ブエルタ・ア・エスパーニャ2021

3週間に渡り総合順位を争ってきた選手やチームにとって、泣いても笑っても、最後の直接対決の時。202kmを超える長距離ステージの、後半100kmに詰め込まれた5つの山岳で、2021年ブエルタ最終バトルが繰り広げられる。

大西洋に突き出すビーチリゾート、サンシェンショから始まる今区間は、つまり個人タイムトライアルを得意としない選手たちにとっては最後の区間勝利のチャンス。いまだ山岳ジャージの行方が決まっていない場合は、今区間で収集可能な最大28ポイントを巡って、最後のポイント収集合戦も巻き起こるに違いない。3級→2級→1級の後に組み込まれた中間ポイントで、スプリントに挑む強脚スプリンターは果たして存在するだろうか。

続く2級峠の山頂には、3､2､1秒のボーナスタイムが仕掛けられている。もちろん最終2級カストロ・デ・エルビリェの山頂フィニッシュでには、10、6、4秒のご褒美が待ち受ける。翌日の個人タイムトライアルに一抹の不安を抱く総合系選手は、わずかな秒数でも稼いでおきたいと願うかもしれない。

今大会最後の山頂フィニッシュへと誘う山道は、全長9.7km。平均勾配はわずか4.8％と低いが、もちろんブエルタの山を甘く見てはならない。前半に2kmに渡り平均11％超・最大16％ゾーンが待ち受けるし、山頂までの数百メートルは9.5％。ライバルたちを一気に突き放すチャンスは、十分に残されている。

文：宮本あさか