コースの特徴
159kmという短い距離に、5つの山が所狭しと並べられ、獲得標高差は4200mに達する。しかも大会最終週のこの水曜日が、早くも最後の山頂フィニッシュ。総合表彰台争いはもちろん、山岳賞争いも大詰めを迎える。
スタートと同時に山登り。前夜フィニッシュを争った地の隣町、セルヴァ・ディ・ヴァル・ガルデナ発のパレードランからそもそも道は上り始め、8.9km地点で早くも2級山頂パッソ・セッラ(登坂距離8.9km、平均勾配7.4%、最大11%)を乗り越える。いまだ大会に生き残るスプリンターたちは、大急ぎで最適なグルペットを作り上げねばならない。
上れるだけでなく、下れてこそ真の山男。2級セッラからのダウンヒルは、約38kmとうんざりするほど長いのだ。ちなみに今年のジロでは2026年冬季五輪の会場となるリヴィンニョやステルヴィオを巡ってきたが、下りきった先の1回目の中間ポイントでは、スキージャンプ会場のプレダッツォを通過する。
谷間で体制を整え直す余裕などない。下りきった直後に、道はすぐさま上りに転じる。立て続けに1級山岳パッソ・ロッレの長く緩やかな上り(19.8km、4.8%)と長い下り(27km)をこなし、短い3級山岳パッソ・ゴッベラを駆け上がり、下りで恐ろしいほどのヘアピンカーブを攻略して……。一瞬たりとも平地は存在しない。
パッソ・ブロコンを2回上る
最終峠パッソ・ブロコンには、異なる方向から2回挑みかかる。まずは北東からのアタック。全長15.4km・平均勾配5.6%の山道は、緩い序盤部分を除いても、勾配は6.3%程度に留まる。
上りきった先で、フィニッシュ脇を通過しつつ急降下したら、次は南西から攻める。1度目は2級に指定されたが、2度目にして最終登坂は、もちろん1級山岳(11.8km、6.6%、13%)。つまり1等賞の選手には、最大級の山岳ポイントが用意されている。
2度目の登坂路は2022年ツアー・オブ・ジ・アルプスの初日でも使用され、勾配が比較的易しい序盤5kmは、カーブがほぼ存在しない。ところが中盤に入ると突如ヘアピンカーブが出現し、同時に勾配も跳ね上がる。2km弱にわたり8.5%の難ゾーンが、さらには3km弱にわたり10.5%の激ゾーンが待ち受ける。
ラスト2kmでほんの少しだけ勾配が和らぐが、すぐに8%強に立ち返る。最後の最後まで、決して力を緩めることは許されない。
text:宮本あさか
関連観光グルメ
第17コースのスタート地点であるセルヴァ・ディ・ヴァル・ガルデナは、独特のラディン文化を持つ地域。
美食文化も充実しており、大麦のスープ「パニシア」、ザワークラウト(ドイツ由来のキャベツの漬物)入りのポテトシート「グロスティ・ダ・パタク・イ・クラウト」、伝統的なラディン料理モサ「ジュファ」、ほうれん草のケーキ「クラフンチンス・ダ・ウラ・ヴェルダ」、フルーツパン「フイアシア」などの南チロル料理を楽しむことができる。
ポイント | 残り距離 | 現地時間 | 日本時間 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
36 km/h | 34 km/h | 32 km/h | 36 km/h | 34 km/h | 32 km/h | ||
オフィシャル スタート |
159.0 km | 12:30 | 12:30 | 12:30 | 19:30 | 19:30 | 19:30 |
2級山岳 | 150.1 km | 12:55 | 12:57 | 13:01 | 19:55 | 19:57 | 20:01 |
中間SP | 112.3 km | 13:40 | 13:44 | 13:50 | 20:40 | 20:44 | 20:50 |
1級山岳 | 91.4 km | 14:21 | 14:29 | 14:38 | 21:21 | 21:29 | 21:38 |
3級山岳 | 58.6 km | 15:07 | 15:17 | 15:29 | 22:07 | 22:17 | 22:29 |
インテルジロ | 47.0 km | 15:22 | 15:32 | 15:45 | 22:22 | 22:32 | 22:45 |
2級山岳 | 31.8 km | 15:58 | 16:12 | 16:29 | 22:58 | 23:12 | 23:29 |
中間SP | 11.8 km | 16:22 | 16:37 | 16:54 | 23:22 | 23:37 | 23:54 |
1級山岳 フィニッシュ |
0.0 km | 16:53 | 17:11 | 17:31 | 23:53 | 00:11 | 00:31 |