コースの特徴
中央山塊をたった1日で抜け出すと、プロトンは次なる山地、ピレネーへと大急ぎで接近する。地形だけ見れば、完全にスプリンター向け。ただし開催委員会は、罠の多いステージになるだろうと、警告する。
ツールの風景ですっかりおなじみ、「世界一高い橋」ミヨーの高架橋を見上げながら、この日の戦いの幕が開ける。いきなり9km地点に登場する3級峠を筆頭に、序盤25kmはかなりの起伏含み。勇ましい逃げ集団が形成されること間違いなし。その後も大小アップダウンは休みなく続く。前日の山越えで疲れた脚を、休ませる暇など決してない。
ステージも残すところ約45km。カストルを通過する頃には、ようやく起伏が一段落する。あとはフィニッシュまで、県道112号線を、ひたすら東へと突き進むだけ。
……ただしカストルといえば、常に風速30mほどの地方風が吹き荒れていることで有名だ。ツールが通過するこの9月4日、プロトンが感じるのはピレネーと中央山塊の隙間を北東に吹き抜ける「オータン・ル・マラン」だろうか。もしくは中央山塊から南東に吹き下ろす「オータン・ド・シベリー」か。つまり背中押してくれる風か、それとも分断を誘発する風か。
ちなみに前回ラヴァールでフィニッシュした2011年は、雨の中のスプリントを、カヴェンディッシュが制している。
文:宮本あさか
【こぼれ話】ゼッケン
背番号1番。高校野球ならエースピッチャー。サッカーなら正ゴールキーパー。ラグビーなら左プロップ。そしてサイクルロードレースなら……前年度の勝者!
ディフェンディングチャンピオン欠場の場合は、当人が所属していたチームの現リーダーが1番をつけることもあるけれど、とにかく1番こそが正真正銘のエースナンバーだ。またツール・ド・フランスでは22チームが出場するため、各チームのエース級選手は、11番、21番、31番……と、それぞれ下一桁に1番をつける。
1チームあたりの出場メンバーは8人で、エース以外は背番号2〜8をつける。そして2番以下の番号に、実はまったく意味はない。2番がキャッチャーだとか、9番がストライカーだとか、いやエースは10番だとか18番だとか……そんな議論は残念ながら存在しない。たとえば2019年ツール・ド・フランスのゼッケンを見直してみると、2人リーダー制だったモビスター以外は、2番から8番は完全なるabc順。モビスターもエース2人が1番2番をつけただけで、3番以下はやはりアルファベット通りに数字がふられた。
つまり自転車の背番号は、1番以外は、ポジションを示す手がかりにはならない。しかもレースのたびに出走チームも出走メンバーも変わるから、番号もころころ変わる。
ちょっと特別な数字というのも、たしかに存在はする。たとえば1969年メルクス、1973年オカニャ、1975年テヴネ、1978年イノーがツールを制した時のゼッケンは、すべて「51」で、今でも幸運の番号と崇められる。一方、キリスト教文化圏では「13」は、忌み数とされる。だから「13」の背番号をもらった選手は、たいてい逆さまにして背中に貼り付ける。2011年ジロ・デ・イタリアで命を落としたワウテル・ウェイラントがつけていた「108」は、同大会の永久欠番になった。
数字がたいして意味を持たない上に、自転車レースのゼッケンは小さい。15cm×15cm程度のものを、腰の部分に貼り付けるだけ。シールゼッケンもあるけれど、たいていは安全ピンで四隅を留めるタイプ。ちなみに日本製の安全ピンが品質的には最適らしい。とにかく、ただでさえ自転車ロードレースは出場選手が多い上に(ツールは176人)、選手たちはヘルメット+サングラスで顔の半分近くを覆い隠し、小さいゼッケンは上空ヘリコプターのカメラから判読難解……だというのに、レインジャケットを着込めばゼッケンは完全に隠れてしまう。テレビ解説者泣かせだ。
今年の春、ユンボ・ヴィスマのゼネラルマネージャーが、興味深い提案をした。それは「サッカーのように年間固定ナンバーにしたらどうだろう」というもの。ジャージやレインジャケットの背中に最初から大きくナンバーが入っていたら、TV視聴者にはすごくありがたいし、ファンにとっては贔屓選手のナンバー入りジャージを購入して応援できるから……決して悪くない話だと思うのだけれど。
文:宮本あさか
距離 | ポイント | 現地時間 | 日本時間 | ||||
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41KM/H | 43KM/H | 45KM/H | 41KM/H | 43KM/H | 45KM/H | ||
0km地点 | スタート地点 | 13:35 | 13:35 | 13:35 | 20:35 | 20:35 | 20:35 |
9km地点 | 3級山岳 | 13:48 | 13:47 | 13:47 | 20:48 | 20:47 | 20:47 |
58km地点 | 中間スプリント | 14:59 | 14:55 | 14:52 | 21:59 | 21:55 | 21:52 |
73.5km地点 | 3級山岳 | 15:22 | 15:17 | 15:13 | 22:22 | 22:17 | 22:13 |
97.5km地点 | 4級山岳 | 15:58 | 15:51 | 15:45 | 22:58 | 22:51 | 22:45 |
168km地点 | ゴール地点 | 17:41 | 17:29 | 17:19 | 24:41 | 24:29 | 24:19 |