ツール・ド・フランス2020

STAGE 02

第2ステージ

ニース オーペイ>ニース

187Km
8月30日(日)午後7:35 - 深夜2:15
/J SPORTS 4J SPORTSオンデマンド
【現地実況・解説版】ステージ全編 午後7:45 ~ 深夜2:30 / J SPORTSオンデマンド限定
本格的な山岳バトルが早くも勃発
 

コースの特徴

第1ステージ

ニースの裏山の、もっと「高い」ところへ。大会2日目に1500m超を走るのは、なんとツール107回目にして初めて。しかも1級山岳が、2つも立ちはだかる。3週間後のマイヨ・ジョーヌ候補たちによる、本格的な山岳バトルが早くも勃発だ。

ニースの海岸道路から走り出すと、一行は「オー・ペイ」、いわゆるメトロポールの「高い地域(北部)」を目指す。前日は南下した真っ直ぐなメトロポール道を、この日は北上。スタート直後16km地点で中間ポイントを争ったら、後はスプリンターたちはお役御免となる。

ステージ前半で、いきなりプロトンは1級コルミアーヌに対峙する。この春のパリ〜ニース第7ステージでキンタナが制した同山は、16.3kmの長い上りだ。続けてコース中盤で1級トゥリニによじ登る。登坂距離は長く(14.9km)、勾配もきつめ(7.4%)。途中にはトータル3kmの10%超ゾーンもあり。

標高1607m地点まで上り詰めたら、40km近い長い長い下りへ。さらにはおなじみ「鷹の巣村」エズの上り(2級、7.8km 6.1%)も経由する。そこからはパリ〜ニースと同じように、地中海岸プロムナード・デ・ザングレへ向けて猛スピードで下っていくわけだけれど……ツールでは、フィニッシュラインを一旦走り抜けて、もう1つ別の上りへと取り掛かる。

その山がコル・デ・キャトルシュマン。5kmほどの短い上りで、山岳ポイントはつかない。しかし「ボーナスポイント」はつく。つまり3年前から取り入れられたシステムで、上位通過の3選手に、8秒、5秒、2秒のボーナスタイムがつく。さらにフィニッシュラインでも10秒、6秒、4秒が3名に与えられる。2日目のマイヨ・ジョーヌ争いはもちろん、3週間後の総合争いにおいても、重要な数秒となるかもしれない。

文:宮本あさか

【こぼれ話】スプリンターの存在意義

カヴェンディッシュ

果たしてスプリンターが、無事に今大会1枚目のマイヨ・ジョーヌを射止めただろうか。2020年ツール・ド・フランスの戦いは、2日目で早くも、山に放り出される。起伏巧者がマイヨ・ジョーヌの持ち主となり、もう2度と、スプリンターが黄色いジャージを身にまとうチャンスは巡ってこない。

かつてはスプリンターこそが、ツール序盤の主役だった。平地ステージが延々と連なり、山場に入る前に、素早く勝利を積み重ねることが可能だった。たとえば1999年大会は、序盤10日間のうち7日間が集団スプリントで決している。おかげで2日目に勝ったヤン・キルシプーは、6日間もマイヨ・ジョーヌを満喫することができた。また同第4ステージから4日連続で、マリオ・チポッリーニが勝利をさらった。実はこの20世紀末最速のスプリンターは、ツール区間12勝、マイヨ・ジョーヌ着用通算6日間ながら、1度も完走したことはない。最長でも12日間しかツールに留まらず、山が始まると、お役御免とばかりにあっさり帰宅した。

たしかに毎日が同じような展開で、ひどく退屈な前半戦でもあった。だからこそ現開催委員長クリスティアン・プリュドムは、2007年にトップに就任すると、さっそく改革に着手した。初日からいきなり上りフィニッシュにしたり、序盤に石畳や起伏を組み込んだり。2020年大会だって2日目に1級山岳が組み込まれ、4日目に山頂フィニッシュというとてつもない気の早さである。

おかげで2007年にツールデビューを果たしたマーク・カヴェンディッシュは、現役最多・史上2位の区間通算30勝を誇りながら……初めてのマイヨ・ジョーヌ着用まで10年も待たされた。しかも2016年の第1ステージを制して、ついに念願のジャージを身にまとったのに、残念ながらたった1日で脱ぐ羽目になった。

このカヴェンディッシュは1大会6勝という、やはり現役最多記録を有しているけれど、2020年のひときわ山の多いツールにはそもそも「純正スプリンター」が輝けるステージがほとんど用意されていない。最大で9日、最低でたったの4日。

そのせいか今年は出場を希望するスプリンター自体がとてつもなく少ない。するとスプリント列車の本数が減り、大集団フィニッシュ特有のスピードとパワー、スリルとサスペンスを楽しむ機会も、残念ながら限定されてしまうのだろうか。数時間も延々と続くレースの、最後のほんの一瞬をじりじりと待ち続けているのは、エーススプリンターも観客も同じ。そしてカタルシス。あの一気にアドレナリンが放出される感じ。つまり山岳の争いとは、また一味違う快感があるのに。

文:宮本あさか

Difference in height
高低差図
第2ステージ
Time schedule
タイムスケジュール
距離 ポイント 現地時間 日本時間
37KM/H 39KM/H 41KM/H 37KM/H 39KM/H 41KM/H
0km地点 スタート地点 13:20 13:20 13:20 20:20 20:20 20:20
16km地点 中間スプリント 13:42 13:41 13:40 20:42 20:41 20:40
63.5km地点 1級山岳 15:12 15:05 14:59 22:12 22:05 21:59
99.5km地点 1級山岳 16:21 16:09 15:59 23:21 23:09 22:59
153km地点 2級山岳 17:34 17:19 17:05 24:34 24:19 24:05
177km地点 ボーナスタイム 18:12 17:55 17:40 25:12 24:55 24:40
186km地点 ゴール地点 18:25 18:08 17:52 25:25 25:08 24:52

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