリストファー・フルーム
- 第73回
- 2018年 サイモン・イェーツ
- 第74回
- 2019年 プリモシュ・ログリッチ
- 第75回
- 2020年 プリモシュ・ログリッチ
- 第76回
- 2021年 プリモシュ・ログリッチ
- 第77回
- 2022年 レムコ・エヴェネプール
- 第78回
- 2023年 セップ・クス