ツール・ド・フランス2021

2021年ツールの総合争いは、個人タイムトライアルで締めくくられる。パリ到着前夜にストップウォッチとの戦いが組み込まれるのは、過去10年で7度目。2012年大会を除くすべてで表彰台の順列が入れ替わり、特に2011年と2020年はマイヨ・ジョーヌ交代劇さえ演出した！

前日フィニッシュ地リブルヌからサン＝テミリオンまでの、30.8kmの全力疾走。ポムロル、リュサック、モンターニュ、サン＝テミリオン..と高級ボルドーワインの産地がコース上に点在し、つまり選手たちはぶどう畑の合間を駆け抜ける。難しい起伏は皆無ながら、直角コーナーはいくつも待ち受ける。一方でラスト5kmはひたすらまっすぐな道を突き進む。第1中間計測地点は7.6km（残り23.2km）、第2計測は20.1km（残り10.7km）。開催委員会の計算によれば、フィニッシュタイムは約36分。

グランド・ミュライユ（大きな壁）と呼ばれる古代遺跡と、その周りに広がる同名ワインのぶどう畑の目の前で、ついに今年のマイヨ・ジョーヌ争いは決する。残念ながら美味しいお酒をゆっくりと楽しむ暇はなさそうだ。翌日のシャンゼリゼ入り目指して、ツール一行は、約600kmの大移動へと走り出す。

文：宮本あさか