2025年シーズン最後のグランツール「ブエルタ・ア・エスパーニャ」が、8月23日から9月14日の日程で開催される。今回は第80回の記念大会で、1935年の初開催から90年を迎える節目でもある。
それを祝うように、コース設定は“ブエルタらしさ”に一層の彩りを加える。大きなポイントとして挙がるのは3つ。
ひとつは、史上初となるイタリア開幕。トリノでスタートが切られると、同国では3ステージを実施。第2ステージでは早くも頂上フィニッシュが登場。今大会は国際色豊かな3週間となり、イタリアでのスタート後は、フランス、アンドラ、そしてメインのスペインと、4カ国をめぐる。
ふたつめは、チームタイムトライアルの採用。スペインでの初日となる第5ステージで、24.1kmのコースが用意された。コースの難易度や各チームの戦力予想から、「そう大きな差はつかないのでは?」との見立てもあるが、実際のところは果たして。ちなみに、第18ステージではバリャドリードでの27.2kmの個人タイムトライアルが設けられ、こちらは個人総合争いに大きな影響をもたらす可能性が高い。
三つめは、10の山頂フィニッシュ。“クライマーズ・ブエルタ”はレースファンなら知るところだが、やはり今年も過酷なコースセッティングに。本格山岳としては、アンドラに入国する第6ステージを皮切りに、大会第1週では第7・第9ステージ。第2週では、第13ステージのアングリル、第14ステージのラ・ファラポナが登場。最終・第3週で上る第17ステージのエル・モレデロと並び、大会のハイライトとなること間違いなし。そして、山岳最終決戦は第20ステージのボラ・デル・ムンド。コンクリートの路面に最大勾配20%超の難所が最後の最後に待つ。これらの秀峰に加えて、バスクらしい急勾配の丘越えが連続する第11ステージも総合争いにおいては重要な区間と見ておきたい。
パッションあふれるスペインでの3週間。全21ステージの総距離は3151km。最終目的地はもちろん、首都マドリード。戦いの頂点に立つ者は、美しく照らされる夜のシベーレス広場でリーダージャージ「マイヨ・ロホ」に袖を通すこととなる。
文:福光 俊介