INTRODUCTION今大会の見どころ

開催110回目を迎えるツール・ド・フランスが7月1日にスペインのバスク地方で開幕します。3週間、合計21ステージのコース全長は平均的な3,404kmではあるものの、その総獲得標高は56,266mという近年稀に見る数字。単純に21で割っても毎日2700m近く登る計算で、しかも1つしか設定されない個人タイムトライアルも登り基調。つまり「めちゃくちゃ登る」コースレイアウトであり、登りが得意なクライマー系の選手を中心にしたマイヨ・ジョーヌ争いになることが予想されます。  大会連覇を狙うヨナス・ヴィンゲゴーが前哨戦クリテリウム・デュ・ドーフィネで絶好調ぶりを示している一方で、タイトル奪還を狙う2度の優勝者タデイ・ポガチャルは4月の手首骨折の影響でレースを離脱している状態。状態が未知数とはいえ調整を合わせてくるのは明らかで、登りで他の追随を許さない2人の一騎打ちになる可能性が濃厚です。(文:辻啓)

  • 注目ステージ1(第1ステージ)

    戦いの火蓋が切って落とされる大会初日にステージ優勝すれば、自動的にマイヨ・ジョーヌ着用の権利が回ってきます。そんな重要な第1ステージは、バスク地方最大の都市ビルバオを発着するアップダウンコース。フィニッシュ直前に3級山岳が設定されるなど決して重量級のピュアスプリンター向きとはいえない難易度で、かといって軽量級のピュアクライマーが飛び出せるほどの難易度でもなく。ずばり短い登りを得意とするパンチャー向きのレイアウトであり、ファンデルプールやアラフィリップといった選手が初日から刺激的な戦いを繰り広げることになりそうです。オレンジ色のTシャツを着た熱狂的なバスク応援団が詰めかける山岳で、マイヨ・ジョーヌ着用をかけた登坂バトルに注目です。

  • 注目ステージ2(第9ステージ)

    ピレネー山脈、中央山塊(マッシフサントラル)、ジュラ山脈、アルプス山脈、ヴォージュ山脈というフランスの5つの山系全てを訪れる2023年のツール。大会最初の休息日を前にした第9ステージは、火山性の地形が特徴的な中央山塊を突き進む山岳ステージです。中盤にかけていくつかの峠道を越えるものの、やはりこの日の注目は最後の超級山岳ピュイ・ド・ドーム。クレルモン=フェランから標高1,415mの頂上に向かって平均勾配7.7%の登りが13.3kmにわたって続き、残り4km地点通過後はひたすら12%前後の勾配が続く激坂です。ミネラルウォーター『ボルヴィック』の産地でもあるこのピュイ・ド・ドームがツールに登場するのは35年ぶり。普段は自転車での通行が禁止されているこの山道を登り切ったところで、すでにマイヨ・ジョーヌは本命の手に渡っているかも?

  • 注目ステージ3(第17ステージ)

    アルプス山脈の厳しい峠道を繋ぐ大会2回目の休息日を前にした第17ステージは、獲得標高が5,000mを超える今大会のクイーンステージ(最難関ステージ)。序盤から1級山岳2つと2級山岳1つを休むまもなくこなし、最後に超級山岳ロズ峠を駆け上がります。3年ぶりの登場となるこのロズ峠はスキー場の管理道路を舗装して作られた自転車専用道で、最大勾配が24%に達する激坂です。残り7km地点でこのロズ峠のピークを越えると、短い下り区間を経てクールシュヴェルの山岳飛行場へ。最後は勾配18%の滑走路で勝負が締めくくられるという過酷さで、総合成績に大変動が起きてもおかしくありません。正真正銘のクイーンステージ決戦になること請け合いの重要なステージです。

21日間の自宅でフランス旅♪初めてでも安心!
ツールの楽しみ方

  • 楽しみ方1
    Twitterで情報収集
    知らないことは質問しちゃおう!

    多くの方がTwitterなどのSNSで交流しながら視聴しています。ロードレースが楽しくなる小ネタや観戦ポイントがたくさん流れてくるので、「#jspocycle」をチェックしながらの観戦がおすすめ。また、「#jspocycleq」をつけて質問すると、実況・解説陣があなたの疑問に答えてくれるかも!ぜひ、お試しください♪

  • 楽しみ方2
    音無しも音だけもあり!
    “ながら見”で効率観戦♪

    ロードレースは“ながら見観戦”にも最適!音を消して観戦、或いはラジオ感覚で音だけで“ながら見”観戦される方も多くいらっしゃいます。途中で流れてくる圧巻の空撮映像は癒し効果抜群。更にバドルが激化するシーンでは、実況解説陣と一緒に熱狂しちゃいましょう!映像だけでも音声だけでも楽しめるのがロードレースなんです♪

  • 楽しみ方3
    3週目からの駆け込み参戦!
    見逃したって怖くない!

    3週間に渡って行われるツール・ド・フランス。スタートに出遅れても心配無用。ステージごとのハイライトやレビューコラムをチェックしながら、途中参戦しても最高に楽しめるのがロードレースなんです。特に、勝負が激化する3週目から視聴すると、ギュギュギュっと詰まったロードレースの魅力を一気に味わえるかも♪


辻啓が選ぶ!
〇〇な選手ランキング
サイクルフォトグラファーの辻啓が勝手に選ぶ「〇〇な選手ランキング」。どんな選手がいるのかよく分からない……という方にとって、推し選手を作るヒントになるかも!

シンプルにイケメン!といえば
    1ヤコブ・フルサン

    デンマーク生まれのベテランは今も昔も爽やか系のイケメン。かつてステージレースやクラシックレースの上位常連だった彼も38歳。表彰台ではヘルメットの下に隠れていた茶髪が見られるかも。

    2ジュリオ・チッコーネ

    イタリア生まれのキリッとした顔立ちのオールラウンダーは、登りの多い2023年ツールではマイヨジョーヌのダークホースになるかもしれません。勝利の喜びをフィニッシュラインで爆発させるところも好印象。

     
    3ミッケルフレーリク・ホノレ

    雑誌モデルをしてもおかしくないような、スラッとした体躯とシュッとした顔立ちの北欧系美男。EFエデュケーション・イージーポストもよく彼をジャージモデルとして登場させています。

ダウンヒルが得意な恐れ知らず!といえば
    1トーマス・ピドコック

    2022年ツールの第12ステージ、ガリビエ峠の下りで衝撃を与えたピドコックのダウンヒル(その後ステージ優勝)。東京五輪MTBクロスカントリー金メダリストの卓越したバイクコントロールに再び注目です。

    2マテイ・モホリッチ

    MTB界では主流となっているドロッパーシートポスト(素早くサドルの高さを変更できる)を投入し、2022年のミラノ〜サンレモの下りで飛び出して優勝したモホリッチ。ロード界きってのダウンヒラーは下りで飛び出すタイミングを虎視眈々と狙っているはず。

    3マチュー・ファンデルプール

    2023年ミラノ〜サンレモとパリ〜ルーベを制したマチューには、彼にしか見えない下りのラインがあるかのよう。ピドコックと同様にオフロード競技出身者ならではのテクニックで丘陵ステージを掻き回してくるでしょう。

とにかく髭が立派!といえば
    1シモン・ゲシュケ

    2013年ごろから髭をたくわえるようになり、今ではすっかり髭の人として定着したゲシュケ。プロトンの中でも見つけ出しやすい愛嬌ある彼は2022年ツール山岳賞2位。2023年はマイヨアポワを最初から狙ってくるはず!

    2マグナス・コルト

    整えられた口髭が凛々しいコルトは2023年ジロ・デ・イタリアで全グランツールステージ優勝を達成。平坦ステージから山岳ステージまで、逃げから集団スプリントまで、どんなステージでも優勝を狙うことのできるオールラウンダーです。

    3アントニー・テュルジス

    粘り強い走りが持ち味のテュルジスも髭が濃い選手の一人。もしチームメイトのジェフリー・スープが出場すれば、そしてペテル・サガンやダニエル・オスが髭を伸ばせば、トタルエネルジーがチーム髭総合成績で優勝。

「ン」で終わるスプリンターといえば
    1ヤスペル・フィリプセン

    2022年ツールの最終パリステージで優勝したフィリプセンは、チームメイトのマチュー・ファンデルプールとともに平坦ステージを席巻するかも。出場予定スプリンターの中でも今シーズン最多の6勝をマーク中(6月15日現在)。

    2ファビオ・ヤコブセン

    ヨーロッパチャンピオンジャージを着る『ウルフパック』の一員ヤコブセン。レース中の落車による大怪我からの復活ストーリーも素晴らしい。世界最高峰のリードアウトマンと称されるミケル・モルコフとのタッグで、2年連続のステージ優勝を狙います。

    3カレブ・ユアン

    韓国人のお母さんをもつオーストラリア人のユアンはツールでステージ通算5勝を飾っているものの、過去2年間はステージ0勝。『ポケットロケット』と呼ばれる彼の俊敏な加速でビッグスプリンターに挑みます。

頑張るベテラン(おじさん)といえば
    1マーク・カヴェンディッシュ(38歳)

    今シーズンをもって引退することを表明している『歴代最高のスプリンターの一人』であるカヴェンディッシュ。ツールではエディ・メルクス氏と並ぶ歴代最多タイのステージ通算34勝。あと一勝すれば歴史が変わります。

    2グレッグ・ファンアーヴェルマート(38歳)

    ツールに出場予定の6人の『38歳』の一人、ファンアーヴェルマートはステージ通算2勝。リオ五輪ロードやパリ〜ルーベを制したクラシックレーサーは、キャリア最後のツールでもうひと暴れしてくれるはず。

    3ダリル・インピー(38歳)

    出場予定選手の中で最年長のインピーは2019年にステージ優勝を達成。南アフリカ出身者として長年ロード界を牽引してきた彼にとっても引退前最後のツールになります。ちなみにイスラエル・プレミアテックはメンバーの平均年齢が34歳でこちらも22チームの中で最年長。

小柄だけどすごい!といえば
    1セルヒオ・イギータ

    アニメのキャラのような『イギータモンスター』と呼ばれる、コロンビア出身の小柄なピュアクライマーは身長166cm。ジャイ・ヒンドレーの山岳アシストを担うことになると思われますが、チャンスがあれば山岳ステージで逃げるかも?

    2カレブ・ユアン

    大柄マッチョなスプリンターと競り合う『ポケットロケット』ことユアンは身長167cm。日本人の平均身長よりも低いものの、誰よりも体勢が低く、誰よりも空気抵抗が少ないポジションでカッ飛んでいく様は見ていて気持ちいい。

    3トーマス・ピドコック

    ファンデルプールとファンアールトという高身長の二大シクロクロッサー(シクロクロス選手)の跡を継いだのが身長170cmのピドコック。小柄ながら石畳のレースも走ることができる23歳はクライマーとして成長中で、将来的にどんなレースにも対応するオールラウンダーになるかも?


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ツール・ド・フランス予想|Cycle*2023 ナカジケイの○月誰クル?#5

J SPORTSサイクルロードレース解説でおなじみの中島康晴&辻啓が、前年大会のハイライトや今シーズンのコース&出場チーム・注目選手の紹介、サイクルロードレース優勝予想「サイクル誰クル?」の予想ポイントなどをお届け! ※本番組は6月5日(月)に生中継した番組です。


ツール2022名場面集!
  • 奇襲作戦からのワウト独走劇|ツール・ド・フランス2022 第4ステージ
  • ポガチャル vs. ヴィンゲゴー 死力を尽くす激坂バトル|ツール・ド・フランス2022 第7ステージ
  • 無慈悲なポガチャル包囲網|ツール・ド・フランス2022 第11ステージ
  • 仲間のために戦う”怪物”ポガチャル|ツール・ド・フランス 第17ステージ
  • ドラマが生まれた伝説の第18ステージ|ツール・ド・フランス2022 第18ステージ

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