コースの特徴
いよいよ2023年ブエルタの総合争いも最終段階。難関山頂フィニッシュ2連戦で、今年最後のグランツールの行方がほぼ定まる。すでに2週間半走り続けてきた、なにより春から半年以上シーズンを戦ってきたエースたちにとって、集大成の時がやってきた。
ブエルタにアングリルあり。地元では、神々が住まうオリンポス山のように崇拝されるが、選手たちにとっては、むしろ魔の山。グルペットさえ形成できないほどの激勾配。2017年にはアルベルト・コンタドールがキャリア最後の勝利をつかみ、2020年大会では、ヒュー・カーシーがアウターで制圧し衝撃を巻き起こした。あの山へ。
前日にも負けない124.4kmの超短距離コースは、前半と後半でがらりと地形が変わる。スペインのクイーン、レティシア王妃のゆかりの地リバデセリャからスタートすると、前半戦はゆるやかな上り基調が続く。まるまるウォームアップの時間か、もしくは激しい飛び出し合戦か。後半戦は山のバトル。1級コリャディエリャ(登坂距離7.8km、平均勾配7.1%)で一気に集団は絞り込まれるはずだ。
初めてブエルタにアングリルが登場したその日から、1級コルダルは欠かさず門番の役割を果たしてきた。全長5.4km・平均勾配9.2%・最大14%のこの山を上手く攻略せずして、決してラスボスを倒すことなどできない。また猛スピードが出るトリッキーな下りでも、コルダルは知られる。例えば2017年のコンタドールは下りで後続に30秒差をつけ、そのまま超級アングリルの全長12.4kmの山道へと飛び込んだ。
きっと数字や言葉をどれほど並べても、アングリルの狂気を正確に伝えることなど不可能だ。平均勾配は9.8%、最大24%。序盤から厳しく、その後少し緩むものの、後半6kmは目を疑うほどクレイジー。勾配10%超は当たり前。20%超のゾーンが少なくとも5か所、次々と襲い掛かって来る。あらゆるコーナーが勝負地となる。足を止めたら、もう2度と走り出せなくなるかもしれない。山頂まで3km前後の、いわゆる「山羊ゾーン」は、平均18%のイカレた勾配が延々1kmにもわたって続く!
初めて使用された1999年大会を除く過去7大会では、勝者はすべて1人でフィニッシュラインへと姿を現した。最後の数百メートルは下り基調だから、ウィニングポーズを取る余裕もある。もちろん、総合タイム差が競り合っている場合を除いて。
文:宮本あさか
距離 | ポイント | 現地時間 | 日本時間 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
37 km/h | 35 km/h | 33 km/h | 37 km/h | 35 km/h | 33 km/h | ||
0 km地点 | スタート | 13:57 | 13:57 | 13:57 | 20:57 | 20:57 | 20:57 |
75.8 km地点 | 1級山岳 | 15:59 | 16:06 | 16:14 | 22:59 | 23:06 | 23:14 |
91.3 km地点 | 中間SP ボーナスタイム |
16:25 | 16:33 | 16:43 | 23:25 | 23:33 | 23:43 |
103.3 km地点 | 1級山岳 | 16:44 | 16:54 | 17:04 | 23:44 | 23:54 | 00:04 |
124.4 km地点 | 超級山岳 フィニッシュ |
17:18 | 17:30 | 17:43 | 00:18 | 00:30 | 00:43 |