ツール・ド・フランスを知るための100の入り口
ツール・ド・フランスを知るための100の入り口:ファンレター
1990年代後半人気絶頂だったリシャール・ヴィランクは、大会中、850通のファンレターを受け取っていた。ほかの選手を引き離して、ダントツだった。
そんな集計を可能にしたのが、1993年、フランス特殊郵便サービス事業会社Docapostが開始した、転戦中の選手にファンレターを届けるサービス。
メッセージを記したハガキや封筒の表に、応援する選手名、所属チーム、届けたいステージの地名/郵便番号を書いた上で、”Tour de France/Docapost”と記すだけ。切手は通常料金。
90年代後半〜2000年前半にFDJやクレディアグリコルで走ったアントニー・モランの妻ヴァレリーは、夫あてに、せっせと毎日30通ずつもの手紙をしたためた、そんな秘話もある。
2011年大会中盤には、異常事態が発生。ジョニー・フーガーランドあての応援メッセージが、突如洪水のごとく押し寄せる。レース中、報道関係車両にぶつけられ、そに負傷ぶりが痛ましかった。事故前、彼あてのレター/メールはゼロ。しかしその日を境に一躍ヒーローに。当該大会を通じて、応援メッセージ数でトップ5に入った。
当初、手紙だけだったサービスも、時代とともに様変わり。2005年以降Docapost専用サイトから、Eメールでの受付も開始し、紙によるファンレターは激減した。
でも、例えば1996年、戦後日本人初の参加者、今中大介選手のもとに届いたファンレター。紙というはかない媒体には風味があり、ぬくもりある手書きは暖かい。Eメールで演出できない人間味があるね。
※本企画は2013年6月に実施されたものです。現在と情報が異なる場合がございますが、予めご了承ください。