コースの特徴
すべてを決めるアルプス山頂フィニッシュ2連戦。その1日目こそが、正真正銘、最難関「クイーン」ステージだ。行く手には3つの超級山岳が待ち構え、獲得標高は今大会最多の5450mにいたる。フィニッシュ地は今大会の最高地点、標高2304mのコル・ド・ラ・ロズ。「苦痛」の代名詞のようなこの山で、マイヨ・ジョーヌ争いは正念場を迎える。
フレンチアルプスは5年後に冬季五輪の舞台となり、ツール一行が通過する一帯もまた、「サヴォワ・ゾーン」として数々の競技を迎え入れる。例えば第19ステージのフィニッシュ、ラ・プラーニュは「そり競技」の拠点となり、本日の終着点クールシュヴェルではアルペンスキー男子にノルディック複合、スキージャンプが行われる。
厳しい1日の幕は、「ドーフィネ」地方の中心地グルノーブルの、南郊外ヴィフで明ける。スプリンターたちにとって幸いなのは、山に入る前に、中間スプリントが設定されていること。もちろんマイヨ・ヴェール用のポイント収集を終えたら、すばやく制限タイムとの戦いへと切り替えねばならない。
また、超級×3の今ステージは、マイヨ・ア・ポワ争いにとっても極めて重要だ。特に最終峠ではポイントが2倍。この日、すべての山を先頭で越えた場合、大量80ポイントを獲得できる。
スタートから40kmを過ぎると、いよいよ本格的な山道へと突入する。その後はひたすら長い山道と、凄まじく高い標高との戦いだ。
まずは超級グランドン(登坂距離21.7km、平均勾配5.1%)に取り掛かる。2018年ツール・ド・ラヴニールでタデイ・ポガチャルが総合優勝を祝ったのは、この山のてっぺんだった。そこから22kmもの長い下りをこなしたら、休む間もなく超級マドレーヌ(19.2km、7.9%)へ。9日後には女子ツールが、史上初めてプロの自転車レースとしてこの山頂で区間フィニッシュを争うが、男子プロトンはさらに先へと進む。
道の果てで睨みを効かせるのは、あの超級ロズ峠だ。ツール初登場の2020年には、高い標高にポガチャルが喘ぎ、2年前には、やはりポガチャルが「I'm gone, I'm dead」のセリフと共に後退した記憶を残す山──。ただ今回は、同じ山頂を目指すものの、異なる登坂路、いわゆる「より緩やかな方」から山頂を目指す。
全長26.4kmの山道は、それでも約1時間の努力を要する。平均勾配は6.5%で、たしかに中盤に少しだらだらとした部分もあり。ただし、上りのあちこちには、勾配9%超が散らばる。しかも2年前にフィニッシュラインが引かれた山岳飛行場を通過すると、道幅は急激に狭まり、約1kmにわたり11%ゾーンも出現する。山肌にうねる道の向こうには、アルプスの壮大な風景が広がっている。
文:宮本あさか


残り距離 | ポイント | 現地時間 | 日本時間 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
35 km/h | 33 km/h | 31 km/h | 35 km/h | 33 km/h | 31 km/h | ||
171.5 km | オフィシャル スタート |
12:20 | 12:20 | 12:20 | 19:20 | 19:20 | 19:20 |
147.8 km | 中間SP | 12:53 | 12:55 | 12:56 | 19:53 | 19:55 | 19:56 |
109.2 km | 超級山岳 | 14:07 | 14:13 | 14:21 | 21:07 | 21:13 | 21:21 |
66.9 km | 超級山岳 | 15:20 | 15:32 | 15:46 | 22:20 | 22:32 | 22:46 |
0.0 km | 超級山岳 フィニッシュ |
17:12 | 17:28 | 17:50 | 00:12 | 00:28 | 00:50 |