ジロ・デ・イタリア2022

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ジロ・デ・イタリアとは

ジロがやってきた

ジロ・デ・イタリアとは

ジロ・デ・イタリアとは 栄誉ある「マリア・ローザ」こと、ばら色に輝くリーダージャージを目指して男たちが凌ぎを削る

真夏のツール・ド・フランス、晩夏のブエルタ・ア・エスパーニャに先駆けて行われる、シーズン最初のグランツール。5月のイタリアを、3週間かけて駆け巡り、たった1人の勝者を選び出す。それがジロ・デ・イタリアであり、「コルサ・ローザ(ばら色のレース)」だ。

フランス一周が自転車界最高峰のレースなのだとしたら、ジロは最も美しく、最も過酷な大会と言われる。初夏の抜けるような青い空、きらめく碧い海。悠久の歴史を感じさせる旧市街を駆け抜け、いまだ頂に白き冠を抱く標高2000m級の山々を目指す。そして勇者を讃えるピンクのリーダージャージ。全てがカラフルで、華やかで。

もちろん総合覇者の証「マリア・ローザ」を手に入れるためには、あらゆる地形を乗り越え、アルプスやドロミテの恐ろしき峠群を征服せねばならない。しかも、難しい山越えステージに、時には未舗装登坂路、勾配20%超の激坂、距離200km超え……の難条件さえ詰め込まれる。

だからこそ1909年に産声を上げたイタリア一周は、いつだってクライマーたちを讃えてきた。第2次世界大戦前後に大会を5度制したファウスト・コッピは、今でも大会最高標高地点を意味する「チーマ・コッピ」に名を残す。トスカーナ地方を通過するステージは、総合優勝3度のジーノ・バルタリにちなんで必ず「バルタリ区間」と呼ばれるし、夭逝の山岳王マルコ・パンターニにゆかりある山が、毎年1つずつ「パンターニの山」に指定される。

一方で、あらゆる脚質に輝く機会を与えるのも、ジロの良き伝統だ。スプリンターはシクラメン色の「マリア・チクラミーノ」を争い、クライマーは青の「マリア・アッズーラ」を追い求める。平坦ステージを活気づけるのは、「フーガ賞」や「中間スプリント賞」目当ての逃げ選手。正々堂々と戦い抜いたチームは、「フェアプレー賞」で称賛される。たくさんの賞と、たくさんの英雄たち。フィニッシュ後の表彰台では、スプマンテシャワーがきらきらと弾け飛ぶ。

そして21日間の激戦の終わりに、マリア・ローザを身にまとっていたチャンピオンには、黄金の螺旋型オブジェ「トロフェオ・センサ・フィーネ」に自らの名を刻む権利が与えられる。この「終わりのないトロフィー」と共に、永遠に、ジロ・デ・イタリアの歴史の一部となる。

2022年ジロ・デ・イタリアのコース概要

「ドナウの真珠」ブダペストからヴェローナの円形闘技場まで3週間の旅路

2年前に果たせなかった約束が、ようやく実現する。新型コロナウイルス感染拡大に伴い、2020年ジロ・デ・イタリア開催は5月から10月へと移行し、予定されていたハンガリー開幕も一旦中止された。2022年大会で改めて、ジロのプロトンが、「ドナウの真珠」ブダペストへと集結する。

第105回目となる開催で、イタリア一周が国外から走り出すのは14回目。そのせいで、いつもより1日早い金曜日にスタートを切ると、ジロ一行はハンガリーで3日間を過ごす。2020年大会に予定されていたコースは少々組み替えられた。大会最初のマリア・ローザは、個人タイムトライアルではなく、平地ステージの勝者に与えられる。個人TTは2日目に登場。いきなりの4級フィニッシュTTだけに、3週間後のピンクジャージを狙う者たちも、全開で挑まねばならない。

その後、早めの休息日を利用して、シチリア島へ飛ぶ。休息日明け4日目には、恐ろしき活火山エトナが舞台の、1級山頂フィニッシュも待っている。間違いなく、総合争いは、早くも大きくふるいにかけられる。

地中海最大の島で、ようやく5日目に海を堪能したら、翌日いよいよイタリア半島の「長靴」の爪先部分から本土へ上陸だ。そこからのプロトンは大急ぎで北上する。美しきティレニア海とアドリア海を眺めつつ、もちろん途中で、「イタリアの背骨」アペニン山脈に立ち寄ることも忘れない。第9ステージでは1級ブロックハウスで、大会3度目の山頂フィニッシュを争う。

スプリンターたちは、第13ステージまでに、大方の仕事を終える。そこらの約1週間は、いかにもジロらしく、山また山の日々に突入だ。まずはフランス・スイス国境に近い西アルプス山脈へ。閉幕をちょうど1週間後に控えた第15ステージの日曜日は、2級コーニュ峠への、長い長い上りで締めくくられる。

オーストリア国境に近い東アルプス山脈へと移動する最終週は、戦いもより熾烈さを増す。休息日明け第16ステージは、3つの1級峠を攻略せねばならないし、翌第17ステージは終盤に1級峠が立て続けに2つ襲いかかる。いずれも軽く下ってからのフィニッシュであり、つまりダウンヒルテクニックも極めて重要となりそうだ。

第19ステージで隣国スロベニアの道を拝借しつつ、2級フィニッシュで軽く脚を調整し直したら、最終日前日の「クイーンステージ」へ。標高2239m「チーマ・コッピ(大会最高標高地点)」を含む、ドロミテ山塊の3つの巨大峠が待ち構える。そして大会最後の直接対決を演出するのは、1級フェダイア峠の難勾配。標高2000mを超えるマルモラーダにて、勝負は決する。

ばら色のレースは、3年ぶりに、ヴェローナの円形闘技場にて大団円を迎える。ただし、いかにもジロらしく、最終日には個人タイムトライアルが用意された。しかも途中に4級峠が待ち構えるから、最後のフィニッシュラインを越えるまで……決して戦いは終わらないのだ!

全21ステージのうちわけは平坦7、起伏7、難関山岳5、個人タイムトライアル2。休息日は3日。つまり、あらゆる地形が均等に振り分けられてはいるものの、大会13日目までにスプリンター向け6ステージを消費する。山頂フィニッシュは前回と同じく6回(個人タイムトライアル含む)。ただし3週間通しての獲得標高は51000mと、なんと前年より4000mも多い。一方で個人タイムトライアルは第2ステージ9.2kmと最終日17.4km、通算26.6km。これはTT自体が取り入れられなかった1962年大会以来、最も短い距離となる。

text:宮本あさか

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