サイクルロードレース用語集
サイクルロードレース用語集
あ行
アクチュアルスタート
海外レースでは多くの場合スタートラインでの号砲はニュートラル走行開始の合図であり、アタックを伴うレースが始まるのはアクチュアルスタート(正式スタート)が切られてから。スタートラインを離れるとまずはゆったりとしたパレード走行が始まり、ニュートラル区間で全ての選手が機材トラブルなく走行していることを確認後、あらかじめ設定された0km地点(大抵は安全な幹線道路)に差し掛かったところで先導車に乗ったレースディレクターが旗を振るなどしてアクチュアルスタートの合図を出す。アクチュアルスタートが切られるまで、アタックなどの動きは許可されていない。
アシスト
チームスポーツであるロードレースでは、チーム内の役割が明確に決められている。勝利を狙う選手がエースと呼ばれるのに対し、そのエースの勝利をサポートしてお膳立てするのがアシストの役割。エースのために風よけになり、エースに補給食を渡し、勝負どころではエースを前に引き上げ、エースがパンクした場合はホイールを差し出すなどその仕事は多岐にわたる。アシストは100%エースのために奉仕する必要があり、チームの許可を得て初めて自分の勝利を狙って走ることができる。もちろんエース不調の場合はアシストが代わりに勝利を狙う役割を担うことも。
アタック
ライバルたちを振り切るために急加速すること。逃げグループ形成に向けてレース序盤にメイン集団を飛び出す行為もアタックと呼ばれる。登りの勾配が増せば増すほどスピードが落ち、スリップストリームが効かなくなるためアタックが決まりやすい。登りだけでなく、風を利用して平坦路で飛び出すことや、テクニックを駆使して下りで飛び出すこともアタックと呼ぶ。
アルカンシェル
マイヨ・アルカンシェルの略。フランス語で「虹」を意味する言葉で、五大陸を表す五色のストライプ(緑、黄、黒、赤、青)をあしらった世界チャンピオンジャージのことを指す。ロードレースとタイムトライアルそれぞれにアルカンシェルが設定されているが、ロードレース世界チャンピオンはロードレースでのみ、タイムトライアル世界チャンピオンはタイムトライアルでのみ着用が許されている。なお、世界チャンピオン経験者は通常のチームジャージの袖口に五色のストライプをあしらうことができる。
エース
チームスポーツであるロードレースでは、チーム内の役割が明確に決められている。アシストのサポートを受けながら、チームのために勝利を狙うのがエースの役割。チーム内に力が拮抗する2選手がいる場合は、レースの展開や選手の調子に合わせて役割を調整するダブルエース体制を取る場合もある。ステージレースでは総合成績を狙う選手がエースになる(総合エースとも呼ばれる)場合が多いが、メンバー構成によってはステージ優勝やポイント賞を狙うスプリンターがエースの座を担う場合も。
エシュロン
横風区間で形成される斜め隊列を指すフランス語。通常、向かい風や無風もしくは微風の状態では空気抵抗軽減のために前走者の真後ろのスリップストリームに入るが、真横や斜め後ろから風を受ける場合は前走者の真後ろではなく風下に少しズレた斜め後ろに位置する必要があり、そのズレが重なった結果、集団は縦ではなく風下に向かって斜めに形成される。コースの道幅に制限があるため後方の選手はどうしても前走者のスリップストリームに入ることができなくなり、新たに斜め隊列(エシュロン)を組まなければならなくなるため集団が分裂する。
エスケープ
メイン集団から飛び出して、単独もしくは複数人、時に数十人の選手により形成される先行グループのこと。逃げに選手を送り込んだチームの他の選手たちは、逃げを追いかける必要がなくなるため、集団内で体力を温存することができる。また、先に逃げグループに入って先行し、レース後半に後方から追いついてくるエースをアシストする戦術を「前待ち」と言う。日本語では逃げ、フランス語ではエシャペ。
オールアウト
力を出し尽くすこと。アシスト選手はオールアウトするまでエースのために働き、またエース選手はオールアウトするまで追い込んでそれに応える。フィニッシュの時点で出し切るのが理想的であり、早めに失速することを「たれる」や「脚が売り切れる」と言う。
オールラウンダー
文字通りオールラウンドな脚質の持ち主。一般的には、山岳でクライマーと、そしてタイムトライアルでTTスペシャリストと渡り合い、グランツールをはじめとするステージレースで総合成績を狙うことのできる総合系選手を意味する。近年はワウト・ファンアールトのように山岳とタイムトライアルに加えてスプリントまでこなす新種のオールラウンダーも出現している。
か行
カウンターアタック
アタック吸収後にすかさずアタックを仕掛けること。大抵の場合、アタック後に吸収された選手は力を消耗していることが多いため、カウンターアタックは決まりやすい。
クイーンステージ
ステージレースにおける最難関ステージの意味。明確な定義はないものの、例えばアルプスやピレネー、ドロミテといった山脈の超級山岳がいくつも登場し、獲得標高差が5,000mを超えるような難関山岳ステージである場合が多い。フランス語ではエタップ・レーヌ、イタリア語ではタッポーネ。
クライマー
山岳の登り(クライミング)を得意とする選手。他の脚質の選手よりも体重が軽く、パワーウェイトレシオが高いため、登りを軽快に走ることができる。純粋に登りが得意(他の分野は苦手)な選手のことをピュアクライマーと呼ぶ。伝統的にコロンビアなど中南米の国々やスペインがクライマーの名選手を生んできた。
クラシックレース
ロードレースの黎明期から開催されている伝統的なワンデーレースの意味。中でも100年以上の歴史を誇るリエージュ〜バストーニュ〜リエージュやパリ〜ルーベなど、格式の高いクラシックレースはモニュメント(世界五大クラシック)と呼ばれる。なお、クラシックレースと呼ばれるのはワンデーレースに限る。ツール・ド・フランスなどのグランツールも歴史が長いものの、複数日にかけて開催されるステージレースの場合はどれだけ古くてもクラシックレースとが呼ばない。
グラベル
英語で未舗装路や砂利道の意味。2007年に初開催されたイタリアのストラーデビアンケがロードレースにグラベル区間を組み込む先駆け的な存在であり、以降、展開に刺激を加える要素として様々なレースにグラベル区間が組み込まれてきた。タイヤのワイド化やディスクブレーキの標準化によってグラベルブームが巻き起こり、近年ではグラベルレースが世界各地で開催されている。2022年にはUCI公認のグラベルレースシリーズや世界選手権も初開催。引退選手やチーム契約を失ったロードレース選手がグラベルレーサーに転向するのがトレンドになっている。
グランツール
世界三大ステージレースであるツール・ド・フランス、ジロ・デ・イタリア、ブエルタ・ア・エスパーニャを指すフランス語で、イタリア語ではグランディジーリ。3週間にわたって、合計21ステージで開催されるのが特徴で、それぞれ「(開催国)一周レース」を意味する。開催期間や開催年数、開催規模は他のステージレースとは別格。なお、ツール・ド・スイスは格式の高さから「第4のグランツール」とも呼ばれる。
クリテリウム
距離の短い平坦な周回コースで開催されるレース。概ね1kmから5kmの周回コースを時に何十周とするフォーマットで、必然的にスプリンターが勝利に絡みやすい。レースに刺激を与えるために、指定周回にボーナスポイントが設定されている場合が多い。オーストラリアなど、国内選手権にクリテリウムカテゴリーを設定している国もあるが、UCIレースとしての開催は稀。例えば「ジャンカップサイクルロードレース」の本戦前日には顔見せの意味合いが強いクリテリウムが平坦周回コースで開催される。近年はツール・ド・フランスで活躍した選手を招待しての「ツール・ド・フランスさいたまクリテリウム」も開催されている。
グルペット
ステージレースの山岳ステージでメイン集団から脱落した選手たちの集団。主にスプリンターをはじめとする重量級選手で構成される場合が多く、設定されたタイムリミット内での完走を目指す。仮に何十人という選手で構成されたグルペット(当日出走選手の20%以上の選手)がタイムリミット内でフィニッシュに辿り着かなかった場合は、審判団の判断により救済措置が取られる場合もある。その場合はポイント賞ランキングの20ポイントが取り消されるなどのペナルティーを受けるがレースには残ることができる。山岳ステージでグルペットから脱落するとタイムリミット内での完走が厳しくなるため、登りを苦手とするスプリンターたちにとってはグルペットが最後の砦となる。
ケイデンス
1分間におけるペダルの回転数。rpm(ローテーションズ・パー・ミニット=毎分回転数)の単位で表される。選手たちは概ね90rpmのケイデンスでペダルを回し続けるが、軽いギアを回すハイケイデンス(高回転)を好む選手や、逆に重いギアを踏むローケイデンス(低回転)を好む選手もいる。
コミセール
審判や競技役員を意味するフランス語。他スポーツでは英語のジャッジやレフェリーと呼ばれるが、ロードレースではコミセールの呼称が使用される。審判団のことをコミセールパネル、審判長のことをチーフコミセールと呼ぶ。
コミュニケ
レース主催者や審判団からの発表文書を意味するフランス語。レース前に発表されるレース要項や連絡事項から、レース後のリザルトまで、コミュニケという形で提供される。
獲得標高差/累積標高差
コース上の登りの合計数値を示す。一般的に獲得標高差は「コース上の最高地点からスタート地点の標高を引いた数字」とされるが、ロードレースでは累積標高差とともに「コース上のすべての登りを合計した数字」とされている。例えば標高0m地点をスタートして標高1,000mの峠を越え、標高500mまで下り、標高1,500mの峠を越えてから標高500mにフィニッシュするコースの獲得標高差は2,000mとなる。グランツールのクイーンステージでは獲得標高差が5,000mを超えることもあり、2022年ジロ・デ・イタリアの3週間の総獲得標高差は51,000mに及んだ。
敢闘賞
各ステージで最も勇敢な走りをした選手に与えられる特別賞。ツール・ド・フランスには1952年に導入され、ステージ敢闘賞を獲得した選手は翌日のステージで赤色ゼッケンの着用が認められる。明確な定義はないが、逃げグループの中で最後まで健闘した選手に与えられることが多く、トラブルを乗り越えた選手やエースのために奮闘したアシスト選手などが選ばれることも。審判団によって選出されるレースが多いが、SNSを活用したファン投票によって決まるレースもある。
脚質
選手の脚の性質やキャラクター。実際には脚の筋肉の違いではなく、得意とするパワーバンドと持続時間の違いを意味する。例えば山岳を得意とするのがクライマーで、スプリントを得意とするのがスプリンター、長距離の独走を得意とするのがルーラー、タイムトライアルを得意とするのがTTスペシャリスト、それら全てを兼ね備えたのがオールラウンダー、など。
休息日
長いステージレースに設定される「レースのない日」。3週間のグランツールでは合計2回(大会2週目と3週目の月曜日)設定されるが、国外で開幕した場合や大移動を含む場合は例外的に休息日が3回設定されることもある。休息日を含めると合計21ステージのグランツールの開催期間は23日間となる。どれだけ好調でも休息日翌日のステージでリズムを崩して大失速するパターンもあるため、ほとんどの選手は休息日も数時間のリカバリーライドに出かける。
吸収
レース前半から逃げていた選手たちなど、先行していた選手たちをメイン集団が捕まえること。そこから新たに逃げが生まれるか、メイン集団のままフィニッシュになだれ込むか、逃げの吸収はレース展開の大きな転換点になる。早めに逃げを吸収してしまうとレースが再び不安定な状態になるため、できるだけ長時間逃げを泳がせて、フィニッシュに近いところで吸収するのが定石。だが、早めの吸収を嫌って泳がせた結果、逃げグループとのタイム差と距離の計算を誤ると思わぬ逃げ切りが決まることも。
牽引
他の選手よりも前を走り、自ら風よけとなってグループや集団を率いること。チーム戦略としてアシスト選手がチームメイトたちと隊列を組んで牽引することもあれば、思惑が一致する他チームの選手たちと協力して先頭交代しながら牽引することもある。平坦ステージでチームのエーススプリンターを勝たせるためにアシスト選手たちが集団を牽引するのはロードレースの定番の光景。
さ行
サコッシュ/ミュゼット
古くからロードレースで使用されている簡易バッグを意味するフランス語。補給地点でチームスタッフは補給食やボトルをサコッシュに詰め込んで選手に渡し、選手はサコッシュを肩がけして必要なものを口にするもしくは背中ポケットに入れる。使用後のサコッシュは沿道に投げ捨てられるため、長年ファンにとって絶好のお土産となってきたが、近年は再利用のためにボトルとともにチームカーに返却する場合もある。
シッティング
サドルに座った状態でペダリングすること。日本語で言うところの座り漕ぎ。上半身の筋肉を使いにくいため高出力は出しにくいが、リラックスして長時間にわたってペダリングできる。
ステージレース
1日で完結せずに、複数日にわたって開催されるロードレース。1日のレースをステージと呼び(初日は第1ステージ、2日目は第2ステージなど)、毎日ステージ優勝が争われる。他にもステージ成績を積算した個人総合成績やポイント賞、山岳賞、ヤングライダー賞などの特別賞も設定され、それぞれリーダージャージが設定されることが多い。2日間であってもステージレースと呼ばれ、最長はグランツールの3週間。
ステージ優勝
複数日にわたって開催されるステージレースにおける1日ごとの優勝。もちろん最も栄誉があるのは総合優勝だが、ステージ優勝も同様に価値がある。総合優勝を狙うことができないスプリンターにとっては、ステージ優勝の量産とステージ順位によるポイント賞が目標となる。
スプリンター
スプリント(短時間高速走行)するのが得意な選手。時に時速70kmを超えるようなスピードでフィニッシュに突っ込むレースの花形であり、他の脚質の選手と比べて大柄で筋肉隆々な選手が多く、短時間高出力でもがいてトップスピードを競い合う。その反面、登りを苦手とする選手が多く、ステージレースの山岳ステージでは勝負に絡むことができない。よほど平坦なコース設定ではない限りステージレースで総合優勝を狙うのは難しい。
スリップストリーム
走行する選手の後ろに発生する、空気抵抗が少ないエリアのこと。路面抵抗ではなく空気抵抗との戦いであるロードレースでは、いかに前走者のスリップストリームに入って体力を温存できるかが肝となる。スピード域が上がれば上がるほど空気抵抗が増すため、特に高速走行が続くスプリント勝負ではチームメイトやライバル選手のスリップストリームに入って仕掛けるタイミングを待つ。
セミクラシック
主要なクラシックレースの前哨戦として開催される比較的歴史が浅いワンデーレース。例えば2月下旬に開催されるオンループ・ヘットニュースブラッドやクールネ〜ブリュッセル〜クールネはフランドルクラシックの開幕を告げるセミクラシックであり、イタリアのミラノ〜トリノ、フランスのGPドゥナンなどがセミクラシックに該当する。
三味線
一般的に使用される「適当なことを言って相手をごまかす」という意味の「三味線を弾く」がロードレースでは多用される。ロードレースでありがちなシーンとしては、実は余裕があるのに苦しい表情をしたり、巧みな話術で調子の悪さを宣言してライバルを油断させる。戦術の一つとも言える。
山岳賞
ステージレースのカテゴリー山岳に設定されたポイントの合計で争われる特別賞。ツール・ド・フランスの場合はカテゴリー山岳が超級、1級、2級、3級、4級の5ランクに分類され、もちろん難易度の高い山岳には高ポイントが配分されている。スポンサーによって配色が変更される場合もあるが、2022年ツール・ド・フランスの山岳賞ジャージは赤玉色、ジロ・デ・イタリアは青色、ブエルタ・ア・エスパーニャは青玉色。
山頂フィニッシュ
山岳の登りに設定されたフィニッシュ地点のこと。頂上フィニッシュとも呼ばれ、各選手の登坂力がそのままタイムに反映されるため、ステージレースでは総合成績が動きやすい。必ずしも山の頂(いただき)に設定されるわけではなく、峠の頂上や峠道の中腹に設定される場合も、登りでレースが完結する場合は山頂フィニッシュと呼ばれる。明確な定義はないが、登坂距離1kmほどの丘やスプリンターが残るような緩斜面の場合は山頂フィニッシュと呼ばない。
世界選手権
一年に一回UCIが開催する世界選手権は、いわば世界一決定戦。UCIのトレードチームではなくナショナルチームによる国別対抗戦であり、所属チームに関係なく国の代表として優勝を狙う。ロード世界選手権では男子エリートと女子エリート、男子U23、男子ジュニア、女子ジュニアの合計5カテゴリーのロードレースと個人タイムトライアルが開催されるほか、男女3名ずつがバトンをつなぐチームタイムトライアル・ミックスドリレーも開催される。開催地は毎年変わり、2022年はオーストラリアのウロンゴン、2023年はイギリスのグラスゴー、2024年はスイスのチューリッヒ、2025年はルワンダのキガリで開催予定。1990年には宇都宮で開催され、その周回コースを使用したメモリアルレースとしてジャパンカップサイクルロードレースの歴史が始まった。
た行
タイムアウト/タイムオーバー
優勝者のタイムを基準に設定されるタイムリミット(足切り時間)以内にフィニッシュに辿り着くことができずに失格処分になること。ステージレースではステージの難易度や平均スピードに応じてタイムリミットの係数が設けられている。例えばステージ優勝者のタイムが5時間で、タイムリミット係数が15%だった場合、先頭から45分以内にフィニッシュしなければタイムアウトとなる。仮に何十人という選手で構成されたグルペット(当日出走選手の20%以上の選手)がタイムリミット内でフィニッシュに辿り着かなかった場合は、審判団の判断により救済措置が取られる場合もある。
タイムトライアル
決められた距離を単独(個人タイムトライアル)もしくはチーム(チームタイムトライアル)で走る競技。普段のロードバイクではなく、高速で単独走行することに特化したTTバイクが使用される。各選手のタイムがそのまま反映されるためステージレースでは総合成績が変動しやすく、大柄なルーラー系選手は山岳を得意とするクライマー系選手からタイムを奪うチャンス。近年グランツールでは合計50kmほどのタイムトライアルが設定されている。
ダウンヒラー
下り区間を得意とする選手。ダウンヒルスペシャリストとも呼ばれ、山岳の下り区間でライバルたちを突き放すことができるテクニックの持ち主のことを指す。オールラウンダーの中ではヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア)がその代表選手。2017年のジロ・デ・イタリアでは下り区間のタイムを競う「ベストダウンヒラー賞」が新設されたが、危険性が高いとして廃止になっている。
ダブルツール
1年のうちに2つのグランツールで総合優勝すること。かつてはジロ・デ・イタリアとツール・ド・フランスの同年制覇を意味していたが、近年はブエルタ・ア・エスパーニャもダブルツールの対象になりつつある。これまで7人がジロとツールの同年制覇を、3人がツールとブエルタの同年制覇を、3人がジロとブエルタの同年制覇を達成している。直近では2017年にクリストファー・フルーム(イギリス)がツールとブエルタの同年制覇を果たしている。
たれる
途中で力を使い果たして失速すること。力を出し尽くして失速するというよりも、ペース配分を見誤うことによる失速を指す。「脚が売り切れる」とも表現される。とにかく調子が良いと見せかけて突如失速する場合は、敬意を持って「黄金のタレ」と呼ばれるとか呼ばれないとか。
ダンシング
サドルに座らずにペダリングする、いわゆる立ち漕ぎを意味する。負荷のかかる登りでサドルから腰を上げて全身でペダルを回すイメージ。登りで加速する時だけでなく、全身をほぐすためにダンシングをする選手も。なお、ダンシングは和製英語であり、英語ではアウト・オブ・ザ・サドルと表現する。
チャンピオンジャージ
世界選手権で優勝した選手にはアルカンシェル(世界チャンピオンジャージ)が、大陸選手権で優勝した選手には大陸チャンピオンジャージが、国内選手権で優勝した選手にはナショナルチャンピオンジャージが与えられ、翌年の選手権まで1年間着用が許される。仮に翌年タイトル防衛を逃しても、元世界チャンピオンの証である虹色ストライプや元ナショナルチャンピオンの証である国旗デザインをノーマルジャージの袖口にあしらうことができる。
千切れる
グループや集団から遅れること、脱落すること。登りだけでなく平地や下りで前の選手について行くことができずに遅れることも千切れると言う。
追走
前を走る選手やグループを追いかけること。先頭を追いかける選手たちのことを追走グループと呼ぶが、先頭から脱落後もメイン集団に吸収されずに走っている選手たちのことも追走グループと呼ぶ。また、メイン集団が逃げグループを追いかける場合も追走という表現を用いる。
付き位置
ローテーション(先頭交代)に加わることなく前走者の後ろにぴったり付いて離れないこと。チームの戦略として、後方集団にエースが控えている(もしくは遅れている)等の理由で、ローテーションに加わらずに他の選手をマークしながら体力を温存することを意味する。長時間ずっと付き位置をキープし、最後の最後で優勝を狙ってもルール上は問題ないが、紳士的な行為ではないとして他の選手やメディア、ファンから顰蹙(ひんしゅく)を買うことになる。
な行
ニュートラルサポート
中立な立場で全ての選手に平等に施されるレース中のサポート。ヨーロッパのビッグレースにおける代表的なニュートラルサポート提供会社はシマノ、マヴィック、ヴィットリア。例えばチームカーが駆けつけることができないシーンでメカトラやパンクに見舞われた場合は、ニュートラルサポートが修理やホイール交換、ニュートラルバイク提供などで選手のレース継続をサポートする。全ての選手を対象にしているため、サポートスタッフは選手たちの使用機材を徹底的に調べ上げ、サポートカーやモーターバイクにサポート機材を積み込んでいる。機材だけでなくボトルなどの提供も行われる。
ニュートラルゾーン
スタートラインからアクチュアルスタートが切られる0km地点まで、ディレクターカーに先導されて移動するパレード走行区間のこと。ニュートラル走行中はアタックなどの動きは許可されていない。他にも、極めて路面状態が悪化する悪天候時などは、状態が改善する場所までニュートラル走行の措置が取られることもある。
残り3kmルール
残り3kmを切ってから発生したパンクや落車で遅れた場合、残り3km地点で走っていた集団と同タイムが適用される救済ルール(タイムロスがゼロになる)。適用されるのは平坦ステージのみで、山岳ステージやタイムトライアルには適用されない。残り3km地点に設置されたワイヤレスのチップ計測によって審判団は選手たちの走行位置を把握しており、残り3km地点通過後にパンクや落車で遅れても総合タイムを失うことはない。スプリンターチームによるポジション争いが活発化する危険な平坦ステージで、総合成績狙いの選手たちが集団前方で走るリスクを低減できる。もちろん残り3.1km地点で発生したトラブルには適用されない。
中切れ
登りや横風区間で集団のペースが上がって縦に長く伸びる際に、前走者との距離が開くことで集団が分断されること。中切れが発生した場合、失速した選手に代わって素早く力のある選手が後方集団を牽引しない限り、後方集団が致命的なタイムロスを被ることになる。
逃げ
メイン集団から飛び出して、単独もしくは複数人、時に数十人の選手により形成される先行グループのこと。英語ではエスケープ、フランス語ではエシャペ。逃げに選手を送り込んだチームの選手たちは、逃げを追いかける必要がなくなるため、集団内で体力を温存することができる。集団スプリントに持ち込まれやすい平坦ステージでは逃げ切りの可能性が極めて低いが、スポンサーアピールにつながるため格下チームは積極的に逃げに選手を送り込む。ステージレースでは大逃げを成功させることで総合ジャンプアップも狙うことができる。また、先に逃げグループに入って先行し、レース後半に後方から追いついてくるエースをアシストする戦術を「前待ち」と言う。
は行
パヴェ
石畳を意味するフランス語。英語ではコブルストーン。石畳は当然のことながらアスファルト路面よりも凹凸が大きく、路面抵抗が大きいばかりか、激しい衝撃をこなしながら走らなければならない。当然パンクやメカトラ、落車も多発する。パリ〜ルーベでは合計50kmほどのパヴェ区間が設定され、優勝者が決まる勝負どころになる。
ハンガーノック
走るためのエネルギーが枯渇し、パフォーマンスが著しく落ちること。一旦ハンガーノックに陥ると、そこから補給しても回復までに長い時間がかかるためレース中の挽回は難しい。毎日の消費カロリーが5,000kcalを超えることも珍しくないロードレースでは、レース中も常にカロリーを摂取しなければ消費に間に合わない。そのため補給地点やチームカーから受け取った補給食(吸収の早いエナジージェルや腹持ちの良いライスケーキなど)を口にしながら選手たちは走っている。
パンチャー
パンチ力のある走りが得意な選手。スプリンターよりも登りに強く、クライマーよりもスプリントに強い。勾配のある短い登りで強力なアタックを仕掛けて飛び出すような走りが得意で、登り緩斜面の集団スプリントでスプリンターと競り合うことや、難易度の低い山岳ステージでクライマーと競り合うこともある。アルデンヌクラシックなど「丘のレース」が得意分野で、ジュリアン・アラフィリップ(フランス)やアレハンドロ・バルベルデ(スペイン)が代表的な選手。
ヒルクライム
登り坂を登ること。どれだけ標高のある山でも、「丘」や「登り坂」を意味する「ヒル」が使用されている。日本では富士ヒルクライムや乗鞍ヒルクライムなど、登坂区間だけのタイムを争う大会が人気を博している。
ブリッジ
後ろのグループを飛び出して前のグループに合流すること。例えばメイン集団から単独もしくは複数名で飛び出して前を走る逃げグループに追いつくことを「ブリッジをかける」と表現する。同義語として「(前のグループに)ジャンプする」も使用される。
ブルームワゴン
レース関係車両の最後尾を走る回収車。直訳すると「ほうき車」と呼ばれるのは、かつてレース終了とともに回収車がほうきでコースを清掃していたことに由来する。レースを続行できなくなった選手は通常チームカーに収容されるが、集団から脱落してチームカーの後方を走っている場合はバイクと一緒にブルームワゴンに収容される。日本ではサグワゴンとも呼ばれる。
プロローグ
ステージレースの初日に行われる短距離個人タイムトライアルのこと。距離は8km以内で、大きなタイム差がつきにくいことから出場選手の顔見せ的な意味合いが強い。近年グランツールではプロローグが見送られる傾向があり、より長い個人タイムトライアルもしくは平坦ステージで開幕する場合が多い。
ポイント賞
ステージレースのフィニッシュ地点の着順(ステージ順位)や中間スプリントポイントの通過順によって配分されるポイントの合計で争われる特別賞。スプリンターたちが活躍する平坦ステージに高ポイントが設定されているステージレースが多く、必然的にポイント賞の上位にはスプリンターたちの名前が並ぶ。しかし山岳ステージで上位入賞を繰り返す総合リーダーが図らずもポイント賞争いに加わることもある。スポンサーによって配色が変更される場合もあるが、2022年ツール・ド・フランスとブエルタ・ア・エスパーニャのポイント賞は緑色、ジロ・デ・イタリアはシクラメン色。
ボーナスタイム
ステージレースにおいて、ステージ上位3人と中間スプリントもしくはボーナスポイント通過順上位3人に与えられるボーナスタイム。多くのステージレースのフィニッシュ地点では上位3人にそれぞれ10秒、6秒、4秒、そして中間スプリントでは3秒、2秒、1秒のボーナスタイムが与えられる(個人総合時間成績から引かれる)。ツール・ド・フランスでは指定ステージの終盤にボーナスポイントが設定され、それぞれ8秒、5秒、2秒のボーナスタイムが与えられる。
ボーナスタイム
ステージレースにおいて、ステージ上位3人と中間スプリントもしくはボーナスポイント通過順上位3人に与えられるボーナスタイム。多くのステージレースのフィニッシュ地点では上位3人にそれぞれ10秒、6秒、4秒、そして中間スプリントでは3秒、2秒、1秒のボーナスタイムが与えられる(個人総合時間成績から引かれる)。ツール・ド・フランスでは指定ステージの終盤にボーナスポイントが設定され、それぞれ8秒、5秒、2秒のボーナスタイムが与えられる。
補給地点
ロードレースのコース中盤に設定され、沿道に立ったチームスタッフからサコッシュに入れた補給食やボトルを受け取ることができる場所。主催者が設定する補給地点は大抵の場合コースに1ヶ所(長距離コースでは2ヶ所の場合もある)だが、チーム独自の判断で山岳の頂上や終盤にスタッフを配置することもある。
ま行
マイヨ・アポワ
水玉ジャージを意味する、ツール・ド・フランスの山岳賞ジャージ。赤い水玉模様が特徴で、正式名称はマイヨブラン・ア・ポワ・ルージュ(赤玉入り白色ジャージ)。クライマーを対象にした特別賞ジャージであり、1975年に導入(山岳賞自体は1933年から)。超級、1級、2級、3級、4級のカテゴリー山岳で獲得したポイントの合計で争われる。
マイヨ・ヴェール
グリーンジャージを意味する、ツール・ド・フランスのポイント賞ジャージ。スプリンターを対象にした特別賞ジャージであり、1953年に導入。全てのステージ上位15人にポイントが与えられ、その合計によって争われるが、スプリンターたちが活躍する平坦ステージには高ポイントが設定されている。
マイヨ・ジョーヌ
イエロージャージを意味する、ツール・ド・フランスの総合リーダージャージ。1903年のツール初開催時から総合優勝は争われてきたが、マイヨジョーヌが導入されたのは1919年のこと。黄色の由来は当時ツールを主催していたロト紙(現在のレキップ紙)が黄色い紙を使用していたから。個人総合時間賞ジャージとも呼ばれ、毎日のステージ成績の積算タイムが最も少ない選手、つまり最も短い時間でそこまでのステージをこなしている選手がマイヨジョーヌを着用する。
マイヨ・ブラン
ホワイトジャージを意味する、ツール・ド・フランスのヤングライダー賞ジャージ。日本語で新人賞と呼ばれることもあるが、対象となるのは同年1月1日の時点で25歳以下の選手たち。複合賞にとって変わる形で1975年に導入されたが、当時はプロ入りから3年目までの新人を対象にしていた。1983年にはマイヨブランの対象選手をツール初出場選手に変更。そして1987年からは現行のシステムが使用されている(1989年から1999年まではジャージ廃止)。将来を嘱望される若者たちにとってのマイヨジョーヌであるが、2019年から3年連続でマイヨブラン対象選手が総合優勝を飾っている。
マイヨ・ロホ
レッドジャージを意味する、ブエルタ・ア・エスパーニャの総合リーダージャージ。かつては金色のマイヨオロが使用されていたが、2010年から現在のマイヨロホが使用されている。個人総合時間賞ジャージとも呼ばれ、毎日のステージ成績の積算タイムが最も少ない選手、つまり最も短い時間でそこまでのステージをこなしている選手がマイヨロホを着用する。
マリア・ローザ
ピンクジャージを意味する、ジロ・デ・イタリアの総合リーダージャージ。厳密にはローズ(薔薇)色なのでピンク色ではない。1931年に導入され、当時ジロを主催していたガゼッタ・デッロ・スポルト紙の紙の色にちなんでピンク色が採用された。個人総合時間賞ジャージとも呼ばれ、毎日のステージ成績の積算タイムが最も少ない選手、つまり最も短い時間でそこまでのステージをこなしている選手がマリアローザを着用する。
メイン集団/プロトン
コース上に選手たちが散らばる中で、リーダージャージや重要な選手を含む最も大きな集団をメイン集団と呼ぶ。空気抵抗との戦いであるロードレースでは、集団走行することで選手ひとりひとりにかかる負荷が下がるため、自然と選手たちは一つの塊になって走ることになる。平坦ステージではスプリンターチームが、山岳ステージではリーダージャージ擁するリーダーチームもしくは反撃を狙うライバルチームがメイン集団を牽引する。フランス語でプロトンとも呼ばれ、英語ではメインバンチやパック、フィールドとも呼ばれる。
メカトラ
メカニカルトラブルの略語。バイクの機材に何らかの問題を抱えている状態を指す。チェーンやディレイラーなど駆動系の不調やブレーキの不調、パーツのネジの緩みなどトラブルは多種多様。パンクの場合はホイール交換で対応するが、近年はホイール交換に時間を要するディスクブレーキを使用するチームが増えたため、以前よりもスペアバイクへの交換で対応するシーンが多くなった。
や行
ヤングライダー賞
ステージレースの若手選手を対象にした個人総合時間賞。日本語で新人賞と呼ばれることもあるが、ツール・ド・フランスでヤングライダー賞対象となるのは同年1月1日の時点で25歳以下の選手たち。ジロ・デ・イタリア、ツール・ド・フランス、ブエルタ・ア・エスパーニャともにジャージデザインは白色。
ら行
リーダージャージ
ステージレースにおいて、毎日のステージ成績の合計で争われる個人総合時間賞の順位1位の選手が着用するジャージ。ワンデーレースでは設定されない。ジャージの色はレースによって様々で、ツール・ド・フランスでは黄色いマイヨジョーヌが使用される。リーダージャージを着用するのはその日のスタート時点(前日のフィニッシュ時点)で最も少ない合計時間でレースを走っている選手であり、最終日を終えた時点でリーダージャージを着用している選手が総合優勝者となる。リーダージャージを擁するチームはリーダーチームとしてレースをコントロールする必要があるため、最終的な総合優勝を狙うチームは、戦力を温存するためにステージレース前半にリーダージャージをライバルに明け渡す作戦をとることもある。
リードアウト
全力を尽くして先頭を走り、フィニッシュ手前でエーススプリンターを解き放つ行為。集団スプリントを狙うチームは終盤にかけてリードアウトトレインと呼ばれる隊列を組み、ロケット発射のごとく段階的に力尽きた先頭のアシスト選手を切り離しながら集団前方のポジションをキープ。最終的にリードアウトマンと呼ばれる選手が一気にポジションを上げて、絶好のタイミングとポジションでエーススプリンターを最終ストレートに誘なう。エーススプリンターはリードアウト役の選手たちの後方で力を温存できるため、リードアウトを持たずに自力でポジションをキープしなければならない選手と比べて有利にレースを運ぶことができる。リードアウトマンは自身もスプリントを狙うことができる優秀なスプリンターであることが多い。平坦レースの終盤にかけて、各チームのリードアウトトレインが集団先頭で競り合う高速バトルは見もの。
ルーラー
単独で淡々と高速走行するのが得意な選手。TTスペシャリストにも似る。大柄な場合が多いため山岳ステージは苦手分野だが、少しのアップダウンや平坦コースで長時間にわたって逃げる、もしくは長時間にわたって集団を牽引することができる。一見地味だがチームの戦略には欠かせない選手。特に横風が集団を粉砕するような荒れた展開では、ルーラー系選手の存在がエースの勝負を決めることもある。
ローテーション/先頭交代
単独でグループもしくは集団の先頭を走って空気抵抗を受けるのではなく、数秒間〜数分間で他の選手と先頭牽引を交代して抵抗を分散すること。協力体制を築けている場合はスムーズにローテーションが回るが、スピードを落としたいチームが戦略的にローテーションを妨害する場合や、逃げ切りを確定させて牽制状態に陥った逃げグループではローテーションが回らなくなる。
落車
集団内の接触による転倒、コーナーでのスリップダウンやオーバーランなど、バランスを崩してバイクから地面に投げ出されることを総称して落車と呼ぶ。英語でフォールもしくはクラッシュ、フランス語でシュット、イタリア語でカドゥータ。
わ・を・ん
ワンデーレース
複数日のステージレースに対して、1日で完了するのがワンデーレース。歴史のあるワンデーレースはクラシックレースもしくはワンデークラシックと呼ばれる。挽回の余地のないその日限りの一発勝負だけに、高い緊張感をもって争われる。ステージレースのステージ成績の表彰がステージ優勝者だけであるのに対して、ワンデーレースの表彰は上位3人を対象にする場合が多い。
ワンワン落車
沿道からコースに出てきた犬と接触して落車すること。レース中に衝突する動物としては犬が最も多く、猫の場合はニャーニャー落車、牛の場合はモーモー落車、馬の場合はヒヒーン落車、羊の場合はメーメー落車と呼ぶとか呼ばないとか。
ABC
ASO
アモリ・スポル・オルガニザシオンの略。ツール・ド・フランスの主催者として知られるスポーツメディアグループであり、ブエルタ・ア・エスパーニャを主催するウニプブリクの親会社でもある。ツールの他、パリ〜ニースやパリ〜ルーベ、ラ・フレーシュ・ワロンヌ、リエージュ〜バストーニュ〜リエージュなど、フランスおよびフランス語圏であるベルギーのワロン地域のレースを主催。フランス語読みではアゾーだが、英語読みのエーエスオーと呼ばれることが多い。
DNF
Did Not Finish(フィニッシュしなかった)の略であり、読み方はディーエヌエフ。レース途中でリタイアしたことを意味し、日本語では「未完走」。ステージレースでDNF扱いになると、翌日のステージをスタートすることができない。
DNS
Did Not Start(スタートしなかった)の略であり、読み方はディーエヌエス。日本語では未出走。ステージレースの場合、前日のステージをフィニッシュしたにもかかわらず、体調不良や怪我などで当日のステージを欠場するとDNS扱いになる。
JBCF
ジャパン・バイサイクリスト・クラブ・フェデレーション(Japan Bicyclist Club Federation)の略。正式名称は全日本実業団自転車競技連盟で、一般的には「実業団」と呼ばれる。年間シリーズ戦であるJプロツアーとJフィミニンツアーを頂点に、アマチュアサイクリストに開かれたJエリートツアーやJユースツアーを国内で展開。ロードレースの他にもトラックレースも開催。2022年は年間37レース(Jプロツアーは17レース)を開催予定。
JCF
ジャパン・サイクリング・フェデレーション(Japan Cycling Federation)の略。正式名称は日本自転車競技連盟で、一般的には「車連(しゃれん)」と呼ばれる。国際自転車競技連合ならびにアジア自転車競技連合に所属する公益社団法人であり、ロードレースだけでなく、トラック、マウンテンバイク、BMX、シクロクロス、トライアル、室内自転車競技、パラサイクリングを束ねる国内競技連盟として、各種目の全日本選手権を開催する。
JCL
ジャパン・サイクリング・リーグ(Japan Cycling League)の略。日本籍コンチネンタルチームおよび地域密着型ロードレースチームが所属する日本プロロードレースリーグとして2021年に設立。世界基準となるチームや選手の輩出を理念に掲げ、日本各地でロードレースを開催するほか、各地の競輪場を活用したバンクリーグも併催している。2022年は年間15レース(バンクリーグを除く)を開催予定。
RCSスポルト
一般的にアールシーエス・スポルトと呼ばれるイタリアのスポーツメディアグループ。イタリア語読みはアールチーエッセ・スポルト。ジロ・デ・イタリアのほか、ストラーデビアンケやティレーノ〜アドリアティコ、ミラノ〜サンレモ、イル・ロンバルディアなどイタリアの主要レースを主催する。
TTスペシャリスト
タイムトライアル(TT)を得意とする選手。クロノマンとも呼ばれ、長距離を高速で単独走行するのが得意な選手を意味する。距離が10kmに満たないプロローグ/短距離タイムトライアルを得意とする選手よりも、距離40kmを超えるような長距離タイムトライアルを得意とする大柄なルーラー系選手を指す場合が多い。
UCI
ウニオン・シクリスト・アンテルナシオナル(Union Cycliste Internationale)の略。日本語では国際自転車競技連合。正式名称はフランス語だが、一般的には英語読みのユーシーアイと呼ばれる。1900年に設立された自転車競技の国際競技連盟で、スイスのエーグルに本部を置く。ロードレースだけでなく、トラック、マウンテンバイク、BMX、シクロクロス、トライアル、室内自転車競技、パラサイクリングを束ね、各種目の世界選手権を開催する。