コースの特徴
待ちに待った大会初の山頂フィニッシュがやって来た。すでに丸2週間バトルを繰り広げてきた総合勢が、いよいよ本気で山の脚をぶつけ合う。21世紀のツールが、これほどまでにお楽しみの時間を引き延ばしたのは初めて。しかもラスト8日間の実に半分以上の5日間が、難関山頂フィニッシュなのだ!
前区間を締めくくったポーから、静かに勝負のステージは始まる。前半の70kmは微妙な上り基調。本格的な山に突入する前に、いまだマイヨ・ヴェールを追い求めるスプリンターたちが、改めて中間ポイントを熱望するかもしれない。その後の残す80kmは、もはや本格派クライマーだけに許された世界。3つの難峠が、息つく暇もないほど、立て続けに襲い掛かる。ステージ全体の獲得標高4000mのうち、実に3500mを後半だけでこなさねばならない。
85回目の登場、伝統の超級トゥルマレ
選手たちが真っ先に挑みかかるのは、伝統の超級トゥルマレだ。アルプスの巨人ガリビエが64回目の登場なら、なんとピレネーの雄はなんと85回目。標高2115mまで先頭で登り詰めた勇者には、おなじみ、第2代開催委員長ジャック・ゴデ記念賞(5000ユーロ)のご褒美も待っている。一方の2級ウルケット・ダンシザンは2011年に初めてツールを迎え入れて以来、今年で登坂7回目と、近ごろすっかり常連になった。
そしてクライマックスは、10年ぶりに訪れるプラ・ダデ。全長10.6km・平均勾配7.9%の山道は、麓の3kmが平均10.4%とことさら厳しく、必ずやマイヨ・ジョーヌ候補を小さく絞り込むに違いない。ちなみに今から50年前、38歳レイモン・プリドール(おなじみマチュー・ファンデルプールの祖父)が「カニバル」メルクスを打ち破り、人生最後のツール区間を勝ち取った場所として名高いが、46年前にマリアノ・マルティネス(レニー・マルティネスの祖父)が優勝し、山岳賞へと大前進した山でもある!
Fumyのステージチェック
カテゴリー超級を2つ上るし、さらには今ツール初の山頂フィニッシュということで、序盤から総合系チームがコントロールしていくと思います。UAEか、ボーラか、ヴィスマか。とにかくそういうチームが前を陣取って、スムーズにレースを進めていくんじゃないかな。特にトゥルマレは無難に、アシストがテンポを刻み、エース級を守りつつ抜けていく。上りは長いけど、勾配が一定なので、ここではアシスト選手を有効に使う。それが鉄則です。
で、アシストたちが最後の山のふもとまでリーダーを連れて行ったら、後は総合リーダーたちのバトルに突入です。ラスト7〜6kmの勾配の高いゾーンでアタックが巻き起こり、いまだアシストを残していたチームのリーダーが、有利な形で飛び出していく……。
山の戦いが本格的に始まる
トゥルマレに入る前に逃げの試みが起こるはずですけど、逃げ切りは難しいでしょう。だって、ようやく、山の戦いが本格的に始まると言っても過言ではないですから。ここまでにアシストを「使い切る」ようなステージはほぼなかったから、まだまだリーダーのために仕事をする脚は残しているはずだし、そもそもそこまで大きなタイム差もついていないと思うんですよ。ただ、すでに大きく後れているエース級なんかは、序盤の逃げに挑戦するかもしれないですね。
みんなの脚の状態がはっきりと分かる機会になるのかもしれません。とにかく力の差が出るステージだと思います。ただ、ここで大逆転とか、総合優勝を決定づける結果が出るとも考えにくい。翌日もピレネーの厳しいステージが待っていますから。
解説:別府史之/文:宮本あさか
残り距離 | ポイント | 現地時間 | 日本時間 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
38 km/h | 36 km/h | 34 km/h | 38 km/h | 36 km/h | 34 km/h | ||
151.9 km | オフィシャル スタート |
13:20 | 13:20 | 13:20 | 20:20 | 20:20 | 20:20 |
81.7 km | 中間SP | 14:50 | 14:53 | 14:58 | 21:50 | 21:53 | 21:58 |
62.3 km | 超級山岳 | 15:42 | 15:51 | 16:02 | 22:42 | 22:51 | 23:02 |
28.5 km | 2級山岳 | 16:20 | 16:31 | 16:43 | 23:20 | 23:31 | 23:43 |
0.0 km | 超級山岳 フィニッシュ |
17:17 | 17:32 | 17:50 | 00:17 | 00:32 | 00:50 |