ブエルタ・ア・エスパーニャ2023

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ブエルタ・ア・エスパーニャとは

ブエルタがやってきた

ブエルタ・ア・アスパーニャとは

ブエルタ・ア・アスパーニャとは 栄誉ある「マイヨ・ロホ」こと、真っ赤に燃えるリーダージャージを目指して男たちが凌ぎを削る

暑い夏の終わりに、太陽の国スペインで、巻き起こる熱き戦い。情熱の赤いジャージを巡る旅。イタリアのジロ・デ・イタリア、フランスのツール・ド・フランスに続く今年3つ目のグランツールタイトルをかけて、真のチャンピオンたちが3週間の激しいバトルを繰り広げる。

2023年のブエルタ・ア・エスパーニャは、バルセロナで幕を開ける。初日のマイヨ・ロホを決めるのは、いわばブエルタ恒例のチームタイムトライアル。8人編成の全22チームが、お披露目を兼ねつつ、全長14.8kmの市街地コースへと走り出す。

そこから21日間かけて、全176人のプロトンは、トータル約3160kmを走破する。地中海岸からわずかに北上した後、改めて海岸沿いを南下。休息日を利用して一気に北まで大移動を果たしたら、スペイン北部を東から西へと横断する。極めて変則的なスペイン一周のトリを飾るのは、恒例、首都マドリードだ。

いかにもブエルタらしい山の多いコースが用意された。ストップウォッチとの戦いはチームTT(第1ステージ)、個人TT(第10ステージ)ともにほぼ平坦で、ピュアスプリンター向けのステージもかろうじて4区間用意されているのだとしたら、残す15日間はひたすらアップダウン三昧。起伏ステージが6つ、「平地だけれど山頂フィニッシュ」ステージが2つ、山岳ステージが7つ(うち山頂フィニッシュ6つ)が、次々と選手たちに襲いかかってくる!

特に3日目に、ピレネーの山奥のアンドラ公国にて、早くも1級山頂フィニッシュが争われる。さらには6日目、9日目と、畳み掛けるように山頂の争いが繰り返される。大会第1週目の終わりには、すでに最終総合表彰台の行方がぼんやりと見えているはずだ。

第1回目の休息日明け、第10ステージの個人タイムトライアル25.8kmで、優勝候補はさらに絞り込まれるだろう。ただし2週目のクライマックスは、なんと言っても週末の難関山頂フィニッシュ2連戦。お隣フランスに足を踏み入れる金曜日の第13ステージは、135kmという短距離コースに、4つの難峠がぎゅうぎゅうに詰め込まれた。しかもフィニッシュにはツール・ド・フランスでおなじみの伝統峠、超級トゥルマレへとよじのぼる。今大会最高標高地点2115mへと到達した翌日、第14ステージは、凄まじい激坂巡りの果てに1級ベレグアで締めくくられる。

北の海辺で骨休めした後、勝負の3週目がやってくる。休息日明けステージの、フラット……からの2級激坂フィニッシュを利用して、大急ぎで調子を整えるべし。なにしろ第17ステージには、あのアングリル超級フィニッシュが待ち構える。全長12.4km、平均勾配9.8%、最大22%というアストゥリアスの魔の山が、選手たちに牙を向くのは、9度目3大会ぶり。ちなみに最終的なブエルタ総合覇者が、このあまりにも厳しい山頂を勝ち取ったことは、たったの1度しかない。

そして、アングリルを終えると、残す山岳ステージは1つ。第18ステージの1級ラ・クルス・デ・リナレスが、泣いても笑っても、ピュアクライマーにとっては最後の大逆転のチャンスとなる。

ただマドリードに帰り着くまで、マイヨ・ロホの争いは決して終わらない。第20ステージも決して侮ってはならない。距離は今大会最長の208kmを誇る上に、3級峠✕10回と果てしない上り下りの連続。アルデンヌクラシック顔負けのクレイジーな地形が、3週間の戦いで疲弊した選手たちを、罠にかけてしまうかもしれない。

もちろん大団円の場は、いつものマドリード市街地周回コース。2年前からユネスコ世界遺産に指定された光の景観の中を、プロトンは華やかに駆け抜けて、3週間の熱戦に別れを告げる。

文:宮本あさか

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