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ABOUT ツールとは

ツール・ド・フランスとは

栄誉ある「マイヨ・ジョーヌ」こと、黄色に輝くリーダージャージを目指して男たちが凌ぎを削る

毎年7月の3週間、フランスの町や村が黄色に染まり、小さな田舎道や山道が巨大なスポーツスタジアムに変わる。全長3500kmもの長いコースには、約1500万の観衆が詰めかけ、勝者だけでなく全ての選手に心からの声援をおくる。地球上の190カ国のファンは、時差を乗り越え、TV画面の中のヒーローを見つめる。1903年にパリで産声を上げたフランス一周レースは、21世紀の現代も、毎夏、我々の心を震わせる。

今大会概要

2018年7月7日、世界最大の自転車レースが、ヴァンデ県の、大西洋に浮かぶ小島ノワールムティエ・アン・リルで開幕を迎える。そこから全長583mのノワールムティエ橋を渡って本土に上陸すると、いよいよ3週間の熱い戦いへと走り出す。

全21ステージの内訳は平坦8、起伏6、難関山岳6(うち山頂フィニッシュ3回)、個人タイムトライアル1、チームタイムトライアル1。休息日は2回で、飛行機移動も2回。進行方向は時計回りで、アルプス→ピレネーの順に難関山脈を越える。また第16ステージでほんの一瞬スペインを通過する以外は、フランス本国のみでレースは行われる。

第105回大会のプロトンは、昨大会までと比べて一回り小さくなる。参加チーム数は22(UCIワールドチーム18+招待チーム4)と変わらないが、1チームあたりの構成人数が9人から8人へと減らされた。つまり計176選手がマイヨ・ジョーヌ争奪戦を繰り広げることになる。

今大会最初のイエロージャージをもぎ取るのは、おそらくスプリンターに違いない。ヴァンデ県での開幕の2日間は、ほとんど難所の存在しない平坦ステージが用意されている。

そもそも2018年ツールは序盤9日間を「平地」で過ごす。過去2大会は大会5日目に山岳ステージ+山頂フィニッシュが行われたが、2018年大会は第10ステージまで山には足を踏み入れない。かといって平坦で平凡なステージが続くわけでもない。第3ステージにはチームタイムトライアルが組み込まれた。約35kmの団体種目は、総合争いの選手たちにとっては、絶対に失敗のできない1日となるはずだ。また5日目はクラシック風な起伏尽くしだし、6日目はおなじみの激坂ミュール・ド・ブルターニュでの登坂フィニッシュ。しかも2回登坂だ!

なにより第9ステージには、大会前半戦のクライマックス、「北の地獄」が待っている。パリ〜ルーベで実際に使用される石畳を全15セクターに渡って拝借する。しかも石畳の通算距離は、21世紀ツールとしては最長の計21.7km。体の細いクライマーたちが、無傷でフィニッシュにたどり着ける保証など一切ない。

ちなみに平地の序盤9日間に、開催委員会はちょっとした工夫をこらした。チームタイムトライアルを除くラインステージで、毎日1ヶ所ずつ、ボーナスポイント地点が登場するのだ。この地点を上位通過した3選手には3秒、2秒、1秒のボーナスタイムが与えられる(フィニッシュラインでは10秒、6秒、4秒)。マイヨ・ヴェール争いに関わる中間スプリントとはまったく別の場所に設定されるため、純粋に「秒数を稼ぎたい」選手たち、つまりマイヨ・ジョーヌが欲しい選手たちによるスプリント争いが見られるはずだ。

ルーベから飛行機でアヌシーへ飛び、第1回目の休息日をアルプスの麓で過ごしたら、いよいよ第10ステージから本格的な山越えが始まる。アルプス初日にはグリエール山頂に約2kmの「未舗装路」が待っている。アルプス後半2日間は山頂フィニッシュ。しかも3日目の第12ステージはマドレーヌ、クロワ・ド・フェールといった2000m級の巨大峠を2つ越え、モンヴェルニエとラルプ・デュエズという「つづら折り」で有名な2峠に立ち向かう。登坂距離はなんと通算72km、累計標高差は5000mにも達する!

アルプスを抜けたら、1日平地を挟んで、すぐに中央山塊へ。かつて数々の名勝負を生んできたマンドの激坂クロワ・ヌーヴが、第14ステージの審判を下す。翌日第15ステージにも、3つの峠が行く手に立ちはだかる。

城塞都市カルカッソンヌで2回目の休息日を終えると、プロトンはピレネーで最後の1週間を過ごす。200kmを超えるコースの、ラスト70kmに難峠がギュッと詰め込まれた第16ステージの翌日に、後半戦最大の目玉ステージがやって来る。

第17ステージはまずなにより距離が65kmと極めて短い。しかもステージ直後から道は登り始め、1級ペイラギュード、1級ヴァル・ルーロン・アゼ、さらには超級ポルテと3つの難峠が立て続けに襲いかかる。大会史上初登場の最終峠ポルテは、登坂距離16km、平均勾配8.7%と、今ツール屈指の難峠だ。さらにスタートは総合順位別に順々に出走していくウェーブ方式。つまりスタートと同時に、アシストのいない丸裸の状態で、総合エースたちが山道に放り出される可能性も大いにあるのだ。

第19ステージで伝統のトゥルマレ越えを果たし、最後の山の戦いを終えても、総合の争いはまだ終わりではない。第20ステージの個人タイムトライアルが、表彰台の顔ぶれを..さらにはマイヨ・ジョーヌの持ち主さえも変えてしまうかもしれない。フレンチバスクに描かれた全長31kmのコースは、スタートからフィニッシュまで激しい起伏に満ちている。しかもフィニッシュ手前3km地点には登坂距離900m・平均10.2%の激坂さえ立ちはだかる。

エスプレットで全力疾走を終えたら、あとはパリまで800kmをひとっ飛び。最終日はおなじみシャンゼリゼ大通りでの、大集団スプリントフィニッシュで、2018年ツール・ド・フランスは華やかに幕を閉じるのだ。

前回大会を振り返る

ユネスコ世界遺産のモンサンミシェルから走りだした2016年大会の、第一幕は、スター選手たちによる初めてのマイヨ・ジョーヌで彩られた。

雨のデュッセルドルフで、クリス・フルームの圧倒的優位が早くも明らかになった。初日の個人タイムトライアルで区間6位に食い込み、あらゆる総合ライバルから30秒以上ものリードを手に入れたのだ。チームメートのゲラント・トーマスが大会初日のマイヨ・ジョーヌに輝き、第5ステージで大会初の山頂フィニッシュを終えると、フルームが黄色を引き継いだ。

第9ステージではメカトラで立ち止まった瞬間に猛攻撃されるも、フルームは無事にやり過ごした。むしろ、アルプスの激勾配が連続で襲いかかったこの日、ライバルたちが次々と戦いから脱落していった。アルベルト・コンタドールは落車でタイムを失い、ナイロ・キンタナは力尽き、リッチー・ポートが激しい落車で大会を去った。

一方ピレネーでのフルームは、大会後の告白によると、あわや大会を落とすところだった。「バッドデー」に見舞われた第12ステージ、スカイがチーム総出で1日中完璧な集団制御を行うも、ラスト400mの激坂ゾーンで脚が止まった。マイヨ・ジョーヌをファビオ・アルに奪い取られ、ロマン・バルデとリゴベルト・ウランにも大きく差を詰められた。

しかし体調をすぐに取り戻したフルームは、わずか2日後に大切なジャージを奪い返した。それ以降、パリまで、決して誰にもマイヨ・ジョーヌを手放さなかった。それどころか、ほんの23秒差に迫っていたバルデを、最終日前日の個人タムトライアルで2分20秒差へと突き離した。

フルームは自身4度目の総合優勝を果たし、バルデは2年連続で総合表彰台に上がった(3位)。ジロ・デ・イタリアでは2度の総合2位の経験を持つウランが、ツールでは初めて総合2位についた。

緑ジャージの争いは混沌を極めた。なにしろ5年連続でポイント賞を勝ち取ってきたペテル・サガンは、第4ステージで大会追放処分。その4日目からマイヨ・ヴェールを着たアルノー・デマールは9日目にタイムアウトで帰宅。さらにはスプリント区間5勝で大暴れしたマルセル・キッテルは、第17ステージで落車し、緑ジャージ姿で途中リタイアを余儀なくされたからだ。最後に笑ったのはマイケル・マシューズだった。第14ステージと第16ステージを制し、さらにはサガン風に大逃げでポイント収集に励むと、生まれて初めてのポイント賞ジャージを持ち帰った。

大会中にマシューズのルームメートをつとめたワレン・バルギルは、赤玉の人気者になった。ピレネーで1区間、アルプスで1区間を制する大活躍を見せ、山岳賞を勝ち取った。1000km以上逃げ、ファン投票では1位に輝いたトーマス・デヘントを退けて、スーパー敢闘賞さえ手に入れた。新人賞の白いジャージは2016年大会のアダムに続き、双子の片割れサイモン・イェーツが身にまとった。

photo : ©Yuzuru Sunada

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