ブエルタ・ア・エスパーニャ2022

オランダで過ごす最後の日。まるで名残を惜しむかのように、プロトンは、今ブエルタ最長ステージを戦う。そうは言っても200kmを超えることもない。また、地形的には、前日以上にフラットだ。なにしろ累計獲得標高差は、タイムトライアル区間を除いて今ブエルタで最少。たったの210m！

「南の真珠」と呼ばれるブレダを起点に、ステージは反時計周りで大きく輪を描く。16世紀半ばにスペイン・オランダ間で勃発した八十年戦争で、幾度となく激戦の中心地となったこの町は、スペイン巨匠ベラスケスの絵画「ブレダの開城」でも知られる。そして、かつては要塞であり、その後ルネサンス様式に建て替えられたブレダ城の前から、この日のプロトンは戦いへと飛び出す。

行く手には4級山岳という名の……登坂距離400m、勾配3.7％の小さな突起1つだけ。ただし日とは違い、ステージ全体が細かいカーブの連続で、それが緊迫感あふれる戦いを作り出すかもしれない。フィニッシュまで残り2.5kmと残り800mには、90度カーブも組み込まれた。スプリント隊列が熾烈なポジション争いを繰り広げること間違いなし。

翌日は早くも大会1度目の休息日。直線距離にして約1300kmの大移動を経て、スペイン・バスク地方へとブエルタ一行は飛ぶ。

文：宮本あさか