コースの特徴
週末のスプリント2連戦。マーク・カヴェンディッシュの伝説が始まった場所で、「最速」の称号をめぐる戦い。長い1週目も終わりが近づき、マイヨ・ヴェール争いの顔ぶれもはっきりと見えてくるはずだ。
緑の渓谷の奥深くに佇むシノンが、史上初めてツールのステージ開催地として選ばれた。百年戦争でフランスを救うために戦い、ついには第4ステージのフィニッシュ地ルーアンで処刑されたジャンヌが、後のフランス王に初めて謁見し、その伝説の一歩を踏み出したのがシノン城だった。ユネスコ世界遺産「シュリー=シュル=ロワールとシャロンヌ間のロワール渓谷」に含まれるこの地を走り出した後も、ステージ前半は、プロトンはいくつもの古城の間をすり抜ける。
一方で今大会のラインステージとしては唯一、山岳ポイントはひとつも存在しない。逃げる意味を見出しづらい1日ではあるが、退屈な日曜日になるとは限らない。畑の中のむき出しの一本道を突き進み、さらには小さな湖沼が点在するブレンヌ自然公園を横切るステージ後半には、幾度も90度の方向転換が待ち受ける。もしも強い風が吹きつければ、集団内は恐ろしい緊迫感に満たされるに違いない。
ただしスプリンターチームは、この日だけは、絶対に仕事を失敗するわけにはいかない。なにしろフィニッシュラインは、シャトールーのシャトル通りに引かれるのだ。
市長はこの通りの名を「カヴェンディッシュ通り」に改名したいと表明しているそうだ。昨夏ツール史上単独最多となるツール区間35勝目を挙げ、華々しく現役を退いたカヴが、2008年大会第5ステージで記念すべき1勝目を挙げたのが、まさにこのシャトル通りだった。しかも、あれから2度、2011年と2021年にツールはこの道に立ち返ったが……いずれもやはりカヴがすべてを突き放した!
約1.5kmの自慢のロングストレートの終わりに、カヴは3度「両手で頭を抱える」ジェスチャーを披露した。この7月には、新たなウィニングポーズとともに、シャトル通りに新しい王者が生まれる。
文:宮本あさか


残り距離 | ポイント | 現地時間 | 日本時間 | ||||
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47 km/h | 45 km/h | 43 km/h | 47 km/h | 45 km/h | 43 km/h | ||
174.1 km | オフィシャル スタート |
13:10 | 13:10 | 13:10 | 20:10 | 20:10 | 20:10 |
149.9 km | 中間SP | 13:56 | 13:57 | 13:59 | 20:56 | 20:57 | 20:59 |
0.0 km | フィニッシュ | 17:07 | 17:17 | 17:28 | 00:07 | 00:17 | 00:28 |