コースの特徴
泣く子も黙るアングリル。2025年大会2週目の最大のアトラクション。地元では「自転車界のオリンポス山」と崇められ、サイクリストたちには魔の山と恐れられるグランツール屈指の激坂の上では、誰一人として、己の弱さを隠すことはできない。
200kmを超える長い1日は、終わりに近づけば近づくほど、狂気じみてくる。カンタブリア海岸からそれほど遠くない道を走る序盤3分の1は、むしろ「平坦ステージ」と言ってもいいほど。そこから内陸に切り込むと、道はじわじわとした上り坂に変わる。集団内のストレスもじりじりと上がっていく。
ステージも残り3分の1を切ると、いよいよ道は険しさを増す。1級モスケタ(登坂距離6.3km、平均勾配8.4%)はいきなり上り始めに最大12%ゾーンが待ち構える。1級コルダル(5.5km、8.8%)は、二桁勾配があちこちに顔を出し、特に山頂直前の1.5kmはひたすら10〜12%という激烈さ。集団のふるい分けは否応なく進む。
ただし、2つの1級峠は、アングリルの前では単なる前菜に過ぎない。しかもアングリルの前半だって、ほんのウォーミングアップ程度だ。なにしろ真の恐怖は、全長12.4km・平均勾配9.7%の山道の、後半にぎゅうぎゅうに詰め込まれている!
残り7.5kmから最後の数百mで下りに転じるまでの、終盤の約7kmの平均勾配は……桁違いの12.8%。複数の「20%超」がちりばめられ、それぞれに「les cabanes=小屋」、「les picones=気難しい人々」、「Cobayos=モルモット」なんてあだ名される。中でも最高にイカれているのが、あの「La Cuena les Cabres」。すなわち「山羊たちの坂」。フィニッシュ手前3km……すでに200kmも走り続けてきた選手たちを絶望へと突き落とす同ゾーンは、最大勾配23%を誇り、そもそも500mにわたって勾配が20%を下回ることはない。
初登場から26年目。自転車界に繰り返し興奮をもたらしてきたアングリルで、3年前の我々は、「ヴィスマ上位3位独占」という歴史的な結末を見届けた。史上10回目の山頂フィニッシュでは、果たしてどんな衝撃が飛び込んでくるのか。おそらくマイヨ・ロホ争いにも、容赦なき審判が下される。
文:宮本あさか



残り距離 | ポイント | 現地時間 | 日本時間 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
40 km/h | 38 km/h | 36 km/h | 40 km/h | 38 km/h | 36 km/h | ||
202.7 km | オフィシャル スタート |
12:10 | 12:10 | 12:10 | 19:10 | 19:10 | 19:10 |
55.4 km | 登坂開始 | 15:50 | 16:02 | 16:15 | 22:50 | 23:02 | 23:15 |
49.1 km | 1級山岳 | 16:00 | 16:12 | 16:26 | 23:00 | 23:12 | 23:26 |
27.7 km | 中間SP | 16:32 | 16:46 | 17:01 | 23:32 | 23:46 | 00:01 |
26.6 km | 登坂開始 | 16:34 | 16:48 | 17:03 | 23:34 | 23:48 | 00:03 |
21.1 km | 1級山岳 | 16:42 | 16:56 | 17:12 | 23:42 | 23:56 | 00:12 |
12.4 km | 登坂開始 | 16:55 | 17:10 | 17:27 | 23:55 | 00:10 | 00:27 |
0.0 km | 超級山岳 フィニッシュ |
17:14 | 17:30 | 17:47 | 00:14 | 00:30 | 00:47 |