ツール・ド・フランス2021

総合争いは前夜の個人タイムトライアルで全て終了した。第108回ツール・ド・フランスの戦いは、あとは恒例シャンゼリゼフィニッシュを残すのみ。

パリ西部の、セーヌ川に浮かぶ「印象派の島」を夕方のんびりと走り出すと、しばらくはご褒美のような時間が続く。チームメートやライバルと互いの健闘を称え合い、乾杯や記念写真を楽しむ。ちなみにスタート直後7.4km地点には、大会最後の4級グレ（登坂距離1.9km、平均勾配5％）が待ち受ける！

66kmほど走ったら、いよいよパリへと入場だ。左岸サンミシェル大通りを北上し、セーヌにかかる橋ポンヌフを渡り、ルーブル博物館の中庭を駆け抜ける。ちらりと見えるノートルダム大聖堂は、2年前の火災のせいで、いまだ本来の姿を取り戻せてはいないけれど..パリの街自体は、かつての賑わいを取り戻しているはずだ。昨秋は寂しいほどに静かだったシャンゼリゼにも、この夏はファンの歓声が鳴り響くだろうか。

おなじみシャンゼリゼの周回コースは全部で8周回。石畳の大通りを往復し、凱旋門をぐるりと周り、コンコルド広場を突き抜け...そして美しきフィナーレへ。2005年には衝撃的なアタック勝利が決まったこともある。ただ伝統と格式に則れば、3週間の熱き戦いの幕を閉じるのは、やっぱり華やかな大集団スプリントなのだ。

文：宮本あさか