ツール・ド・フランスを知るための100の入り口
ツール・ド・フランスを知るための100の入り口:忘れがちだけど不可欠な要素
ツールには、ドーピング以上に怖いものがある。それは、世界最高峰のレースを完全にノックアウトする力をもっている。実際、2度にわたり、開催をつぶした実績をもつ。そう、それは戦争。
2度の世界大戦のあおりで、1915~18年と1940~46年、ツールはキャンセルに追い込まれた。
さかのぼれば、1869年、初めて地方都市を結ぶ自転車レース、パリ~ルーアンが開催されたあと、1870年に普仏戦争が勃発し、都市から都市をつなぐレースは中断された。
だから、2都市型レース・パリ~ベルサイユ復活の知らせは、とりもなおさず、戦争終結の証だった。
レースの舞台となる国土が戦地と化せば、開催は不可能になる、そんな当たり前のことも、平穏無事に過ごしていると、つい忘れがち。
1947年以来、一度も中断なくツールが続行できたのは、平和があってこそ。そんな思いを胸にするとき、ツールの永続性を祈らずにはいられない。
※本企画は2013年6月に実施されたものです。現在と情報が異なる場合がございますが、予めご了承ください。