コースの特徴
19日間かけて築き上げられてきた総合の序列が、1日でひっくり返ってしまうかもしれない。そんな可能性を秘めたクイーンステージが、最終日前日に待ち構える。累積獲得標高は5450m。アルプスを代表する伝統峠を越え、未知の超級峠に遭遇し、アルプ・デュエズを裏側から駆け上がる。パリ到着の24時間前、ツールは最大のクライマックスを迎える。
大きな上りと長い下りしかない。普段は21のヘアピンカーブの登坂口となるル・ブール・ドワザンを出発すると、今回は超級山岳クロワ・ド・フェールを目指す。全長24kmとうんざりするほど長い山道には、9〜11%の激勾配ゾーンもあちこちに散りばめられている。
30km近いダウンヒルを終えたら、休む間もなく、1級山岳テレグラフと超級山岳ガリビエの連続登坂へ突き進む。前者は11.9km・7.1%、後者は17.7km・6.9%。ただ1911年にそろって初めてツールに登場して以来、幾度となくセットで使われてきた両峠は、むしろ35kmを超える一本の長い上り。その間にあるのは、わずか5kmほどの下りだけ。薄い酸素の中でもがき続けた先には、大会最高標高2642mの頂が待っている。山頂には大会創始者を記念する「アンリ・デグランジュ賞」が懸けられ、先頭通過者の勇気を称える。
このガリビエこそが、アルプスで最も登坂されてきた峠であり、今回で65回目を数える。数々の伝説が生まれ、現代のツールの物語においても、極めて重要な位置を占める。例えば2022年は当時ユンボ・ヴィスマが凄まじい波状攻撃を敢行。マイヨ・ジョーヌのポガチャルを徹底的に揺さぶり、1日の終わりにジャージをむしり取った。逆に2024年4日目は反対側からガリビエを越え、今度はポガチャルが山頂間際でアタック。そのままマイヨ・ジョーヌを獲得すると、パリまで一度も手放さなかった。
そんな巨人から35kmのダウンヒルを終えると、真新しい物語の舞台が現れる。超級山岳サレンヌへの、未知のルートからの登坂──。
実は2013年の第100回大会で一度だけ、アルプ・デュエズ側からサレンヌを越えたことがある。当時、安全面での配慮から、道幅の狭い下り区間は無観客で実施された。その下りが、今年2026年、超級山岳に姿を変える。全長12.8km、平均勾配7.3%。山頂間際に3kmにわたり10%前後の急勾配が続き、3週間の終わりの疲弊した脚に、最後の試練を突きつける。
フィナーレは東側からアルプ・デュエズへ。ラスト3.5kmで表側のルートへ合流し、21のヘアピンカーブのうち最後の3つをこなして、栄光のフィニッシュへ飛び込む。マイヨ・ジョーヌ争いのサスペンスも、ついに幕を閉じる。黄色い王者を抱いた一行は、630kmの大移動を経て、翌日パリのシャンゼリゼへと凱旋を果たす。
文:宮本あさか
| 残り距離 | ポイント | 現地時間 | 日本時間 | ||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 36 km/h | 34 km/h | 32 km/h | 46 km/h | 34 km/h | 32 km/h | ||
| 170.9 km | オフィシャル スタート |
11:30 | 11:30 | 11:30 | 18:30 | 18:30 | 18:30 |
| 137.2 km | 超級山岳 | 12:38 | 12:44 | 12:49 | 19:38 | 19:44 | 19:49 |
| 104.4 km | 中間SP | 13:16 | 13:23 | 13:30 | 20:16 | 20:23 | 20:30 |
| 83.3 km | 1級山岳 | 13:56 | 14:07 | 14:17 | 20:56 | 21:07 | 21:17 |
| 60.4 km | 超級山岳 | 14:43 | 14:57 | 15:11 | 21:43 | 21:57 | 22:11 |
| 14.4 km | 超級山岳 | 15:51 | 16:08 | 16:28 | 22:51 | 23:08 | 23:28 |
| 0.0 km | フィニッシュ | 16:11 | 16:29 | 16:50 | 23:11 | 23:29 | 23:50 |
