コースの特徴
今ツールは休息日明けのプロトンを決して甘やかさない。2回とも地形は平凡・平坦ながら、2回とも凄まじい強風で知られる地域を走る。特にステージの終わりにミストラルが吹き荒れたら、集団はあっという間に散り散りになってしまう危険性も。
「ピュア」スプリンターにとっては最後のチャンス
2週目の終わりにピレネーを抜け出したプロトンは、海浜客でにぎわうグリュイサンから、アルプスの方角へと走り始める。いわゆる「移動ステージ」で、コース半ば過ぎに緩やかな4級山岳が登場する以外は、地形的に警戒すべきことはほとんどない。なにも問題が起こらなければ、大集団スプリントへ向かって、スプリンターチームが隊列を走らせるのだろう。しかも3週目の初日が、早くも、正真正銘「ピュア」スプリンターにとっては最後のチャンス。シャンゼリゼで終わらない今大会、この日を逃せば、もはや永遠に勝機は訪れない。
果たしてスプリンターの目論見を邪魔し、身体の軽い総合エースたちを吹っ飛ばす風が吹き付けるだろうか。この地域でフィニッシュした2009年第3ステージは、風分断で生き残れたのは30人弱だった。第2集団には40秒もの差をつけた。2016年第11ステージは、サガンとボドナル、そしてフルームとトーマスの4人だけが強風に逆らい前に飛び出した。
フィニッシュ地のニームは、カヴェンディッシュがツール区間4勝目を挙げた想い出の地ではあるけれど、2021年第12ステージのフィナーレを迎え入れた時は、スタート時間の変更を余儀なくされるほど強風の中でのレースだった。やはりスプリントフィニッシュが予想されていながら、蓋を開けてみれば、ニルス・ポリッツの独走逃げ切り勝利だった。
Fumyのステージチェック
すべては風次第。無難に進めばスプリントで終わるはずですが、まさに風が吹きっさらしの地域なので、ただでは済まないのかな。2009年ツールで僕が前に飛び乗った分断も、ちょうど今ステージの最後のあたりです。
中間スプリントの辺りから風が強くなりそうです。特に後半のコースが真横に伸びているのがいやらしい。北風でも南風でも、効果抜群ですから。危険ですね。しかもラスト25kmくらいでコースがカクンとニームに向けて曲がって、そこからずっとバーンと道が真っ直ぐなんで、このあたりがちょっと鬼門になりそうです。風というのは吹いてみないとわからないんですけど、真っ直ぐな道で強風が吹いたら、超級の山に変わりますから。
ハードな展開から優勝者が生まれそう
前週の土日のステージが厳しかったし、大会3週目に入って、スプリンターたちはあまりフレッシュな状態ではないでしょう。なおかつ風が吹けば、分断が起こる。そこからの飛び出し、さらに抜け出して……というようなハードな展開から優勝者が生まれそうな気がします。
今年は、休息日明けの2ステージとも、総合リーダーたちも風で気が抜けないステージになります。本来なら休息日の後だから、ゆっくり走りたい気持ちもあると思います。もしかしたらスタート直後くらいは和気あいあいとした雰囲気が見られるかもですけど、コーナーを曲がったら、いきなり選手たちの顔つきが変わる。そんなステージになりますね。
解説:別府史之/文:宮本あさか
残り距離 | ポイント | 現地時間 | 日本時間 | ||||
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47 km/h | 45 km/h | 43 km/h | 47 km/h | 45 km/h | 43 km/h | ||
188.6 km | オフィシャル スタート |
13:30 | 13:30 | 13:30 | 20:30 | 20:30 | 20:30 |
92.5 km | 中間SP | 15:33 | 15:38 | 15:44 | 22:33 | 22:38 | 22:44 |
76.0 km | 4級山岳 | 15:54 | 16:00 | 16:07 | 22:54 | 23:00 | 23:07 |
0.0 km | フィニッシュ | 17:31 | 17:41 | 17:53 | 00:31 | 00:44 | 00:53 |