ツール・ド・フランス2020

STAGE 09

第9ステージ

ポー>ラランス

153Km
9月6日(日)午後8:55 - 深夜0:30
/J SPORTS 4J SPORTSオンデマンド
【現地実況・解説版】ステージ全編 午後7:00 ~ 深夜0:50/ J SPORTSオンデマンド限定
この日の目玉はやはりダウンヒル
 

コースの特徴

第1ステージ

ピレネー2日目も下りフィニッシュ。あえてサスペンスを作り出したいという、開催委員会の狙いだ。だからこそダウンヒル突入前の上りには、発射台として、激勾配も用意された。

ツール受け入れ回数なんと72回目と、パリに次いで黄色いレースに縁の深いポーから、忙しい1日は始まる。スタート直後に4級峠を越えるのはほんの序の口。ステージ折り返し地点では一気に標高を1000m以上も駆け上がり、急勾配を2つ連続で済ませると、再び1000m以上も一気に駆け下りる。

1つ目の急勾配が1級ウルセール。「初登場」と謳われてはいるけれど、実は1995年大会、カザルテッリ死亡事故の翌日の、ニュートラル走行で通過している。登坂距離は11.1km、平均勾配は8%。上り始めてすぐに10%超ゾーンが2km待ち構え、その後も延々と急勾配が続く。また山頂からはほんの短距離下っただけで、すぐに2つ目の急勾配3級スデ(3.8km、8.5%)に突入だ。

フィニッシュまで75km。たとえ2峠で引き離されても、20km近く続く急降下を利用すれば、ライバルを捕らえられるだろうか。そこから4級峠を経て、この日の最終峠1級マリー・ブランク(7.7km、8.6%、ボーナスポイント)へ。なんと10年ぶりにツールに帰ってきた、ラスト4kmが平均12%という激坂!!

しかしこの日の目玉はやはりダウンヒル。下りの序盤6kmは勾配こそだらだらと緩めだが、道はクレイジーなほど細く、ヘアピンカーブも連なる。その後5kmほどは逆にカーブがなく真っ直ぐな急勾配。テクニック&スピードの両方が要求される。ラスト8kmは長く平坦な直線道路が待ち受けるから、独走力も必要だろう。ちなみに2018年大会でも同フィニッシュ地ははらはらドキドキ「霧の」下りフィニッシュの舞台となったが(ログリッチェ優勝)、あのときは別の山からの下りだった。

翌日は待ちに待った休息日。選手たちは飛行機で、大西洋岸の保養地へと移動する。

文:宮本あさか

【こぼれ話】休息日

カレブ・ユアン

グランツール=大きな一周に分類されるツール・ド・フランスは、全21ステージで争われる。選手たちは3週間、毎朝スタートを切る。唯一の例外が、2度の休息日。例えば2020年大会のスケジュールは、連続9日走って1日休み、6日走って1日休み、そして6日走って大会終了を迎える。

つまり待ちに待った休息日。レース開始時間を気にせずゆっくりと目を覚ます。あまりリズムを崩さぬように、軽く自転車で走りには行くけれど、途中でカフェに立ち寄ってのんびりエスプレッソを飲む。昼食後は昼寝を楽しんで、夕方にはホテル遊びに来た家族や友達と久しぶりにおしゃべり。残念ながら新型コロナウイルスの影響で、2020年に限っては、外部からの選手訪問は禁じられているけれど。

ただし選手の立場によっては、決して自由気ままなわけでもない。昨大会マイヨ・ジョーヌを14日間着用したジュリアン・アラフィリップは、2度の休息日に、それぞれ1時間近い記者会見を行った。ホテルの小さな談話室にぎゅうぎゅうに詰めかけたメディアの前でたっぷり話した後は、ホテルの前で出待ちしていたたくさんのファンの波をかき分けて、スポンサーたちとのサイクリングに出かけていったものだ。しかも夜には地元テレビの生中継にオンライン出演して……。

また近ごろの休息日(もしくは前夜)は、長距離移動日にあたることも多い。今年も1度目の休息日は、ピレネーの山奥から大西洋岸の町まで、約400kmを飛行機で移動する。ステージ直後の移動なら、到着は夜遅くなる。3週間走り続ける選手にとって日々の回復は極めて大切だというのに、この日はマッサージも受けられないし、夕食だって変な時間にしか食べられない。もちろん休息日の移動なら、貴重な休息日が半日潰れてしまうことになる。

なにより休息日は、しばし「翌日」に響く。1964年の休息日に近隣のお祭りで子羊の丸焼きを食べ、翌日のレース中にマイヨ・ジョーヌのジャック・アンクティルが食あたりで苦しんだ逸話は、いまだに語り継がれている。もちろん、こんな風に羽目を外す選手は滅多にはいないけれど、たった1日走らなかっただけで、やはり身体のリズムは少々ずれてしまうもの。地形的にはアタックや逆転に最適なのに、総合系の動きはまるで見られない……そんな歯がゆい場面が多々ある。

逆に休息日翌日にこそ活躍する選手もいる。2019年大会は2度の休息日翌日はカレブ・ユアンが制した。その前の2018年大会は、2度ともアラフィリップが勝った。おそらく偶然ではない。きっと休息日の過ごし方が上手いのだ。

文:宮本あさか

Difference in height
高低差図
第1ステージ
Time schedule
タイムスケジュール
距離 ポイント 現地時間 日本時間
38KM/H 40KM/H 42KM/H 38KM/H 40KM/H 42KM/H
0km地点 スタート地点 12:35 12:35 12:35 19:35 19:35 19:35
9.5km地点 4級山岳 12:50 12:50 12:49 19:50 19:50 19:49
69km地点 1級山岳 14:28 14:23 14:17 21:28 21:23 21:17
78km地点 3級山岳 14:44 14:37 14:31 21:44 21:37 21:31
99km地点 中間スプリント 15:09 15:02 14:54 22:09 22:02 21:54
115.5km地点 3級山岳 15:39 15:29 15:20 22:39 22:29 22:20
135km地点 1級山岳
ボーナスタイム
16:16 16:05 15:53 23:16 23:05 22:53
153km地点 ゴール地点 16:40 16:27 16:15 23:40 23:27 23:15

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