コースの特徴
ピレネー山頂決戦3連戦の中日に、ひどく恐ろしい登坂タイムトライアルがねじ込まれた。努力の時間はわずか30分ほどながら、マイヨ・ジョーヌを争う選手たちの間に、とてつもないタイム差が生じる危険をはらんでいる。
上りが組み込まれた個人TTは決して珍しくはない。ただし「1級」以上の山岳でフィニッシュする難解なTTは、21世紀のツールでもわずか4回目。最も近い例は2020年第20ステージのプランシュ・デ・ベルフィーユ……忘れもしない、タデイ・ポガチャルが大逆転総合優勝を決めたTTだ。5年前の最終登坂は全長6km・平均勾配8.4%で、区間上位2人に1分21秒もの差がついている。
今回の勝負は、ルーダンヴィエルからペイラギュード山頂までの全長10.9kmで争われる。1年前の第15ステージはやはりルーダンヴィエルから走り出したが、向かった先は異なる。むしろ2022年第17ステージの最終盤と、完全に同じ道が使用される。ちなみにいずれのステージも、ポガチャルが制したことを付け加えておこう。
人口350人の小さく愛らしい村から走り出すと、序盤3kmはほぼ平坦基調。その後にじわりと道は上り始め、4km地点から勾配はいきなり8%台に跳ね上がる。正確な山道の距離は8kmで、平均勾配は7.9%。ただし序盤1kmの緩やかなパートを除けば、残り7kmは平均9.5%と極めて厳しい!
しかも残り1kmを切った直後には、最大16%ゾーンも待ち受ける。そこから終わりまでは13%の激勾配が続く。そしてジェームズ・ボンドが「トゥモロー・ネバー・ダイ」で降り立った山岳飛行場の滑走路で、選手たちは孤独な奮闘を終える。
開催委員会の計算によれば、走行タイムは26分前後。本格的な上り開始前の4km地点(残り6.9km)と、山道の半ばの7.6km地点(残り3.3km)の2か所で、中間計測が予定されている。
文:宮本あさか


残り距離 | ポイント | 現地時間 | 日本時間 | ||
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第1走者 | 最終走者 | 第1走者 | 最終走者 | ||
10.9 km | スタート | 13:10 | 17:05 | 20:10 | 00:05 |
6.9 km | 第1計測 | 13:17 | 17:12 | 20:17 | 00:12 |
3.3 km | 第2計測 | 13:27 | 17:22 | 20:27 | 00:22 |
0.0 km | 1級山岳 フィニッシュ |
13:36 | 17:31 | 20:36 | 00:31 |