世界最大の自転車レース ツール・ド・フランス シーズン当初から好調を維持し現役最多優勝を誇るポガチャルを筆頭にトップ選手たちがマイヨ・ジョーヌをかけた真夏のフランス決戦に挑む。勝つのは現役最強か、それとも...一瞬たりとも見逃せない3週間がいまはじまる! 世界最大の自転車レース ツール・ド・フランス シーズン当初から好調を維持し現役最多優勝を誇るポガチャルを筆頭にトップ選手たちがマイヨ・ジョーヌをかけた真夏のフランス決戦に挑む。勝つのは現役最強か、それとも...一瞬たりとも見逃せない3週間がいまはじまる!

見どころ

全コース国内で行われる
純度100%のフランス一周
最終ステージは2年振りとなる首都パリ!

世界最大の自転車ロードレース「ツール・ド・フランス」。第112回目の大会となる2025年は、7月5日から27日までの日程で開催される。

3週間・全21ステージの総走行距離は3338.8kmで、総獲得標高は52500m。ステージ構成は、平坦7・丘陵6・山岳6(うち山頂フィニッシュ5)・個人タイムトライアル2。

グランデパール(開幕地)を飾るのは、北部の都市・リール。この地でツール開幕を迎えるのは、1960年・1994年に次ぐ3回目。

今回は5年ぶりとなる「100%フランス」のルートが最大の特徴。国境をまたぐことはなく、すべてフランス国内で熱戦が繰り広げられることとなる。それも関係してか、今回はスタートまたはフィニッシュ地として8つの街がツールを初めて迎えることもポイントに上がる。

ステージ編成を大まかに見ていくと、フランス北部を行く第1週ではミュール・ド・ブルターニュが久々に登場。第5ステージでは個人タイムトライアルが設定され、マイヨ・ジョーヌ争いに動きが見られそう。いくつもの波乱が起きている中央山塊にも足を踏み入れる。

本格的な山岳勝負は第2週から。ピレネー山脈へと入っていき、途中でトゥールマレー峠越えが待つ第14ステージは今大会最難関との声も。その前日には2回目となる個人タイムトライアルが設定されていて、マイヨ・ジョーヌを賭けた戦いは激しさを増していく。

第3週初日、第16ステージでは“プロヴァンスの巨人”モン・ヴァントゥを4年ぶりに登頂。アルプス山脈へと進んで、第18ステージではクールシュヴェル・コル・ド・ラ・ロズ、第19ステージではラ・プラーニュをそれぞれ上ると、マイヨ・ジョーヌ争いの形勢がはっきりする。

そして、最後を飾るのは2年ぶりとなるパリ・シャンゼリゼ。ただ、慣例であった「パレードからのスプリント」ではなく、今回からモンマントルの丘を3回越える新ルートが採用に。祝福ムードから一転し、「すべてが終わるまで気が抜けないツール・ド・フランス」へと変わる。

ツール2025のスタートラインには23チーム・184人がならび、3週間に及ぶ壮大な旅へと出発する。

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ポガチャルを中心に
繰り広げられる総合争い
打倒王者筆頭は
ヴィンゲゴー、エヴェネプール
ポガチャルを中心に繰り広げられる総合争い 打倒王者筆頭はヴィンゲゴー、エヴェネプール ポガチャルを中心に繰り広げられる総合争い 打倒王者筆頭はヴィンゲゴー、エヴェネプール

最高栄誉「マイヨ・ジョーヌ」を賭けた戦いは、今年も熾烈を極めることだろう。

2年連続4度目のツール制覇がかかるタデイ・ポガチャルUAEチームエミレーツ・XRG)が、やはり今大会も最右翼。2025年シーズンも順調そのもので、ステージレース、ワンデーレースとタイトルを総なめにしている。前哨戦クリテリウム・デュ・ドーフィネではステージ3勝し、文句なしの個人総合優勝。今シーズンの走りを見ていくと、山岳で負ける要素がないといっても良いくらい。チームメートにはジョアン・アルメイダも控えており、UAE勢が上位を占めることだって十二分にあり得る。

ポガチャルの勢いを抑えられる選手としては、過去2回、ツールで直接対決を制しているヨナス・ヴィンゲゴーチーム ヴィスマ・リースアバイク)の名が真っ先に上がる。昨年は怪我の影響で3連覇を逃したが、きっと今回はベストコンディションでスタートラインにつくだろう。ドーフィネではポガチャルに差を付けられたが、それを縮める余地は大いにあると自認しているあたりも頼もしい。総合力向上が著しいマッテオ・ヨルゲンソンや、ジロ・デ・イタリアを制したサイモン・イェーツがバックにつく布陣は、今大会ナンバーワンチームとの呼び声もある。

前回3位のレムコ・エヴェネプールスーダル・クイックステップ)は、昨年のパリ五輪ロードレースと個人タイムトライアルの2冠。タイムトライアルの走りはポガチャルとヴィンゲゴーを凌駕しており、2回あるTTステージからチャンスを広げたい。

この3人と並ぶ存在であるはずのプリモシュ・ログリッチレッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)は、ジロでの落車ダメージがどこまで回復しているか。百戦錬磨のベテランらしいスマートな走りを見たいところ。ドーフィネで好走したフロリアン・リポヴィッツとの共闘にも期待が膨らむ。

このほかにも、エンリク・マスモビスター チーム)やベン・オコーナージェイコ・アルウラー)、カルロス・ロドリゲスイネオス・グレナディアーズ)、フェリックス・ガル(デカトロン・AG2Rラモンディアール)、マティアス・スケルモース(リドル・トレック)らも虎視眈々と上位をうかがう構えを見せる。

山岳と個人タイムトライアルはもちろん、平坦での横風分断作戦でも総合争いは揺らぐ。3週間を通し、集中力を保ち、コンディションを維持した者こそがマイヨ・ジョーヌの栄誉にあずかることができる。

ギルマイ2年連続の
マイヨ・ヴェールなるか!?
各チームのエーススプリンターが
フランスに集結
ギルマイ2年連続のマイヨ・ヴェールなるか!? 各チームのエーススプリンターもフランスに集結 ギルマイ2年連続のマイヨ・ヴェールなるか!? 各チームのエーススプリンターもフランスに集結

スプリントの華、マイヨ・ヴェール争いも楽しみ。特に今年は平坦ステージが7つ設けられ、スピードスターたちの競演は一層輝きを増すことだろう。

前回、ピュアアフリカンとして初めてステージ優勝し、そのままマイヨ・ヴェール獲得までつなげたビニヤム・ギルマイアンテルマルシェ・ワンティ)がポイント賞2連覇をかけて乗り込む。今年はまだ勝利を挙げていないが、出場したレースで着実に上位入りをしており、ツール本番にピークを持っていく公算だ。「Make History」のフレーズが再び踊るか。

2年前のマイヨ・ヴェール、ヤスペル・フィリプセンアルペシン・ドゥクーニンク)は登坂力を強化し、タフなコースでもちょっとやそっとでは崩れない強さを身につけた。状況次第では丘陵ステージを勝つことも考えられる。今年ももちろん、マチュー・ファンデルプールとのホットラインでポイント量産を図る。

この2人よりも高い評価を得ているのが、ジョナタン・ミラン(リドル・トレック)だ。今季挙げている6勝は、すべてステージレースの平坦区間を制してのもの。重戦車さながらのパワースプリントは、今大会ナンバーワンのスピードといえるだろう。

勝負強さなら、ティム・メルリール(スーダル・クイックステップ)が群を抜く。今シーズンはミランを上回る10勝を挙げており、リードアウトが多少崩れても力業で勝負できる巧みさを備える。ツールにはなかなか縁がなく、唯一出場した2021年は1勝こそ挙げたものの第9ステージでリタイア。そのリベンジとして、勝利量産とマイヨ・ヴェールといきたい。

そして、ワウト・ファンアールト(チーム ヴィスマ・リースアバイク)がこの賞を狙ってくるようだと、ムードが一気に変わってくる。平坦に限らずあらゆるレイアウトで勝ちに行ける脚は、ピュアスプリンターにとっては脅威でしかない。マイヨ・ヴェールを見据えるかは、総合狙いのチーム事情次第。

ポイント賞は、コース難易度ごとに設定されるフィニッシュ順位に応じた得点と、各ステージ1カ所設けられる中間スプリントポイントで付与される得点の合計で競う。平坦でのスピードを生かすだけでなく、確実に上位フィニッシュすることとと中間スプリントを逃さず走れるかがカギになる。

7月のレース一覧
注目選手

総合争いの最右翼のポガチャル、ヴィンゲゴー
ジロ王者のS・イェーツ、フランスの期待を背負うゴデュにも注目

TADEJ POGACAR

タデイ・ポガチャル

タデイ・ポガチャル

世界最強のサイクルロードレーサーとの呼び声高い、前回大会の覇者が今年もツール・ド・フランスに参戦。もちろん今大会も優勝候補筆頭で、他チームからは「打倒ポガチャル」との声も聞こえてくるほど。オールラウンダーとして何でもトップレベルでこなし、もちろん目指すは総合優勝のみ。過去にツールで3度の総合優勝経験があり、今大会優勝すると26歳の若さでツール通算4度目の総合優勝となる。
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JONAS VINGEGAARD

ヨナス・ヴィンゲゴー

ヨナス・ヴィンゲゴー

2022年、23年の総合優勝者が王座奪還を目指す。ここ5年はポガチャルと2人で総合優勝の座を独占しており、現在は1勝だけポガチャルの方が総合優勝回数が多い。ヴィンゲゴーにとっては今年勝利して通算勝利数を五分に戻したいところ。前回のツール・ド・フランスでは、大会を控える中、ほかの大会で怪我をしてしまい、万全の状態で迎えることができなかった。今大会は、100%の力で世界最強の座をライバルと競い合う。
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REMCO EVENEPOEL

レムコ・エヴェネプール

レムコ・エヴェネプール

個人タイムトライアルのスペシャリスト。3つのグランツールだけでなく、オリンピック、世界選手権の個人タイムトライアルも制し、名実ともに世界の最高峰に君臨する。今年のツール・ド・フランスは、個人タイムトライアルのステージが2つあるので注目だ。ツールと同じフランスで行われたパリオリンピックではなんと、個人タイムトライアルとロードレースの二冠を達成。思い出の地で、再び表彰台の頂点を狙う。
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BINIAM GHIRMAY

ビニヤム・ギルマイ

ビニヤム・ギルマイ

アフリカ大陸の小国エリトリア出身のギルマイ。しなやかな身体のばねを活かした平坦スプリントが得意。昨年のツール・ド・フランスでは、ステージ優勝、ポイント賞の獲得など、「アフリカ系黒人ライダー」として初となる記録を連発し、サイクル界の歴史に名を刻んだ。しかし、まだギルマイの快進撃は始まったばかり。もちろん今回のツールでもマイヨ・ヴェールを狙いに行く。
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PRIMOZ ROGLIC

プリモシュ・ログリッチ

プリモシュ・ログリッチ

今年36歳を迎えるログリッチは、グランツール通算5回の総合優勝を誇るサイクル界のレジェンド。ただ、ツール・ド・フランスでの総合優勝はまだない。1番マイヨ・ジョーヌに近づいた2020年も、第19ステージ終了時点で2位に57秒差をつけて首位を走っていたが、山岳個人タイムトライアルで失速してしまい結局2位でフィニッシュした。この悔しさを晴らすために、いつも通り最高の準備をして、ツール・ド・フランスに挑む。
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RICHARD CARAPAZ

リチャル・カラパス

リチャル・カラパス

昨年のツール・ド・フランスでマイヨ・ア・ポアと総合敢闘賞を獲得したエクアドルの英雄。母国の高地にある町出身なことも関係してか、山岳区間が得意なクライマーで、決して大きくない体から想像できないほどのパワフルな走りを見せる。今シーズンはジロ・デ・イタリアで、ステージ優勝3位に入り表彰台に上る好調をキープ。今年のツールでは、どんな走りを披露してくれるのか目が離せない。
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DAVID GAUDU

ダヴィド・ゴデュ

ダヴィド・ゴデュ

地元フランス国民のツール・ド・フランス総合優勝への期待を一身に背負うグルパマ・FDJの総合エース。山岳に強みを持つクライマータイプで、プロに入ってから多くの勝利を難関山岳ステージで獲得した。今年のツールは、6つの山岳ステージが用意されており、その中で山頂フィニッシュは5つ。慣れ親しんだ母国を走り、ベルナール・イノー以来40年ぶりのフランス人選手のツール制覇を狙う。
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SIMON YATES

サイモン・イェーツ

サイモン・イェーツ

今季ジロ・デ・イタリアを制したベテランライダーが万全の状態でフランスへ乗り込む。ツール・ド・フランスは、2019年に新人賞を獲得し、2023年には総合4位を記録していることからわかるように、決して相性の悪いレースではない。ただ今回は、チームの絶対的エースであるヨナス・ヴィンゲゴーのアシストとして走ることが濃厚。打倒ポガチャルに向けて、チーム ヴィスマ・リースアバイク一丸となって戦いに挑む。
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MATHIEU VAN DER POEL

マテュー・ファンデルプール

マテュー・ファンデルプール

グランツールの表彰台に10回上ったプリドールを祖父に持ち、父もモニュメント2勝を記録したサイクル界のサラブレッド。クラシックレースが得意なパンチャー型のサイクリストで、直近のパリ〜ルーべでは優勝をつかみ取った。直近の怪我が心配だが、クリテリウム・デュ・ドーフィネには出場。どんどんコンディションは戻ってきているだろう。今年のツール・ド・フランスでは、マイヨ・ヴェールを狙いに行くとの噂も。
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TIM MERLIER

ティム・メルリール

ティム・メルリール

現役最強スプリンターの呼び声高い、”元”シクロクロスのスペシャリストがツール・ド・フランスに参戦。2023年は、チームメイトとの出場レースの棲み分けで、ツール出場を断念。続く2024年もジロ・デ・イタリアへの出場が決まり、念願のフランス行きは叶わなかった。それだけに今年のツールにかける思いは誰よりも強く、世界最強スプリンターの証とも言えるマイヨ・ヴェールは逃がせない。
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