コースの特徴
タイムトライアルで幕を閉じる大会の、最初のちょっとした脚試し。「真実の種目」とも呼ばれる独走で、総合エースたちの真の実力がむき出しになる。ガリビエの山の上で一旦出来上がったヒエラルキーが、大きく作り変えられるかもしれない。
ブルゴーニュが誇る「グラン・クリュ街道」で真剣勝負
ワイン好きにはたまらない地名が、2つ並んだ。スタート地は、力強く濃厚な赤で知られるニュイ=サン=ジョルジュ。そしてフィニッシュ地は、かのナポレオンが愛したというワインの産地ジュヴレ=シャンベルタン。つまりブルゴーニュが誇る「グラン・クリュ街道」を拝借して、全長25.3kmの真剣勝負は繰り広げられる。
当然コースはぶどう畑沿いに引かれた。特にステージ前半は丘陵地帯に切り込み、緩やかにうねる道を走りながら、小さな丘も1つ乗り越える。登坂距離は約1.5kmで、平均勾配は6%前後。一方で丘を下りきった先の最終盤3分の1は、平地と直線(といくつかの鋭角コーナー)のみで構成されている。
前日までの総合最下位から1人ずつ降順にスタートを切る。計測ポイントは丘の麓、丘の頂き、丘を下りきった地点(残り5.4km)の3か所用意された。開催委員会の計算によれば29分程度、平均時速52km超の全力疾走。ちなみにツール・ド・フランスに史上初めてタイムトライアルが組み込まれてから、今年でちょうど90年。1934年大会は90kmもの長距離を孤独に走り、勝者の平均時速は35.5kmだった。
Fumyのステージチェック
コース自体はさほど難解ではなさそうです。そこまでテクニカルではなく、しかも風の影響も心配しなくてもいい。やはりTTスペシャリストと総合エースたちによるバトルになるでしょうね。もちろんレムコは狙ってくるでしょうし、レムコ向きのコースではあります。
おそらく、それほど大きなタイム差はつかないんじゃないかな。みんなが僅差でフィニッシュして、たとえばその中でレムコが他を抑えて、ほんの少し上に行く……。ログリッチやポガチャルに対して、引き離せたとしても最大2〜30秒差でしょうね。それ以上はないと思います。だからこのステージだけで総合が決まることはないです。
ピュアクライマーもそこまで大きくは遅れない
つまりは今回のTTだけで「挫折」するような選手も、ほとんど出ないはず。ピュアクライマーもそこまで大きくは遅れないでしょう。1分半差程度なら、良しとしておきたいところです。この先も挽回可能なタイム差でフィニッシュできるんじゃないかな。
ただ、ここまでの展開にもよりますが、マイヨ・ジョーヌが入れ替わる可能性はある。1週目ここまで上りフィニッシュがなかったし、総合争いが決定的になるようなステージもなかったですからね。総合勢にそれほど大きなタイム差がつかないままこのTTを迎えていると予想して、面白いサスペンスが繰り広げられると思いますよ。
解説:別府史之/文:宮本あさか
ポイント | 残り距離 | 現地時間 | 日本時間 | ||
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第1走者 | 最終走者 | 第1走者 | 最終走者 | ||
スタート | 25.3 km | 13:05 | 17:00 | 20:05 | 00:00 |
第1計測 | 16.7 km | 13:15 | 17:10 | 20:15 | 00:10 |
第2計測 | 10.9 km | 13:21 | 17:16 | 20:21 | 00:16 |
第3計測 | 5.4 km | 13:28 | 17:23 | 20:28 | 00:23 |
フィニッシュ | 0.0 km | 13:34 | 17:29 | 20:34 | 00:29 |