女子ラグビーワールドカップ2025 大会概要

4年に1度、女子15人制ラグビーの世界大会、女子ラグビーワールドカップとは?

8月22日(金)~9月27日(土)の日程で、「女子ラグビーワールドカップ2025 イングランド大会」が開催されます。今大会は第10回という節目の大会。そこで女子ワールドカップの概要や歴史、注目ポイントなどをQ&A形式で紹介していきたいと思います!

Q:大会の概要を教えてください

「女子ラグビーワールドカップ」は、男子と同じように、1991年から4年に1度開催される、「ワールドラグビー」が主催する15人制女子ラグビーの世界最高峰のトーナメントです。

なお、「ワールドラグビー」は女子と男子の平等性を高める取り組みの一環として、2019年に女子ラグビーワールドカップを、2021年から性別の指定をせず、ラグビーワールドカップという名称で正式に展開すると発表しました。

したがって、前大会は正式名称が「ワールドカップ2021」となりました。この大会はコロナ禍で1年延期されたため、2022年秋に開催されています。しかし、今回はまた「女子」の名称が復活し「女子ワールドカップ2025」となりました。

Q:大会日程を教えてください

予選プールが8月22日(金)から始まり、9月7日(日)まで行われます。準々決勝が9月13日(土)14日(日)の両日に4試合、準決勝が9月19日(土)20日(日)に開催されます。9月27日(土)に3位決定戦と決勝が、「ラグビーの聖地」である「トゥイッケナム・スタジアム」で実施され、今大会の優勝国が決まります。

Q:大会のフォーマットを教えて下さい

第10回となる今大会は前回準優勝で、過去2回の優勝を誇るイングランドで開催されます。イングランドでの開催は、2010年大会以来2度目となります。英国全体では5度目の開催となります。

出場国は、前回大会の12チームから4チーム増えて計16チームが出場します。まず前回の大会のベスト4のチームが自動的に今大会の出場権を獲得しました。残りの12チームのうち6チームは、2024年のシックスネーションズ、2024年のパシフィックフォーシリーズ、アフリカ、アジア、オセアニア、南アメリカの各地域大会で決定されました。最後の6チームは2024年に行われた女子ラグビーの大会「WXV」の結果で決定しました。

大会は4チームずつをA~Dの4つのプールに分け、総当たりで戦います。各プール上位2チームが決勝トーナメントに進出します。

なお各プールの出場国は下記の通りです。
※( )は7月28日時点の世界ランキング

・プールA:イングランド(1)、オーストラリア(8)、アメリカ(10)、サモア(15)
・プールB:カナダ(2)、スコットランド(7)、ウェールズ(9)フィジー(14)
・プールC:ニュージーランド(3)、アイルランド(5)、日本(11)、スペイン(13)
・プールD:フランス(4)、イタリア(6)、南アフリカ(12)、ブラジル(25)

Q:優勝候補はどこですか?

開催国であり、世界ランキング1位のイングランドが優勝候補の筆頭でしょう。今年のシックスネーションズ(欧州6カ国対抗)でもグランドスラム(全勝優勝)を達成し、現在7連覇中で、一昨年、昨年も新設された「WXV」の1部でも2連覇を果たしました。

ワールドカップでは過去2大会はニュージーランドに敗れて準優勝に終わりましたが、ホスト国となった今大会は2014年以来、3度目の優勝を狙っています。

また、過去最多の6度の優勝を誇り、現在ワールドカップ2連覇中の「ブラックファーンズ」こと、ニュージーランド代表も優勝候補に挙げられるでしょう。

試合数の関係で現在の世界ランクこそ3位ですが、初の自国開催となった2022年大会、2017年アイルランド大会の優勝メンバーや、昨年のパリオリンピックで金メダルを獲得した7人制代表メンバーも多く含まれています。また、男子同様に若手も層が厚く、3連覇の可能性は大いにあります。

他にも前回4位で現在世界ランキング2位のカナダや、前回3位のフランスも着実に力をつけており、初優勝のチャンスを狙っています。

Q:これまでの大会の歴史を教えてください

女子ワールドカップは1991年に第1回大会が開催されましたが、国際ラグビー評議会(IRB、現・ワールドラグビー)から正式な承認を受けたのは、1998年大会からのことでした。

のちに、2009年になってようやくIRBは第1回の1991年ウェールズ大会と、第2回の1994年スコットランド大会とその優勝チーム(アメリカ、イングランド)を遡って認定しました。

第3回以降はオランダ(1998年)、スペイン(2002年)、カナダ(2006年)、イングランド(2010年)、フランス(2014年)、アイルランド(2017年)とすべてヨーロッパで開催されてきましたが、前回の第9回大会(2022年)は南半球で初となるニュージーランドで開催されました。

Q:過去の大会と優勝国は?

優勝国はニュージーランドが最多の6回(1998、2002、2006、2010、2017年、2022年)、イングランドが2回(1994、2014年)、アメリカが1回(1991年)です。

開催年 開催国 参加国数 優勝 準優勝 3位
1991ウェールズ12アメリカイングランドフランス、ニュージーランド
1994スコットランド12イングランドアメリカフランス
1998オランダ16ニュージーランドアメリカイングランド
2002スペイン16ニュージーランドイングランドフランス
2006カナダ12ニュージーランドイングランドフランス
2010イングランド12ニュージーランドイングランドオーストラリア
2014フランス12イングランドカナダフランス
2017アイルランド12ニュージーランドイングランドフランス
2022ニュージーランド12イングランドフランスフランス

Q:これまでの「サクラフィフティーン」こと、女子日本代表のワールドカップの成績を教えてください

日本は第1回(1991年)、第2回大会(1994年)、第4回(2002年)、第8回(2017年)、第9回(2022年)と、過去5度ワールドカップに出場しており、今回が6回目の出場となります(通算成績は4勝16敗)。最高成績は第2回スコットランド大会の8位でした。

日本は第1回大会では、1得点もあげることができず最下位に終わりました。第2回大会はスウェーデンに勝利し8位。第3回大会は出場せず、第4回大会では13-16位決定戦で2勝を挙げて、出場16チーム中13位となりました。

その後の3大会はアジア予選を通過できませんでしたが、第8回のアイルランド大会では、順位決定戦で香港を破り11位となりました。今大会も出場するSH(スクラムハーフ)津久井萌が、大会「ベスト15」に選出されています。ただ、前回大会は1勝もできず予選プールで敗退となりました。

Q:女子日本代表「サクラフィフティーン」の活躍は期待できますか?

2019年から、元カナダ代表HO(フッカー)で、ワールドカップ出場経験もあるレスリー・マッケンジーHC(ヘッドコーチ)が指揮を執り、遠征や合宿を通して若手を積極的に起用してチームの強化を進めてきました。

その一方で、経験あるPR(プロップ)加藤幸子や、SO(スタンドオフ)山本実、CTB(センター)小林花奈子らがイングランド、PR永田虹歩、FL齊藤聖奈らがニュージーランド、CTB古田真菜などがオーストラリアのクラブチームでプレーするなど、海外で経験を積む選手も増えたことも大きなプラスになるでしょう。

また、2023、24年は新設された女子の国際大会である「WXV(2部)」にも参加するなど、海外遠征で経験を積んできました。今年に入ってアメリカ遠征で優勝経験のあるアメリカ代表に初めて勝利し、日本国内のテストマッチでスペイン代表に2連勝しています。

3大会連続出場となるキャプテンのFL(フランカー)長田いろは、代表最多の49キャップを誇る2017年大会のキャプテンFL齊藤、SO/FB山本実の4人を中心とした経験値の高い選手と、パリ五輪代表だったFB(フルバック)松田凜日、現役大学生のFL向來桜子、WTB松村美咲ら若い選手のバランスの取れたチームで、予選プールを突破し、初のベスト8進出を狙っています。

Q:女子日本代表と予選プールで対戦する3カ国は強いですか?

現在、世界ランキング11位の日本代表は、8月24日(日)にアイルランド代表(5位)との初戦を迎えて、31日(日)にニュージーランド代表(3位)、9月7日(日)にスペイン代表(13位)と対戦します。

初戦を戦う世界ランク5位のアイルランドは、前回大会には予選を突破できませんでしたが、2014年のフランス大会では4位に入るなど、イングランド、フランスに次ぐヨーロッパの強豪の1つです。2024年の「WXV」(1部)ではニュージーランド相手に白星を挙げています。

キャプテンのFL(フランカー)エデン・マクマホンを筆頭に、昨年のワールドラグビーの「ベスト15」にも選出された22歳のFL(フランカー)イーファ・ウェイファー、パリオリンピックにも出場したSH(スクラムハーフ)エミリー・レーン、SO(スタンドオフ)/FB(フルバック)ステイシー・フラッドらと、経験値の高い選手と若手の成長著しいFW(フォワード)とBK(バックス)のバランスが取れたチームです。

2戦目で戦うのは現在ワールドカップ2連覇中の「ブラックファーンズ」こと、ニュージーランド代表です。世界最優秀選手にも2度輝いたWTB(ウイング)ポーティア・ウッドマン(元三重パールズ)、2大会連続キャプテンを務める2022年の世界最優秀選手のSH(スクラムハーフ)ルアヘイ・デマント、7人制でも活躍したCTB(センター)ステイシー・ワッカなど経験豊富な選手も健在。

加えて男子日本代表のジェイミー・ジョセフ前HC(ヘッドコーチ)の娘である23歳のSHマイア・ジョセフなど、有望な若手選手も多く、層の厚さは頭ひとつ抜けています。

第3戦はワールドカップ前に、日本代表と2試合を戦ったスペイン代表。2大会ぶりにワールドカップに出場します。イングランドのハレクインズでプレーする35歳のPR(プロップ)ラウラ・デルガドといったベテランや、SH(スクラムハーフ)アネ・フェルナンデス=コレス、SOアマリア・アルグード、そして20歳のCTB(センター)クラウディア・ペーニャと若手も成長しています。

サクラフィフティーンが目指すベスト8進出には、プールCで上位2チームに入る必要があり、そのためには初戦のアイルランド代表戦に勝つことが重要になってきます。

Q:大会の注目選手は誰ですか?

まず、日本と対戦するニュージーランドのベテランWTB(ウイング)ポーシャ・ウッドマン。世界最優秀選手にも2度輝き、日本の三重パールズでプレーしていたこともあります。

イングランドはキャプテンLO(ロック)ゾーイ・オールドクロフト、CTB(センター)エミリー・スカラット、FL(フランカー)マリー・パッカー、CTBエリー・キルダンと、世界最優秀選手受賞経験のある選手が多く、WTB(ウイング)アビー・ドウのようなワールドラグビーの「ベスト15」に何度も選ばれるような選手がいます。

他にはカナダ代表にはCTBアレックス・テシエ、フランス代表にはSHパウリーヌ・ボルドン=サンサスなどの注目選手がいます。

TEXT:斉藤健仁

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