ツール・ド・フランス2020

STAGE 17

第17ステージ

グルノーブル>メリベル・コル・デ・ラ・ロゼ

170Km
9月16日(水)午後6:50 - 深夜1:30
/J SPORTS 4J SPORTSオンデマンド
【現地実況・解説版】ステージ全編 午後7:00 ~ 深夜1;40/ J SPORTSオンデマンド限定
アンリ・デグランジュ賞
 

コースの特徴

第1ステージ

ラインステージにおける今大会最後の山頂フィニッシュ。アルプス特有の長い山道と、アルプスとしては珍しい急勾配、そして今大会最高峰の標高2304mで完全武装するツール初登場ロズ峠が、2020年マイヨ・ジョーヌにふさわしい者を選別する。

コース前半はほぼフラットだから、中間ポイント収集には最適だ。ただし折り返し地点を過ぎると、完全に山男たちだけの世界に突入する。行く手にそびえる山はただ2つ。とてつもなく巨大で、とんでもなく破壊力の高い2つである。

1つ目の超級はマドレーヌ峠。ツール登場27回目の、すっかりおなじみの山だが、今回はこれまで1度も上ったことのない方角から攻める。つまり登坂距離はいつもの25.3kmではなく、ちょっと短めの17.1km。代わりに平均勾配が6.2%から……8.4%にパワーアップ!しかも登坂口からの4kmは平均10%で、その後も延々7〜9%の勾配が続く。

2000mの山頂からは、目もくらむほどのダウンヒルが待ち受ける。下りきった先でほんの少しタランテーズの谷間を駆け抜けたら、昨大会第20ステージの最終峠の入り口、ムティエの町を通過する。1年前はそこから南下してヴァル・トランス登山を行ったプロトンは、今年は南西のメリベルへ向けて、最終登坂を開始する。

すでに1973年大会で区間の行方を見届けたメリベルの町は、ただし今回は、フィニッシュに至るまでの中間地点でしかない。なにしろ超級ロズ峠の山道は21.5kmとひたすら長い。山道全体の平均勾配は7.8%だが、メリベルまでなら6.9%。それより上部の……ツールにとって「未知なる」10.5kmだけなら8.6%。さらにラスト4.5kmは平均10%で、残り2.5km地点には最大24%ゾーンが、フラムルージュ前後に18%も待ち受ける!

ツール史上一番でこの山のてっぺんに飛び込んだ選手には、たくさんのご褒美が待っている。区間勝利は当然のこと、初代開催委員長を記念するアンリ・デグランジュ賞もかけられる。山岳ポイントさえ2倍もらえる。

文:宮本あさか

【こぼれ話】21世紀の山

21世紀の山

巨大な山の、広い道路の、ひたすら距離が長い道。ツール・ド・フランスの山岳ステージと言えば、大昔は、こんな山こそが主役だった。

たとえばアルプスのガリビエ。初代大会開催委員長デグランジュが「これほどの巨人を前にしたら、我らはただ帽子を脱いで、頭を深く垂れるのみ」と絶賛したこの山は、1911年に初登場して以来、61回もの熱戦を見届けてきた。特徴はなんといっても手前のテレグラフ峠から合わせると、全長35kmにも至る長い長い上り。山頂の標高も2642mと、ツールの山々では5番目の高さを誇る。

他にはない目を引く特徴を持つ山が、大いに評価された時代もあった。1951年初登場のモン・ヴァントゥは、樹木の一切生えない禿山が、まるで地獄の風景を思わせた。1952年初登場のラルプ・デュエズは、1から21までの番号が振られた規則正しいヘアピンカーブを有していた。あっという間に2峠は、ツールの伝統の仲間入りを果たした。

21世紀に入ると、ツールは激坂探しに躍起になった。ブエルタ・ア・エスパーニャが1999年にアングリル(登坂距離12.5km、平均勾配10.1%、最大23%)を世間に初披露し、ジロ・デ・イタリアが2003年にゾンコラン(10.5km、11.5%、22%)で衝撃を巻き起こすと、自転車界に一気に激坂ブームが訪れたからだ。

こうして2012年にはプランシュ・デ・ベルフィーユ(5.9km、8.5%、20%)が発掘され、早くも今年、5度目の登場を果たす。ちなみに昨大会は未踏の地に舗装を施して、激坂度を増す作戦まで取っている(7km、8.7%、24%)。同年にはミュール・ド・ペゲール(最大18%)が、2017年にはペイラギュード(最大24%)が使用された。

同じ頃ツールは、フレンチアルプスの財産である標高の高さも、思い出した。2008年には標高2744mアニェルが初登場し、2715mボネットも15年ぶりに通過。標高祭りとなった昨大会は、最も標高の高い2764mイズランと、12年ぶりの再開を果たした。

そして2020年、ついにツール・ド・フランスは4つ全ての特徴を兼ね備えた、理想の山にめぐりあう。これが第17ステージのフィニッシュの舞台に選ばれた、ロズ峠だ。

登坂距離は21.5kmと極めて長い。最終盤は「今までこんなの見たことない!」と開催委員長が保証するように、道はうねうねと蛇のように走る。これは隣のスキー場とつながっていた尾根道が、昨年「自転車専用」に舗装されたものだ。ラスト4.5kmは素敵な激坂(最大24%)で、しかも山頂の標高は2304mに達する。まさに完璧ではないか!

文:宮本あさか

Difference in height
高低差図
第17ステージ
Time schedule
タイムスケジュール
距離 ポイント 現地時間 日本時間
39KM/H 41KM/H 43KM/H 39KM/H 41KM/H 43KM/H
0km地点 スタート地点 12:30 12:30 12:30 19:30 19:30 19:30
45.5km地点 中間スプリント 13:53 13:48 13:44 20:53 20:48 20:44
107.5km地点 超級山岳 15:45 15:34 15:24 22:45 22:34 22:24
170km地点 超級山岳
ゴール地点
17:39 17:21 17:05 24:39 24:21 24:05

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