コースの特徴
大会第1週目の締めくくりは、男子ツールとしては初めての「白い道」巡り。ぶどう畑の中に引かれた計14セクター・通算32.2kmの未舗装路が、黄色いレースの挑戦を待ち構えている。
2007年に誕生したストラーデ・ビアンケがきっかけで、プロトンの、土への回帰が始まった。ツール開催委員会も、パリ〜トゥールでは、すでに6年前からグラベルを取り入れている。さらに2022年第1回「女子」ツールでは、今ステージと同じ道を使用した。いよいよ世界最大の自転車レースも、白い砂埃の中へと飛び込んでいく。舞台はシャンパーニュ地方。「シャンパンの栓」の形をしているというトロワから走り出し、主要産地コート・デ・バール地区を巡り、再びトロワへと帰り着く。
セクター内に4級山岳が組み込まれている
今ステージの見どころは、なにも白い道だけではない。序盤30kmと終盤50kmを除けば、道はアップダウンに満ちている。スタートから47km地点で最初のセクター=第14セクターに立ち向かった直後には、この日最初の4級山岳にもよじ登る。しかも第11・10セクターではセクター内に4級山岳が組み込まれた。つまり未舗装路を上り、未舗装路を下る。
最終盤で道が平坦になっても、決して安心はできない。なにしろラスト33kmに計6ヶ所・11.6kmのセクターが詰め込まれているし、クレイジーなほどに直角コーナーが多発する。残り6.5kmで最後のセクターを抜け出すまで、あらゆる不運から身を守りきらねばならない。
ちなみに最長セクターは第10セクターの4200m。また開催委員によれば最難関3つ星は第13・10・8セクターの3つ。
Fumyのステージチェック
ストラーデ・ビアンケのきれいに固められた砂利の道とは、少し違うんじゃないかな。フランスによくあるぶどう畑の道だとすると、小石も普通にごろごろ転がってます。ただバイクの進化、特にディスクブレーキの登場によって、近年は使えるホイールの幅が変わったんです。昔なら特殊な砂利道仕様の自転車を使わなきゃならなかったけど、今は30mmのタイヤを標準のロードバイクに入れられる。もちろんスリップやパンクを完全に避けることはできないにしても、タイヤの太さを変更すれば、トラブルを最小限に防ぐことができる。だから昔に比べれば、悪路に対する不安は少なくなったはず。
とはいえ、未舗装路は道幅も広くないし、自ずとポジション取りが過酷になるので、不安要素は残ります。本来ロードレースは、リーダーはアシストに守られて走っていますが、今回は早い段階でアシストがいなくなってしまう危険性もあるわけで、リーダー1人で位置取りは大変です。白い道だとチームカーもすぐには上がってこれないので、もしもパンクに見舞われたら、やはりリーダーは1人で対応しなきゃならなくなる。
序盤はかなり起伏もあります。上りがあるということは、下りもあるという意味です。グラベルの下りはコーナーなどでスリップしやすいので、つまりテクニックが求められます。この点でポガチャルには問題がないとして、ヴィンゲゴーやログリッチ、レムコは少し不安です。特にレムコは、チーム自体はクラシック得意とは言っても、本人にほとんど悪路の経験がない。しかもTTポジションのような、エアロを重視した姿勢で走る選手なので、どうしても落車が多くなっちゃうんですよね。ストレスの多い1日になりますよ。
トラブルを絶対に避けなければいけない
総合リーダーチームにとっては、トラブルを絶対に避けなければいけないステージになります。ある程度はディフェンシブに走る必要もあります。だからステージハンターたちが活躍するんじゃないかな。それこそマチューが絶対的に強いはずですし、フィリプセンだってパリ〜ルーベ2年連続2位なので、この日も狙える位置につけている。で、ステージ終盤の、平坦ではあるけれど、コーナーが多く未舗装セクターの間隔も狭い……第6セクターあたりからアルペシンがフルアクセルを踏んだら、とんでもないことになりますよ。総合リーダーが単独で戦わなきゃならない状況に置かれていた場合は、タイム差は平気で2〜3分ついちゃうでしょう。悲しい波乱は……見たくはないですけどね。
解説:別府史之/文:宮本あさか
残り距離 | ポイント | 現地時間 | 日本時間 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
47 km/h | 45 km/h | 43 km/h | 47 km/h | 45 km/h | 43 km/h | ||
199.0 km | オフィシャル スタート |
13:35 | 13:35 | 13:35 | 20:35 | 20:35 | 20:35 |
151.7 km | セクター14 | 14:35 | 14:38 | 14:41 | 21:35 | 21:38 | 21:41 |
147.3 km | 4級山岳 | 14:41 | 14:44 | 14:47 | 21:41 | 21:44 | 21:47 |
132.0 km | セクター13 | 15:00 | 15:04 | 15:08 | 22:00 | 22:04 | 22:08 |
129.4 km | 4級山岳 | 15:04 | 15:08 | 15:12 | 22:04 | 22:08 | 22:12 |
115.5 km | 中間SP | 15:22 | 15:26 | 15:31 | 22:22 | 22:26 | 22:31 |
102.2 km | セクター12 | 15:39 | 15:44 | 15:50 | 22:39 | 22:44 | 22:50 |
93.8 km | セクター11 | 15:49 | 15:55 | 16:02 | 22:49 | 22:55 | 23:02 |
91.5 km | 4級山岳 | 15:52 | 15:58 | 16:05 | 22:52 | 22:58 | 23:05 |
80.4 km | セクター10 | 16:06 | 16:13 | 16:20 | 23:06 | 23:13 | 23:20 |
77.8 km | 4級山岳 | 16:10 | 16:17 | 16:24 | 23:10 | 23:17 | 23:24 |
67.1 km | セクター9 | 16:23 | 16:31 | 16:39 | 23:23 | 23:31 | 23:39 |
58.2 km | セクター8 | 16:35 | 16:43 | 16:51 | 23:35 | 23:43 | 23:51 |
47.1 km | セクター7 | 16:49 | 16:57 | 17:07 | 23:49 | 23:57 | 00:07 |
33.3 km | セクター6 | 17:06 | 17:16 | 17:26 | 00:06 | 00:16 | 00:26 |
30.0 km | セクター5 | 17:11 | 17:20 | 17:31 | 00:11 | 00:20 | 00:31 |
24.0 km | セクター4 | 17:18 | 17:28 | 17:39 | 00:18 | 00:28 | 00:39 |
21.0 km | セクター3 | 17:22 | 17:32 | 17:43 | 00:22 | 00:32 | 00:43 |
16.7 km | セクター2 | 17:28 | 17:38 | 17:49 | 00:28 | 00:38 | 00:49 |
9.6 km | セクター1 | 17:37 | 17:47 | 17:59 | 00:37 | 00:47 | 00:59 |
0.0 km | フィニッシュ | 17:49 | 18:00 | 18:13 | 00:49 | 01:00 | 01:13 |