ツール・ド・フランス2020

STAGE 11

第11ステージ

シャトライヨン=プラージュ>ポアティエ

167Km
9月9日(水)午後8:55 - 深夜1:30
/J SPORTS 4J SPORTSオンデマンド
【現地実況・解説版】ステージ全編 午後8:10 ~ 深夜1:50/ J SPORTSオンデマンド限定
最も長い直線フィニッシュ
 

コースの特徴

第1ステージ

3週間の戦いの折り返し地点。海辺から始まった2020年ツールは、この日のスタート地を最後に、海とは完全に別れを告げる。つまり山だらけの戦いに戻る前に……もう1度、スプリンターたちにチャンスが巡ってくる。

9月に入り、海水浴客のすっかり減ったプラージュ=ビーチから、プロトンは内陸へと進路を取る。ただしステージ半ばでマレ・ポワトゥヴァン地方自然公園、いわゆる湖水地方を横断する。もう1つの「水辺の風景」を楽しむことができる。

公園を抜けた直後に、今ステージ唯一の山岳ポイント(4級)を通過。その後も小さな起伏は点在するものの、平地巧者たちを苦しめるほどではない。どうやら逃げ選手たちがやりたい放題するのは、難しそうだ。なにしろこの日を逃せば、「ピュア」スプリンターにとって、チャンスは19ステージまで巡ってこない。しっかり隊列を組み上げて、集団制御に励むに違いない。

26年ぶりのポワティエ到着は、今ツールで「最も長い直線フィニッシュ」で締めくくられる。全長1.5kmのロングストレートで繰り広げられる、勇壮な大集団スプリントに期待しよう。

文:宮本あさか

【こぼれ話】あだ名

ゼッケン

カニバル、アナグマ、ププ。この単語を知らなかったとしたら、自転車ファンとしてはまだまだ勉強が足りない。いや、たしかに近年ならば、メッシーナの鮫、マーストリヒトの蝶、白いケニア人のほうが有名なのかもしれないけれど。

最初の3つは、ツールの伝説級選手のあだ名である。つまりツール・ド・フランス総合5勝を筆頭に全てを貪り尽くした「カニバル(人食い)」エディ・メルクスのことであり、恐れを知らず全てに噛み付く「アナグマ」ベルナール・イノーのことであり、ツールを勝てなかった代わりに国民の愛情を勝ち取ったレイモン「ププ」プリドールのこと。

プロレスラーのあだ名の多種多様さにはさすがに負けるかもしれないが、自転車選手にだって、あだ名がある。そのあだ名には、どうやらいくつかのパターンがあるようだ。

まずはいわゆる愛称。おそらく普段から両親や友達にそう呼ばれているのだろうし、ファンだってそのあだ名で気軽に呼びかける。ププはその最たる例だろう。ジャジャ=ローラン・ジャラベール、ワワ=ワレン・バルギル等々、フランスでは音を重ねるパターンが多い。史上初めてマイヨ・ジョーヌを着用したウジェーヌ・クリストフのあだ名も、クリクリだった。ジュリアン・アラフィリップ家族からはジュジュ、チームメートからはルルと呼ばれている。

またベルギー人なら語尾にクをつけるし(トムク=トム・ボーネン)、スペイン語ならイトをつける(プリト=ホアキン・ロドリゲス)。これにて「ちっちゃな」とか「可愛い」とかの意味を込めた愛称に早変わり。

ところでプリトとは、「ちっちゃな葉巻」という意味。そう、2つ目のあだ名のパターンは、選手のキャラクターを端的に一言で表現したタイプ。たとえば自転車界の隠語では、苦しそうなふりをしてあっさりライバルを出し抜くことを、「パイプをくゆらす」と表現する。ロドリゲスも練習中に仲間と騙しごっこで遊んでいたことから、このプリトというあだ名を頂戴したんだとか。

どうもスペイン語圏には、この単語ズバリのあだ名が多い。エル・インヴァティド=無敵=アレハンドロ・バルベルデとか、エル・ピストレロ=ピストル=アルベルト・コンタドールはすっかりおなじみ。またコロンビアではテレビ中継で、解説実況があだ名を絶叫する。スーペールマーーーーン(スーパーマン=ミゲルアンヘル・ロペス)とか、エル・コンドーーーールルルル(コンドル=ナイロ・キンタナ)とか。

一方でハルク=ペーター・サガンとか、ブリング=きらきら=マイケル・マシューズとか、ピカチュー=アレクシー・ヴィエルモ等々は、あだ名としては存在するけれど……、実際に誰かがそう呼びかけているわけではない。使用されるのは、記事内で、しかもかぎ括弧付き。

そして3種類目のあだ名が、地名+動物や特徴。すなわち最初に記したメッシーナの鮫、マーストリヒトの蝶、白いケニア人のことで、ヴィンチェンツォ・ニバリ、トム・デュムラン、そしてクリス・フルームのことである。

これに関してはバリエーションは無数に存在する。古くはトレドの鷲=フェデリコ・バアモンテス、タシケントの急行列車=ジャモリディネ・アブドヤパロフに、フランドルの獅子=ヨハン・ムーセウから、近頃ではマン島特急=マーク・カヴェンディッシュ、ロストックのゴリラ=アンドレ・グライペルまで。変形としてクライマー限定のあだ名、山の天使=シャルリー・ゴールも付け加えておこう。

文:宮本あさか

Difference in height
高低差図
第11ステージ
Time schedule
タイムスケジュール
距離 ポイント 現地時間 日本時間
42KM/H 44KM/H 46KM/H 42KM/H 44KM/H 46KM/H
0km地点 スタート地点 13:40 13:40 13:40 20:40 20:40 20:40
91km地点 4級山岳 15:50 15:44 15:39 22:50 22:44 22:39
108km地点 中間スプリント 16:14 16:07 16:01 23:14 23:07 23:01
167.5km地点 ゴール地点 17:39 17:28 17:18 24:39 24:28 24:18

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