ツール・ド・フランス2020

STAGE 06

第6ステージ

ル・テイユ>モン・エグアル

191Km
9月3日(木)午後8:55 - 深夜1:00
/J SPORTS 4J SPORTSオンデマンド
【現地実況・解説版】ステージ全編 午後6:45 ~ 深夜1:20/ J SPORTSオンデマンド限定
年間170日は雨、240日は霧、265日は強風!
 

コースの特徴

第1ステージ

5つの山地巡りが待ち受ける2020年ツール。この日の最終盤に、早くも2つ目の山地、中央山塊へと足を踏み入れる。表向きは山頂フィニッシュではない。しかし実質的には、ラスト30kmほぼ上りっぱなしのステージだ。

実は序盤140kmだけなら、地形的には「平坦ステージ」。スタートから3時間ほどは、いわゆる平地を走る。ただしフランス本土で最も「秘境」度の高いアルデッシュ県の細道を、甘く見てはならない。来たるべき山場を睨んで、総合系チームが緊迫した場所取り合戦を繰り広げるはずだ。

146km地点の3級峠で足慣らしを済ませたら、163kmの3級峠ムレゼスからいよいよ勝負本番。あとは標高1560m地点のフィニッシュまで、息つく暇などない。なにしろ3級山頂を越えても、道を下らずに、そのまま次の1級リュゼット峠へと突入するのだ。登坂距離11.7km、平均勾配7.3%の山道を、ツールのプロトンは初めて上る。中盤に約9%のゾーンが2km続き、直後に11%が2km続く、かなりの激坂だ。山頂にはボーナスポイント(8秒、5秒、2秒)も配置されている。

ここで6日目の山岳ポイントは打ち止め。しかし山頂を越えても、上りは終わらない。ほんの軽く下った直後に、さらにフィニッシュまで続く8.3km、4%の山道が待っている!

もしも運が良ければ、初登場エグアル山のてっぺんでは、見事なパノラマが堪能できるだろう。アルプスからピレネーまで、さらには地中海まで見渡せる。ただし気象観測所が居を構えるこの山は……天候の悪さで知られている。年間170日は雨、240日は霧、265日は強風!時にモン・ヴァントゥ顔負けの暴風が吹き荒れるこの地では、つまり敵は、ライバルや勾配だけではない。

文:宮本あさか

【こぼれ話】個人戦?チーム戦?

個人戦?チーム戦?

はるか昔から常に議論の的となってきた。果たして自転車ロードレースとは団体競技だろうか。それとも個人競技だろうか。

プロ選手たちは、一人残らずチームと年間契約を結び、チームの一員としてレースに出場する。たとえ世界選手権や五輪でも、強い一個人に、出場権利がもたらされるわけではない(大陸別チャンピオン等の例外を除く)。あくまでも国に対して「出場枠」が配分され、その枠の数によって、代表チームが組み上げられる。

一方で、結果欄に並ぶのは、選手の個人名。ツール・ド・フランス総合勝者の証マイヨ・ジョーヌを受け取るのだって、たった1人だけだ。3週間同じチームで走ってきたメンバーは、ただ「総合覇者のチームメート」という名誉ある呼称がもらえるだけ。後世まで数字として残る記録など、一切与えられない。

ちなみにツールの国フランスでは、自転車競技は「チーム単位で行われる個人競技」と表現されることがある。また一般的な団体競技(sport collectif)ではなく、むしろ「チーム競技」(sport d’equipes)と呼ばれる。

そう、自転車レースにおいて、チームは大切だ。チームメートがいるからこそ、小さな個人でも、大きな勝利をつかみとることができる。

例えば平坦ステージの大集団スプリントでは、複数の選手が列車のように縦一列に連なり、フィニッシュラインぎりぎりで前方に1人を発射させる。風が吹き荒れる日には、仲間たちが風よけを務めてくれるおかげで、体力消耗を最小限に抑えられる。チームメートが自らの個人成績を犠牲にしてまで、集団前方で高速巡航したり、後方へ補給食や雨具を取りに行ったりしてくれるからこそ、「チームリーダー」は自分の勝負に集中できる。

それぞれのチームは、地形や大会規模に合わせて、リーダーを指名する。ステージ毎に異なる場合もあるし、大会を通して同じリーダーで戦い抜く場合もある。ときには特にリーダーなし!なんていう時もあるけれど、かといって好き勝手にやるわけでもない。レースの流れでチーム内の1人が好位置につけたら、すぐに残り全員は、急造リーダーのために力を尽くす。

1人はみんなのために、みんなは1人のために。2020年、そんな前提を根源から揺るがすような、大胆な取り組みを打ち出したチームもある。それがトリプルエース制。しかもマイヨ・ジョーヌ大本命を擁する2強、イネオスとユンボ・ヴィスマが、揃って3人のエースをツール前哨戦に引き連れてきた!

話題持ち切りの3×3は、相次ぐ負傷や不調のせいで、残念ながら未完成に終わった。もしもツール本番でも実現していれば、チーム内の人間関係や、各リーダーの仕事哲学が、はっきりと見えてきたはずだった。自転車ロードレースが「チーム単位で行われる個人競技」なのか、それとも「チーム競技」なのかも、ひとつの答えが導き出されていたかもしれない。

文:宮本あさか

Difference in height
高低差図
第6ステージ
Time schedule
タイムスケジュール
距離 ポイント 現地時間 日本時間
38KM/H 40KM/H 42KM/H 38KM/H 40KM/H 42KM/H
0km地点 スタート地点 12:10 12:10 12:10 19:10 19:10 19:10
125.5km地点 中間スプリント 15:09 15:01 14:54 22:09 22:01 21:54
146km地点 3級山岳 15:41 15:31 15:22 22:41 22:31 22:22
163km地点 3級山岳 16:12 16:01 15:50 23:12 23:01 22:50
177.5km地点 ボーナスタイム
1級山岳
16:50 16:36 16:23 23:50 23:36 23:23
191km地点 ゴール地点 17:14 17:00 16:45 24:14 24:00 23:45

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