ツール・ド・フランスを知るための100の入り口
ツール・ド・フランスを知るための100の入り口:レース中の海水浴
1950年のツール第15ステージは、猛暑に見舞われた。みんな朝からヤル気なし。街角の噴水や、観客が振りかける水しぶきも一時しのぎにしかならない。そんなダラダラ気分の中、突如サント・マキシムの海岸が見えてきた。
1人が合図を出すやいなや、62名の選手が一斉に水遊びへと突入した。中には自転車から降りるのももどかしく、そのまま水浴びを楽しんだ者もいたという。しかも、それは、レースディレクター、ジャック・ゴデの目の前で行われた。後で罰金処分が課せられたのは、致し方あるまい。
この日の優勝者は、ジャン・ディードリッヒ、通称ビム。勝敗を分けたのは補給食だった、などともいわれている。海水のせいで、ポケットに入れていた食料が台なしになる選手が多かったのだとか。
さらにこの年のツールは、北アフリカチームが出場したことでも知られる。また、フランス人ジャン・ロビックの落車を引き起こしたイタリア人ジーノ・バルタリが地元ファンからの攻撃に遭い、イタリアチームが2チームとも、ごっそりレースを去る事件も起きた。結果、第15ステージのゴールは、当初予定していたイタリアのサンレモを回避し、急きょマントンに変更となったのだった。
※本企画は2013年6月に実施されたものです。現在と情報が異なる場合がございますが、予めご了承ください。
写真(イメージ):Yuzuru SUNADA