安楽 宙斗

「天才モンスターが現れた！」という表現がピッタリと思わせる。その天才が覚醒していくのを目の当たりにし、衝撃が走ったシーズンだった。見事な体の切り返しとホールドに吸着していくような保持力が武器。昨シーズンはユースからシニア大会にデビューした安楽選手。ボルダーの初戦から5位と好成績を残しつつも、次戦は予選落ち。しかしそこからコツを掴んだかのようにメキメキと頭角を現し、終盤戦はボルダー、リードとも優勝！史上初の同年ボルダーとリード両年間チャンピオンとなる快挙を成し得た。シーズン始めは少々遠い夢と語ったオリンピックもシーズン中に現実となりつつあることを本人も自覚し始める。世界選手権では優勝候補だったにも関わらず、圧に負けてしまった場面もあり、経験値の浅さが露呈した感じだったが、アジア大陸予選大会でパリオリンピックの切符を掴むと、一気に金メダル候補に躍り出た。最年少金メダリストに期待がかかる。

text：尾川とも子