ツール・ド・フランス2021

2021年大会のクライマックス、ピレネーの5日間＋休息日1日がいよいよ始まる。前日のフィニッシュ地カルカッソンヌから走り出す初日は、逃げ好きたちを大興奮させる中級アップダウンステージだ。

なにしろ行く手には5つの中級山岳（2級3つ、3級2つ）に、いくつもの無印の出っ張りが待ち受ける。いずれもなかなかの急坂揃い。ステージ半ばの2級モンセギュールは平均勾配8.7％・最大11％、残り57km地点の3級ガリナグは平均9％、そして最終2級サン・ルイ（ボーナスポイント）は平均7.4％・最大12％と、ライバルたちを突き放すチャンスはあちこちに散らばっている。

もちろん上りの数だけ、曲がりくねった下りも登場する。ただ最終2級山頂からフィニッシュまでの約17kmの下り坂は、道幅こそひどく狭いものの、難しいカーブは一切ない。猛スピードのダウンヒルバトルが見られそうだ。

フランス最古のプロクリテリウムを主催し、2010年には我らが新城幸也が第67代クリテ王者になったことでも記憶されるキアンの町が、ツールのプロトンを迎え入れるのはなんと史上初めて。ちなみに昨夏は中止となったプロクリテは、今年は8月15日に開催予定。この日の初代区間勝者は、きっと、真っ先に出走招待状を受け取るに違いない。

文：宮本あさか