ブエルタ・ア・エスパーニャとは?
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ブエルタ・ア・エスパーニャとは
ブエルタ・ア・アスパーニャとは
栄誉ある「マイヨ・ロホ」こと、真っ赤に燃えるリーダージャージを目指して男たちが凌ぎを削る
夏の地中海を愛で、厳しい山々に立ち向かう。己の限界に挑み、歴史と対峙する──。王者の証、赤いジャージを巡る旅。シーズン最後のグランツール、ブエルタ・ア・エスパーニャが熱き戦いを演出し、すでに快挙と記録に彩られた2026年の自転車ロードレースシーンは、いっそう鮮烈な輝きを放つ。
モナコからグラナダへ、総距離3275kmの旅
地中海岸の公国モナコで、第81回大会の幕は煌びやかに開ける。
「スペイン一周」が国外からスタートするのは、3年連続、通算7回目。また1966年ジロ・デ・イタリアでグランデ・パルテンツァを、2009年ツール・ド・フランスでグラン・デパールを迎え入れてきたモンテカルロは、今回の「サリダ・オフィシアル(salida oficial)」によって、3大ツールすべての開幕を見届けた世界で初めての都市となる。
全184選手のお披露目とともに、大会1枚目の総合リーダー「マイヨ・ロホ」を決する初戦は、8月22日(土)、全長わずか9.4kmの短距離個人タイムトライアル。翌2日目、23チームからなるプロトンはモナコを離れると、南フランスを軽く通過。ピレネー山脈のアンドラ公国に立ち寄り、大会5日目には、いよいよ本国スペインへと入る。
その後のブエルタ一行は、大急ぎで南を目指す。大会12日目にはイベリア半島南端のアンダルシア州へ到達し、そこから最終日までの10日間は、たっぷりとこの地を駆け巡る。
そしてグラナダでの、華やかなフィナーレへ。過去2度、ブエルタの開幕を受け入れたこの街が、今回は大会を締めくくる。マドリード以外でブエルタの最終ステージが行われるのは5年ぶり。アンダルシア州がその大役を担うのは、実に40年ぶり、2度目となる。
特別な機会にふさわしく、2026年ブエルタ・ア・エスパーニャの「戴冠式」は、グラナダ王朝の栄華を今に伝えるアルハンブラ宮殿で執り行われる。3週間前、荘厳なモナコ王宮に見下される都市から始まった戦いは、9月13日(日)、もう一つの王宮へと誘う激坂で、劇的かつ爆発的なクライマックスを迎えるのだ。
海は広く、山は高く
今年の大会開催委員会が掲げるキーワードは、2つ。その1つ目が、海だ。
なにしろ「情熱の赤」をまとった隊列は、3週間にわたり、地中海の青をなぞる。コート・ダジュール(紺碧海岸)を皮切りに、コート・アメシスト(アメジスト)、コスタ・ドラダ(黄金)、コスタ・デル・アサアール(オレンジの花)、コスタ・ブランカ(白)、コスタ・カリダ(温暖)、コスタ・トロピカル、コスタ・デ・ラ・リュス(光)──と海岸線は次々にその名を変え、最後にはコスタ・デル・ソル(太陽)へとたどり着く。
もちろん2つ目は、山。開催委員長ハビエル・ギジェンが「大会史上最難関」と自信を持って断言する通り、2026年ブエルタは例年以上に、起伏と山岳に満ちた大会に仕立て上げられている。
開幕タイムトライアルの翌日、選手たちはいきなりクラシック風のアップダウンステージに放り込まれる。しかも、獲得標高3000m超えの激戦がこれほど早い段階に組み込まれるのは、少なくとも21世紀に入ってからは今大会が初めて。3日目には標高約2000mでの山頂フィニッシュが待ち構え、4日目にはピレネーの高山を舞台に、クレイジーな難関山岳バトルが巻き起こる。
全21ステージの内訳は丘陵5、中級山岳4、難関山岳6。山頂フィニッシュは7回を数え、加えて上り坂フィニッシュも3回用意された。
たしかに2025年大会には10回もの山頂フィニッシュがねじ込まれていたから、ブエルタとしては、驚くべき数ではないかもしれない。ただし全日程を通しての累積獲得標高は、2026年大会は58000mを超える。これは昨大会より約4000mも多い。やはり史上最難関と謳われた今年のツールと比べても……3600m以上も多いのだ!
真のクライマー以外にとっては、厳しい日々が続く。それでも、平坦基調の個人タイムトライアルが2回(第1、第18ステージ)あり、大集団スプリントフィニッシュに持ち込めそうなステージも、5、6回は残されている。最終第21ステージはカテゴリー上は「平坦」に分類されているものの、ピュアスプリンターにとっては残念なことに、両手を天に突き上げられる可能性は限りなく低い。
過去と未来が交差する
5月のイタリアではヨナス・ヴィンゲゴーハンセンが史上8人目の3大ツール全制覇を成し遂げ、7月のフランスでは、タデイ・ポガチャルが史上5人目のツール・ド・フランス「5勝クラブ」入り。歴史的な快挙に彩られた2026年のグランツール。そのトリを飾るブエルタにもまた、チャンピオンたちが大きな記録を刻み、伝説を完成させるにふさわしい舞台が揃っている。
それは果たして、すでに黄色5枚・ピンク1枚を誇るポガチャルにとっての、最後の一枚……深紅の「ラ・ロハ」の獲得か。
今大会の第4ステージの舞台となるアンドラは、2019年、当時20歳だった神童が、記念すべきグランツール初出場・初区間勝利を手に入れた場所。しかもあの大会のポガチャルは、最終日前日の39kmもの独走の果てに、逆転で総合表彰台に飛び乗った。2026年ブエルタは記念すべきグランツール参戦10大会目にして、史上初の「初出場から10大会連続表彰台」の記録もかかっている。
プリモシュ・ログリッチの単独史上最多となるブエルタ総合5勝目も、本人にとってだけでなく、大会にとっても大きな悲願だ。
現時点では総合4勝で並ぶロベルト・エラスが、かつて稀代のクライマーとして歴史を刻んだ3つの山──バルデリナレス、カラル・アルト、シエラ・デ・ラ・パンデラが、今大会ではそれぞれ第7、12、14ステージの難関山頂フィニッシュ地として組み込まれている。これも、決して偶然ではないだろう。
もしかしたら、巨大な新星が、一気に表舞台へと台頭してくるのかもしれない。
第20ステージの終わりには、ブエルタ初登場にして、プロ自転車レース未踏の山、コリャド・デル・アルグアシルが聳え立つ。歴史を紡ぎ、過去の偉業を塗り替え、その先にある、まだ誰も知らない物語へと進んでいく。
text:宮本あさか
歴代優勝者
- 第1回
- 1935年 フスターフ・デロール
- 第2回
- 1936年 フスターフ・デロール
- 第3回
- 1941年 フリアン・ベレンデーロ
- 第4回
- 1942年 フリアン・ベレンデーロ
- 第5回
- 1945年 デリオ・ロドリゲス
- 第6回
- 1946年 ダルマシオ・ランガリカ
- 第7回
- 1947年 エドワード・ファン・ダイク
- 第8回
- 1948年 ベルナルド・ルイス
- 第9回
- 1950年 エミリオ・ロドリゲス
- 第10回
- 1955年 ジャン・ドット
- 第11回
- 1956年 アンジェロ・コンテルノ
- 第12回
- 1957年 ヘスス・ロローニョ
- 第13回
- 1958年 ジャン・スタブリンスキ
- 第14回
- 1959年 アントニオ・スアレス
- 第15回
- 1960年 フランス・デ・ムルダー
- 第16回
- 1961年 アンヘリノ・ソレル
- 第17回
- 1962年 ルディ・アルティヒ
- 第18回
- 1963年 ジャック・アンクティル
- 第19回
- 1964年 レイモン・プリドールr
- 第20回
- 1965年 ロルフ・ヴォルフショール
- 第21回
- 1966年 フランシスコ・ガビカ
- 第22回
- 1967年 ヤン・ヤンセン
- 第23回
- 1968年 フェリーチェ・ジモンディ
- 第24回
- 1969年 ロジェ・パンジョン
- 第25回
- 1970年 ルイス・オカーニャ
- 第26回
- 1971年 フェルディナント・ブラック
- 第27回
- 1972年 ホセ・マヌエル・フエンテ
- 第28回
- 1973年 エディ・メルクス
- 第29回
- 1974年 ホセ・マヌエル・フエンテ
- 第30回
- 1975年 アグスティン・タマメス
- 第31回
- 1976年 ホセ・ペサロドーナ
- 第32回
- 1977年 フレディ・マルテンス
- 第33回
- 1978年 ベルナール・イノー
- 第34回
- 1979年 ヨープ・ズートメルク
- 第35回
- 1980年 ファウスティーノ・ルペレス
- 第36回
- 1981年 ジョヴァンニ・バッタリン
- 第37回
- 1982年 マリーノ・レハレタ
- 第38回
- 1983年 ベルナール・イノー
- 第39回
- 1984年 エリック・カリトゥー
- 第40回
- 1985年 ペドロ・デルガド
- 第41回
- 1986年 アルバロ・ピノ
- 第42回
- 1987年 ルイス・エレラ
- 第43回
- 1988年 ショーン・ケリー
- 第44回
- 1989年 ペドロ・デルガード
- 第45回
- 1990年 マルコ・ジョヴァンネッティ
- 第46回
- 1991年 メルチョル・マウリ
- 第47回
- 1992年 トニー・ロミンゲル
- 第48回
- 1993年 トニー・ロミンゲル
- 第49回
- 1994年 トニー・ロミンゲル
- 第50回
- 1995年 ローラン・ジャラベール
- 第51回
- 1996年 アレックス・ツェーレ
- 第52回
- 1997年 アレックス・ツェーレ
- 第53回
- 1998年 アブラハム・オラーノ
- 第54回
- 1999年 ヤン・ウルリッヒ
- 第55回
- 2000年 ロベルト・エラス
- 第56回
- 2001年 アンヘル・ルイス・カセーロ
- 第57回
- 2002年 アイトール・ゴンサレス
- 第58回
- 2003年 ロベルト・エラス
- 第59回
- 2004年 ロベルト・エラス
- 第60回
- 2005年 ロベルト・エラス
- 第61回
- 2006年 アレクサンドル・ヴィノクロフ
- 第62回
- 2007年 デニス・メンショフ
- 第63回
- 2008年 アルベルト・コンタドール
- 第64回
- 2009年 アレハンドロ・バルベルデ
- 第65回
- 2010年 ヴィンチェンツォ・ニバリ
- 第66回
- 2011年 クリストファー・フルーム
- 第67回
- 2012年 アルベルト・コンタドール
- 第68回
- 2013年 クリストファー・ホーナー
- 第69回
- 2014年 アルベルト・コンタドール
- 第70回
- 2015年 ファビオ・アル
- 第71回
- 2016年 ナイロ・キンタナ
- 第72回
- 2017年 クリストファー・フルーム
- 第73回
- 2018年 サイモン・イェーツ
- 第74回
- 2019年 プリモシュ・ログリッチ
- 第75回
- 2020年 プリモシュ・ログリッチ
- 第76回
- 2021年 プリモシュ・ログリッチ
- 第77回
- 2022年 レムコ・エヴェネプール
- 第78回
- 2023年 セップ・クス
- 第79回
- 2024年 プリモシュ・ログリッチ
- 第80回
- 2025年 ヨナス・ヴィンゲゴーハンセン