コースの特徴
2020年ブエルタ・ア・エスパーニャのクイーンステージ。グランツールに激坂ブームをもたらした張本人であり、今なお欧州自転車界屈指の難峠として名高いラングリルが、総合争いをひっかきまわす。109.4kmという短いステージの終わりに、標高1560mの山のてっぺんで、マイヨ・ロホの持ち主が変わっている可能性さえ大いにある。
いよいよ欧州自転車界にとって「未知」なる11月に突入した。朝夕の気温はぐんと冷え込み、この日の戦場であるアストゥリアス地方は雨が増える季節。真夏のナロン川フェスティバルで有名なスタート地は、本来なら2020年は1週間かけてフェスティバル→ブエルタ区間を楽しむはずだったのに、実際は万聖節の日=カトリックではお墓参りの日と重なった。
地形は徐々に難度を増していく。スタートから25kmは平坦で(むしろ下り基調)。その後25kmで2つの3級峠を上って下りる。続いて1級モスケタ峠(登坂距離6.6km、平均勾配8.4%、最大勾配12%)へ、さらに1級コルダル峠(5.4km、9.3%、14%)へ。
クレッシェンドの先の、クライマックスへ。「自転車界のパンテオン(万神殿)」とも呼ばれるラングリルの12.4kmの山道は、平均勾配9.9%。ただし前半は比較的緩やかで(といっても大部分は8〜11%、一瞬22.5%ゾーンあり)、しかも登坂開始4kmからはじまる1km前後のほぼ平地を含んだ数値である。つまりこの魔の山を理解するための正しい数値とは、(最終400mを除く)終盤6.5kmの平均約14%・最大23.5%である。
1999年に初めて披露されたラングリルが、フィニッシュを受け入れたのは過去7回。うち3回でマイヨ・ロホ交代劇が起こった。また5回は山頂でマイヨ・ロホ表彰式に臨んだ者が、その大会の王者に輝いている。また勾配が厳しすぎて「グルペット」ができにくい山としても有名だ。短距離ステージだけになおのこと、激坂の苦手な選手たちにとっては、制限タイムを気にしての苦しい戦いとなる。
ただし、この超難関を乗り越えさえすれば、マドリード到着が見えてくる。しかも翌日は待ちに待った大会2度目の休息日だ。
文:宮本あさか
距離 | ポイント | 現地時間 | 日本時間 | ||||
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37KM/H | 35KM/H | 33KM/H | 37KM/H | 35KM/H | 33KM/H | ||
0km地点 | スタート地点 | 14:08 | 14:08 | 14:08 | 22:08 | 22:08 | 22:08 |
29.3km地点 | 3級山岳 | 14:55 | 14:58 | 15:01 | 22:55 | 22:58 | 23:01 |
43km地点 | 3級山岳 | 15:17 | 15:21 | 15:26 | 23:17 | 23:21 | 23:26 |
60.3km地点 | 1級山岳 | 15:45 | 15:51 | 15:57 | 23:45 | 23:51 | 23:57 |
77km地点 | 中間スプリント | 16:12 | 16:20 | 16:28 | 0:12 | 0:20 | 0:28 |
88.2km地点 | 1級山岳 | 16:31 | 16:39 | 16:48 | 0:31 | 0:39 | 0:48 |
109.4km地点 | 超級山岳 ゴール地点 |
17:05 | 17:15 | 17:26 | 1:05 | 1:15 | 1:26 |